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16話 はははははーーーッ!

4/13:少々改訂しやした。

はうぅ……。

 かくして、モンスタートレインVS知的なトナカイと愉快な仲間達との戦いが始まった。

 ……ともかく、俺達は魔物の大群と接敵した。


 1匹のサソリ型魔物に飛びかかられ、『あ、死んだ』と思われたウォータムだが、


「うらぁぁああ!」


 軽量である光剣を残像が見えるほどの速度で振り回し、飛びかかって来た魔物を一瞬で物言わぬ骸に変えた。

 ……なんか凄い。


「おら、どんどん来いやぁ!!」


 あいつ……なんかテンション上がってないか?

 先程『うわ……えぐ……』とか言ってたのと同一人物とはとても思えないんだが。

 ……まぁ良いか、戦意が高いことに越したことはないな。

 ……先走って、前に突っ込んで行きさえしなければな。

 突っ込んだら流石に物量で死ぬぞ。


「おい単細胞、本気でやり過ぎるなよ?」

「わかってるっつの! …………後単細胞じゃねえ!」


 よし、俺もいっちょやるか。

 手榴弾の栓を引っこ抜き、ウォータムに当たらない所を狙って投げ込む。

 ……と言っても、そこまで気にする必要は無さそうだ。

 その理由は、手榴弾の特性にある。


 破片手榴弾は、破片を爆発で飛ばし、対象を殺傷する手榴弾。

 衝撃手榴弾は、爆風そのもので対象を殺傷する手榴弾。


 破片は範囲が広く、範囲内に物があると威力が減衰しやすい。

 逆に衝撃は範囲がそこまで広くなく、範囲内に障害物があろうとも避けて範囲内の対象を傷つける(回析)。


 破片は味方を巻き込みかねないほど範囲が広いが、それは敵の数が少ない場合の話。

 敵の密度が高ければ、それだけ敵に当たって威力が減衰しやすいということだ。

 必然、範囲はそこまで広くなくなる。

 衝撃の方も、元々範囲が狭目なので特に問題ない。


 ……つまりは、ある程度奥の方狙って投げとけば万事解決ってことだ。



「はははははーーーッ!」


 俺がある程度削った魔物どもに対し、ハイテンションウォータムは意外にも堅実な戦い方をしている。

 基本移動や回避、敵が一瞬でも孤立したらすぐさま斬り裂き、HPを全損させる。


 囲まれたら詰む、というのを理解しているからこその動きだ。


 偶に2匹を纏めて横薙ぎで斬り払うこともあり、その時は見ているこっちもテンションが上がる。

 ダブルキルやトリプルキルって言うのは、いつの時代でも爽快な物だよな。

 俺も手榴弾投げまくっているのだが、それでも流石にウォータムレベルの戦果はあげられない。

 とはいえキル数では遠く及ばないから、攻撃を当てた魔物数でようやく張りあえるかも、と言った所か。

 ……いや、どうせ殆どウォータムが倒しているから、それすらも厳しいな。



「……私の出番、ありますかね?」


 ましろがふと、疑問を漏らす。

 手榴弾を適当に投げ込みつつ、俺は答える。


「今の所は大丈夫そうだが、あんなウォータムも必ず疲れる。その瞬間撃てる状態じゃないと戦線が崩壊するぞ」


 ……そう、今ましろには待機してもらっている。


 その理由はまず、撃ってもそこまで変わらない、むしろ悪化するかもしれないということだ。

 狙撃手は、弱点を狙ってなんぼ。

 ましてや彼女の銃は、初期武器の1つだ。

 ライフルは1発の威力はあれど、比較的柔らかい目や口内以外に当てても、そこまで変わるとは思えない。

 俺の予測だと、光剣一閃の半分くらいのダメージを与え、少し動きを止めるくらいは可能だと思う。

 ……それだけしか、できないのだ。

 その点で言えば、光剣は優秀過ぎる。

 ウォータムの戦い方が上手いのもあるが、それ以上にダメージの通りが良いのが、この無双の理由だろう。


 少し話がずれたが、つまりまだ使いにくいから今するより取っておいた方がいい、ということだ。

 ……そもそも狙撃手の戦い方は、そういうものじゃないしな。


「もしウォータムが魔物を通したら、その時みっちり働いてもらうからな。具体的に言えば……魔物の目玉か眉間を的確に撃ち抜いてもらう」

「……え、えぇぇぇえええ!? 無理ですよそんなの!?」


 首を、これでもかと言うほどに振るましろ。



「大丈夫、お前の狙撃は初陣の時に見ている。それに……」




「俺が近くにいるんだ、気負う必要はないさ」



「……よぉし、バンバン急所撃ち込んじゃいますよぉー、よゆーですっ!」

「ああ、よろしくな」


 そこまでご大層なことを言ったわけではないのに、めちゃめちゃやる気になってくれた。

 俺の近くにいれば単純に、魔物が絶対に俺かましろの方を向いて来るから、眉間を撃ちやすいっていう理由なんだが。

 ま、まぁ、戦意が高いことに越したことはないな(2回目)。



 それはともかく、改めてましろの役割を確認しようと思う。

 端的に言えば……そう、自衛にまで手の回らない俺の守護、だ。


 それは、長期戦になることが見込まれる今回の戦闘において、ある意味最も大切な要素と言っても過言じゃない。

 ウォータムは剣という武器の特性上、自衛も可能だが、俺は違う。

 手榴弾は範囲攻撃であるが故に、自分への被害も考慮しなければならない。

 故に近距離で使うのは望ましくない、つまり近づかれた際の自衛の手段に欠けている、ということだ。


 また、俺にはウォータムの援護という義務もある。

 なくても今は回せるだろうが、いずれウォータムはガス欠を起こし、魔物の討ち漏らしも増えることだろう。

 その時俺が援護をすっぽかして自衛に当たったら、また魔物がこちらに回って来て──

 俗に言う、負のサイクルが出来上がってしまう。


 勿論その前に挽回すれば良いだろうし、今魔物はウォータムを主軸に襲って来ているから問題はない。

 だが、魔物が何かしらの理由で矛先を変えたらどうする?

 俺はこのゲームを知り尽くした訳でも、ヘイトシステムを理解し尽くしている訳でもないのだ。

 俺やましろに襲いかかって来る可能性は、むしろ高いと俺の勘は囁いている。



 そのための、ましろだ。



 ましろは基本待機、前線を突破した魔物の急所を的確に狙い、撃ち抜く。

 そいつは大体、俺の手榴弾をある程度食らっているはずなので、初期のレーザーライフルでも目や眉間、口内などを穿てば即死させられると思われる。



 更に言えば、これは最悪の場合だが、いっそ俺とましろが自衛に徹してウォータムはできる限り魔物を倒す、というスタンスに変更するといのも考えるべきだろう。

 内戦戦略に近いやり方だな。

 その場合混戦になり、ましろの安全確保が困難なため、あくまで想定ではあるが。



「あ、やばっ」


 そんなことを言っていると、丁度ウォータムが1匹通した。

 まぁ、基本回避の戦闘だったら仕方ないよな。

 そういうのは孤立するも同義だから、今までは逃さず倒せていたんだが、やはり疲れてくるよな。

 よし、ましろ出番だぞ。

 ここで成功してくれれば、自信もついて成功率が大きく向上する。

 どうか、当ててほしい。


 そう思って横をチラリと見たのだが、俺の願いは果たして無駄だったようだ。



「……」



 ましろはその明るい紅の瞳を細め、静かにレーザーライフルを構えている。

 その目に映るのは、迫るトカゲ型の魔物のみだ。

 その刹那、何かが炸裂するような音とともに、




「ぐ、ぐきゅあ……」


 眉間を貫かれたトカゲの死体が1つ、荒野に崩れ落ちた。



「……やった、やりましたよトナカイさん!」

「……ああ、やったな」


 俺は満面の笑顔のましろに肩を掴まれ、前後にグラグラと揺さぶられる。

 おいこら、投げるのを邪魔するなよ。

 気持ちはわかるが、折角当てたのにこれじゃあ……。



「あっ、またやっちまった」


 ウォータムのそんな声とともに、大トカゲがまたこちらに向かってくる。


 ほら、また来ちゃったじゃないか。



「あ、すみません……すぐ撃ちます!」


 そう言って構え、すぐさま撃ち込むましろ。

 またも眉間に穴を開けられ倒れ伏すトカゲ魔物。


 ……いや、同じ個体ではないんだけどな。


 それを生み出した張本人は、またも喜び踊ることはなかった。

 ウォータムなら、もう一度やってたろうな。


「はうぅ……すみません、嬉しくてつい」

「俺に言うくらいなら、後でウォータムを労ってやれ。あいつ作戦の中核の割に地味にしか描かれてないから」

「誰が地味だおい!?」


 剣が加速した。

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