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優利子誕生



1894年の春、五月二十二日、麻布の高級住宅が立ち並ぶ通りにある和洋の混じった大きな家に赤ん坊の大きな産声が上がった。

「旦那様、女の子で御座います。奥方様もお嬢様もご無事でいらっしゃいます!」

家政婦のトヨの言葉と共に書斎を飛び出し、妻と新たに生まれた娘の下へ走ったのは、この家の主人で帝国軍陸軍中将の鷲尾孝一わしのおこういちである。

「小夜!」

勢いよく戸を開け中に入るとベッドの上で娘を抱く妻の小夜が孝一のほうを向いた。十時間を越える出産だった為、若干の疲れは見られるがそれでもしっかりと娘を抱き孝一に笑顔を見せた。

「女の子ですわ。」

「あぁ、可愛い子だ。よくやってくれた。ありがとう。」

幸せそうな二人の下に、一人の少年が走ってやって来た。今年六歳になる鷲尾家長男の秀一郎だ。物珍しそうに生まれた赤ん坊を見たり触れたりしている。

「お前の妹だ。優しくしてやりなさい。」

「はい父上!所で名前はなんと言うのですか?」

「優利子だ。優しいに利口の利に子で優利子。」

いい名前だろう?といった顔をする孝一に小夜は嬉しそうに微笑んで優利子の頭を撫でた。

「優利子、よろしくね。」

そう言った母の言葉を理解したのか優利子は「あうー」と声を上げた。

 これが後に世紀の美女と詠われる鷲尾優利子の誕生である。


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