ドラゴンとイライラ
「さてと、一人になったのはいいが・・・これからどうしようかな。お約束だとここで『キャー』そうそうこんな声が聞こえるんだよ・・な?」
(何か聞こえたぞ。まさか・・・)
集は声が聞こえた方に走り出した。
途中で爆発音が聞こえた。
(まさか、まさかの2連続でお約束ですか)
そして悲鳴がしたところにつくと
そこにはお約束の豪華な馬車が襲われていた。
ただ・・・
それをおそっていたのは盗賊ではなく黒いドラゴンだった。
(いやいやいやドラゴンはないでしょう。)
集がドラゴンを見て固まっていると
「どうしてこんなところにいるの!ここは危ないから早く逃げて!」
たぶん馬車の護衛の女の人が俺に向かって言った。
「そうだここは俺たちに任せて出来れば姫様をつれて逃げろ。この森にいるということはそこそこの腕だろうから必ず姫様を安全な場所に連れて行ってくれ」
護衛の隊長みたいな人も言ってきた。
(飛ばされてここにいるんだけど。まさかこの森って意外と難易度高いのか)
そう思いながらも集は動かない
「ああもう、これだから若い男は!おいそこの男さっさといけ!」
といって火球を集の足下に飛ばしてきた。
「・・・うわ、あち。何すんだよ!」
「貴方がじっとしているからだろう!副隊長の言うこと聞いて姫様をつれてさっさと行け!いいか姫様にけがなんてさせて見ろ呪うからな」
「・・・逃げるね~、あんた達で勝てると思っているの?」
「それはやってみないとわからないだろう!」
「いや分かるだろうあんた達なんてあいつが本気出したら時間稼ぎにもならないぞ」
「それでもやらなきゃいけないんだ!姫様を守るために」
そう言って女の人は馬車の近くで気絶している少女を見た
「あの方を守るためならこの命どうなってもよい」
「ふーん。そうなんだそうやってどんどんその姫様に重荷を背負わせるのか」
「うるさいうるさいうるさい!さっさと行け!」
(はあ~だめだなこれは)
「お前ら何やってんだ!うるさいぞ」
「隊長。どうしてここに!」
女の人は驚いたように言った。それはドラゴンと戦っていた隊長が目の前にいたからだ。
(あ、この人が隊長なんだ。さっきの人が隊長だと思った)
「それはそこの坊主のおかげだ。俺たちは助かったぞ」
「は?」
女の人は隊長の言葉に意味の分からないような声をあげた。
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時間は集がドラゴンを見たときに戻る
集はドラゴンをみて興奮していた
(ドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンドラゴン)
・・・失礼集はドラゴンをみてとても興奮していた。
(まさかこんなとこでドラゴンに会えるとはこれは王様やステフィ様々だな)
飛ばしたあいてを褒めるほどに
(ドラゴンだよ。ドラゴン。しかも黒いドラゴン。うわーかっこいいな)
護衛の人たちが必死に集に逃げろと言っている時にこんなことを思っていた集であった。
(・・・そういえば俺ってさ~獣魔師なんだよな。つまりこのドラゴンは・・・フフフ)
そう集は恐怖で動かなかったのではなく、興奮して動かなかったのだ。
(どうやるかは頭の中に入っている。ティムにしたい相手を屈服させればいいから・・・)
そう考えると集はドラゴンに限定して威圧を向けた。
さすがのドラゴンも武術と刀術レベルマックスの集の威圧を向けられたら屈服するしかないようですぐにティムできた。
(よっしゃーーー。黒いドラゴンゲットだぜー)
他の人がみんな焦っている中で、集は心の中でガッツポーズをしていた。
そんな時に足下に火球が飛んできた。
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時間を戻す
「隊長どうゆうことですか、こいつのおかげで助かったって」
「そのままの意味だよ。この坊主のおかげでドラゴンが攻撃してこなくなった。そのためお前らが話しているのに何もしてこなかっただろう」
「確かにそうですけど・・・そんなの偶然に決まってます」
「じゃあどうしてドラゴンが攻撃してこなくなった。そして今だって攻撃してこないし」
「それは・・・でもこいつが攻撃していたなんて感じませんでした」
「それはそうだろう。坊主は攻撃をしてないのだから」
「だったらなんでこいつのおかげといえるのですか」
「それは倒す以外におとなしくする方法があるだろう」
「・・・はい?」
「つまり、この坊主はドラゴンをティムしたんだ」
時間が一瞬止まる
「「「はい~~~~~~~~!」」」
「そうだろ。坊主」
「そうだがなにか問題が」
(いい加減坊主で話を進めるのをやめて欲しいんだが)
「いや隊長それはないでしょう。だってドラゴンは難易度マックスの魔物ですよ。さらにさっきのドラゴンは色が黒だし普通より強かったから絶対ユニークでしょう。そんなやつをティムするのは奇跡がおきても無理でしょう。きっとそいつが嘘ついてんですよ」
さっきから話を聞いていたチャラそうな兵士が言った。
「ではなんであのドラゴンはおとなしくなったんだ。俺には坊主がティムした以外に方法がないと思うがな」
「それは・・・っそうだ、ティムするためには屈服させないとダメじゃないですか。でもこいつは一切攻撃していないんですよ」
「それは・・・俺も信じられんが坊主は威圧だけで屈服させたんだろう」
「は、そんなことできる分けないでしょう。威圧だけで屈服させるのは圧倒的に相手のステータスを超えてなければいけないんですよ。おいそこのお前レベルはなんだ」
(結局坊主で話をすすめるのね・・・)
「レベルは5だが」
「「「5~~~!」」」
「ほらやっぱりこいつじゃないですよ」
兵士はずっとわめいているが、女の人や副団長はここで異常に気づいた。
「はぁ~お前まだ分からないのか」
「なにがですか」
「お前のレベルはなんだ」
「俺はこんな弱いやつと一緒にしないでください。レベルは100です」
「そうだよな。この森に集団として入るにはそのぐらいが最低だよな」
「だからなんなんですか!」
ここでほとんどの兵士は気づき始める。
「つまり、ここにこのレベル5の坊主がいることがおかしいはずだろう」
「・・・あっ」
「そうこの森は最低でもレベル100以上の手練れが10人以上で通るところだ。それなのにレベル5で一人の坊主がここに来れるわけないだろう。つまりこの坊主はレベル以外に屈服させる方法があるんだよ」
「でも、ここまで来るのに俺たちが通ってきた道を通ってきたならここに来ることは出来ますよ」
「お前もう少し頭を使え俺たちの後をついてきたなら俺たちが気づかないはずがないだろう。それに俺たちの通ってきた道を通ってきたなら倒してきた血のにおいで余計魔物が出るわ」
「でもだったら・・・そうだ!おいお前服がきれいだな絶対魔物を倒してないだろう。そうなんだろう」
(どうしても認めたくないんだね)
「ああ。戦ってないよ」
(まあ、戦ったとしても返り血を浴びないように倒すけどね。だってくさいじゃん)
それを聞いて驚いたのが数名
(こいつ戦ってないだと!この森の魔物は人を見つけたらすぐに襲ってくる。例外は自分よりも遙かに強い強者には襲ってこないが・・・まさかそこまでの腕なのか)
信じられないという顔をしているのがほとんど
(戦ってないとは、どんだけ運がいいんだよ)
チャラい兵士はニヤとしている
(ほらやっぱりこいつじゃないじゃん)
そして集は
(いい加減この意味のない論争をやめてくれないかな~。早くドラゴンのところに行きたいのに。ハァ~こいつにも威圧をあてようかな)
ちょっとイライラして恐ろしいことを思っていた。
ドラゴンを屈服させるほどの威圧をただの兵士に当てる。それはよくて失禁、悪ければ死を意味していることになる。
そしてその論争に終止符を打ったのは、隊長でも集でもなく、ずっと気絶していた姫様だった。