ユーリと国
「うっ・・うん。ここは?」
「姫様!どこかにお怪我はありませんか」
「ジュリア・・・私は大丈夫だわ。それよりあなたたちは大丈夫」
「私たちのことはいいのです。ただ姫様さえご無事なら」
「何言ってんの!そんなこと言わないで・・・うん。みんないるね」
「・・・はい。多少のけがはありますが、全員無事です。」
「ならよかった。・・・で、貴方は誰ですか?」
(おおっと、俺の方にきたか・・・説明面倒だな。だがここは)
「おいおい、人に名乗らせる前に自分から名乗るのが礼儀だろ」
(姫様って言ってたし、絶対どこかの王族だろうな。はぁ~なんか面倒くさいことになりそうだな)
「おい、貴様なんだその言い方は」
「いいのです。私はエデルリート帝国の第二王女のユーリ・エデルリートです」
「おお、やっぱり王族だったか。まあ分かってたけどね。俺の名前は日向集。手短に集と呼んでくれ」
「おい貴様~!」
「分かりました。集様ですね。じゃあ私のことはユーリと呼んでください」
「ちょ、姫様それはダメです」
「分かった。ユーリだな。俺も様は付けなくてもいいぞ」
「おい、気安く呼ぶな!」
「おいおい本人が呼べと言っているんだ呼ばないと失礼だろう。ジュリア」
「私の名前も気安く呼ぶな!」
(この女・・・いじりがいがあるな!?)
「それよりも、私が気絶している間に何があったのですか」
「実は・・・」
隊長(まだ名前が分からない)がユーリに簡単に説明した。
(どうせまた同じ論争になんだろうな~)
「まあ、そんなことが」
「ええ、ですが他の部下達は信じてないようで」
「そんなこと簡単に証明できますのに」
「「「えっ」」」
「だって、集様がティムしたんだったら集様がドラゴンのところに行けばいいのです。そうすればすべて解決ですわ」
「「「あっ」」」
「というわけで、集様あのドラゴンの近くに行ってくれませんか・・・さもないと貴方の秘密をばらしますよ」
後の方の言葉は俺にだけ聞こえるように言った
(秘密!さっき目覚めたばかりなのになにが秘密をばらすだよ)
そう思って集は一回ユーリを鑑定してみた
すると・・・
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ユーリ・エデルリート
職業:王女
固有スキル:魔眼
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(おいおい、魔眼かよ・・・ゲームだと鑑定や様々な状態異常にしたり、嘘を発見したり出来るがこれは)
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魔眼
相手のステータスが見れる。
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(鑑定出来るのこれだけかよ。・・・じゃなくてこれはまさか俺の秘密とは俺のステータスのことかよ!やばいなこればれたら面倒なことになるだろうな。まあドラゴンのとこ行くだけだし大丈夫だろう)
このことを追求しなかったことを後から後悔する集であった。
「わかったよ」
そう言ってドラゴンの目の前に歩いていった。
(さあ、待ちに待ったドラゴンとの邂逅だ)
そうして集がドラゴンの目の前に行くと
ドラゴンが勢いよく集に襲いかかった。
「ほら、やっぱりあいつじゃないじゃないか」
「「「・・・」」」
「やっぱり、俺の方が正しかったじゃないですか。隊長謝ってくださいよ」
「はぁ~。お前の目は節穴か。ちゃんと見て見ろ」
「ちゃんと見てますよ。結果はあいつがおそわれて・・・なんだよあれ!」
隊長に言われたチャラい兵士は集の方をまた見て絶句した
そこには・・・
ドラゴンに襲われている集ではなく
ドラゴンをなでている集がいた
そうドラゴンは集に襲いかかったのではなく、集に頭をなでて欲しくて勢いよく頭を下げたのである。
「よしよし、いい子だね~」
そして集は、ドラゴンを猫のようになでていた。
ただ心の中では
(うへへへ、やっぱりドラゴンはいいな~)
と、やんでいた。
「取り敢えずこれで証明出来たということで、これからどうします」
「どうしますとは?」
「だってドラゴンが近くにいる間は・・・」
「ふざけるな!」
姫様の言葉をチャラい兵士が遮った。
「あんなやつがドラゴンをティム出来るはずがない!ただの平民風情が」
(なんだこいつ。俺一言も平民とは言ってないけど・・・まあ平民だけどさ)
「フーリいい加減うるさいぞ。ドラゴンがなついているのが何よりの証拠ではないか」
「いや騙されちゃダメです隊長。そいつは敵国のスパイかもしれません」
「はぁ~おい誰かこいつをどこかに連れて行け」
その言葉でチャラい兵士の周りにいた兵士がどこかに連れて行った
その際に
「ちょ・・俺が何したと言うんだ。俺は正しいことを言っただけだぞ・・・そうか分かったぞお前らもグルなのか。俺だけじゃないか本当に国に忠誠を誓っているのは、王様に進言してお前らを解雇してやる」
それを聞いた集は
(こいつ馬鹿だな)
と思っていた。
(実際俺がスパイだったらすぐにドラゴンを操り全滅させるだろうに・・・大方あいつは貴族の子供でただの平民が成り上がるのが許せないんだろう)
「あいつが進言したところで姫様[ユーリです]・・・ユーリが進言すれば意味ないだろうに」
「それはそうだが、あいつは伯爵家の三男で今まで甘やかされて育ったからそういうのが分からないんだ。自分の親に連絡すれば何でも出来ると思っているんだ」
「ふ~ん。馬鹿だな」
(おっとあまりに馬鹿すぎて思ったことが言葉になってしまった)
それに対して隊長は気にした様子もなく
「ああ、そうだな」
と言った
(おいおい、自分の部下なんだから否定しろよ)
「さっきの話に戻りますけど、これからどうします」
「一回国に帰りましょう。俺たちだけならもう少し奥までいけるがさすがにドラゴンが出たんだ他の部下達は疲れがたまっているだろうし」
「そうですね・・・集様は?」
「俺。俺はう~ん」
「行くところが無いのなら私たちの国に来ませんか?」
「え~~~~~~」
「貴様せっかくの姫様の誘いにその答えはなんだ!」
(だってなんかこの姫さん怪しんだもん。絶対面倒なことが起こりそうだもん)
「そうですか・・・私の誘いには乗れませんか」
そう言って服の袖で目のあたりを覆った
「シクシク」
「姫様!おい貴様のせいで姫様が泣いてしまったではないか!」
(いやいやいや、絶対嘘泣きだろうあれ)
「・・・そうです。今なら王城にとてもおいしい料理がありますよ」
「行きます!」
「「「えっ」」」
「何やってんですか。さっさと行きますよ」
「「「変わり身はや!」」」
(だってとてもおいしい料理だよ!食べなきゃ損でしょ)
面倒くささよりおいしい料理の方が大事な集であった。