小さい王子様
微弱な寝息が、手に伝わる。
「ねたくないねたくない。せんせいのおてつだいしたいっ!」
男の子は、寝る直前まで駄々をこねていた。
でも、それが嘘かのようにいまはぐっすりと眠っている。
私を慕ってくれる男の子。
片付けや荷物運びをしている私に、
「せんせいは、おんなのこなんだから。ここは、おとこのこのボクにまかせて」
と率先して、力仕事を手伝ってくれる。
それはまるで困ったお姫様を助ける優しい王子様!
でも、小さい身体には荷が重くて、悔しそうに私の背中を見つめる。
落ち込む姿も愛らしい。
手伝うといいだしてくれたことが嬉しくて、ついつい甘やかしてしまう。
普段からいい子だから、なおさら。
――センセー、自慢の園児!
いまはまだ心身ともに未熟な小さい王子様だけど、これからの成長が楽しみで仕方がない。
男の子はどんな大人になるのだろう。
あどけない表情で周囲の女の子を魅力する可愛い系男子?
それとも――
男の子の成長を間近で見守れる。
それがセンセーとしての喜び。
願わくば、大きな王子様になった姿も見てみたい。
そう思わせる、可愛らしい寝顔だった。