基本設定集(インカネーター)
インカネーターとは、人が言う神や悪魔、天使など(アビスの住民)の化身を宿し、その力を自在に使いこなす人間のことである。
化身が人間に宿る時は決まって、精神的に追い詰められた時である。
インカネーターになるためには、一度宿した化身との精神の奪い取り合いに打ち勝ち、その化身に認められなければならない。それは非常に辛く、厳しい試練であり、大抵の人間は敗北し、『エロージョンド』という化身に精神を完全に同化した化け物となってしまう。
しかし、その試練を乗り越え、インカネーターとなったものは人類を遥かに超越した力を得ることが出来る。
まず、身体能力はアビスの大質量の力を発している時において急激に向上にする。
さらには、そのアビスの力によって自身に対する人間の世界の物理現象が曖昧になる。
例えば、弾丸よりも早く動こうとも、その衝撃で体が摩擦熱を起こすこともなく、皮膚がひしゃげることもない。
その力を利用して、不老となったり、長命となっているインカネーターもいるという。
また、インカネーターとなると人間の世界では空想と片付けてしまうような不可思議な力を扱えるようになる。
以下にその力の概要を示す。
◆魔法
インカネーターとなったものは自身の化身の属性に対応する魔法を使用することが出来る。
魔法とは、高次元超級エネルギー空間世界『アビス』にあるエネルギーの形の一つである、『精霊』を用いて放つ力である。
後述するインカネーターの様々な力はこの魔法がベースとなっているため、広義的に言えば、それらを含めて『魔法』と呼ぶ。
魔法は火、水、大気、大地、光、闇、マナの七属性あり、大抵の化身はどれか一つの属性に対応し、その化身に対応した属性の魔法をインカネーターは扱える。
魔法の発現は至ってシンプルであり、まずは属性に対応した色の魔法陣を展開し、アビスと人間の世界を繋ぐゲートを作る。そこからアビスの力を無理矢理人間の世界に引っ張り出して使用する。後はその術者のイメージを投影して魔法は発現される。
魔法でまず重要なのはイメージ投影の具現化であり、魔法発現の最初の壁である。上手くイメージを投影出来なければ魔法は発現できず、さらに無駄に精神力を消費するだけである。
しかし、下手にイメージしなくとも、インカネーターとなったものは初期からイメージが容易い下級魔法を扱える。
下級魔法名をアダムは以下のように命名した。火は『フレイム』、水は『アクア』、大気は『エアリアル』、大地は『ロック』、光は『レイ』、闇は『ダーク』となっている。
また、魔法は『魔法名』を付けることによって、よりイメージが定着化し、強力になる。魔法は複数の名を持つとその分印象が強くなり、強力になる。
しかし、基本的に一つの魔法に二つの名をつけるのがインカネーターのセオリーである。その理由は、それ以上の名をつけると逆にイメージを崩し、魔法の威力を落としてしまうからである。大抵のインカネーターは母国語と英語のような別の公用語を使用していたりする。
◆精神力
ここで説明される精神力は、広義的な意味合いではなく、アビスの力を行使するためのいわゆる『魔力』のようなものである。
アビスの力を使用する際、必ずこの精神力が消費される。精神力は意志の力──いわゆる心の強さが反映される。それは、スポーツマンにおけるハングリー精神、勉強に対する集中力、何かに耐える忍耐力、様々なものに起因する。故に必ずしも広義的な精神力とは全く違うと言うことではない。インカネーターの強さは、この精神力の強さに比例していると言っても過言ではない。
◆固有能力
インカネーターは、狭義的な魔法とは異なった、その化身に対応した全く別の能力を有している。その能力はそのまま固有能力と呼ばれる。
固有能力の特徴としては、魔法のようなアビスから解き放つ力ではなく、源はそのアビスの住民そのものであるということ。
基本的に、固有能力は一人のインカネーターに一つである。
さらに固有能力は魔法よりも強力な力であることが多く、攻撃型の固有能力を持つものは、魔法を身体能力強化系のみしか使わない場合が多い。
故に、インカネーターの戦闘スタイルは固有能力に依存しているケースが多い。
◆捕縛結界
捕縛結界とは、例えるならばインカネーターにもたらされる小さな箱庭のような世界である。
大抵のインカネーターは戦闘の際、この捕縛結界を発動して、その中で戦闘を行う。その理由としては二点挙げられる。一つは、捕縛結界内では、自身に有利なルールが働くため、戦いやすくなるということ。もう一つは、捕縛結界内でのアビスの力の発現は近くにいないとほとんど察知できないため、天使の襲撃防止となること。
アダムの様な世界を守る側としては、周囲に甚大な被害をもたらさないためであるという理由も含んでいる。
また捕縛結界の内装は、インカネーターに宿る化身の由来と関係していると言われている。
◆固有武器
さらにインカネーターは各々で固有の武器を保有している。
固有武器の利点は発現する際に無挙動で発現できることにある。
そのため、緊急の際には固有武器で対処するのがベターである。
インカネーターによっては、この固有武器が強力無比であるため、固有能力がなかったり、その逆も然りであったりもするという。
◆インカネーターの『技能』
インカネーターには魔法や固有能力などの他に、熟練すると使用できる以下のような『技能』がある。
*『過負荷駆動』
自身の精神力を一時的に急激に上昇させる技能。この技能によって、通常では発動できないような強力な力を解き放つことができる。いわゆる格闘ゲームで言う、『超必殺技』のような技能である。しかし、一定時間が過ぎるかその力を無効化されると、精神力はどん底まで落ち、戦闘不能となるため、使いどころを間違えれば非常に危うい状態となる。
*『瞬間転送』
空間内を無挙動で、かつ瞬時に移動でき、さらには消費する精神力も少ないという非常に便利な能力である。この技能を使えるようになるには、インカネーターとしてのかなりの熟練が必要である。故に、世界数多に存在するインカネーターでもこの技能を使用できるものは限られている。その移動範囲はさらに熟練することによって拡がることが可能だ。
*『二重結界』
捕縛結界内にさらに捕縛結界を創りだす技能。この技能を使えば、相手の捕縛結界内において自身が不利な状況となっても、自身の捕縛結界に相手を巻き込み、有利な立場とすることができる。しかし、多少消費する精神力が割高である点や力量が違う相手だと取り込みにくい点などがネックであり、使いどころを見極めないと痛手を見ることになる。
*『限定結界』
指定した者だけを強制的に自身の捕縛結界に取り込むことが出来る技能。さらに、精神力の消費は非常に少なく、『二重結界』の上位互換のような技能である。さらに『二重結界』では相手の力量によって成功確率が変動するが、この『限定結界』は有無を言わさず全ての者を取り込むことが出来る。しかも、人数に制限はない。非常に便利な技能だが、伝説級のインカネーターでないと習得することが出来ず、『限定結界』を扱えるものは世界でも数えるほどしかいない。
◆禁忌の『技術』
*『合成魔法』
二つ以上の属性の魔法を混ぜ合わせ、発現させる技術、
『人間の世界』で扱うには、魔法という概念はアビス側に親和性がある為、それをより濃くする行為は術者がアビス側に引きこまれてしまう恐れがある。
更に、精神に強い負荷が掛かる為、それを耐え忍ぶ方法が必要である。
*『人神統合』
アビスの化身とそれを宿したインカネーターを無理矢理完全調和させる技術。
前述した合成魔法と原理は近く、だが人神統合は化身そのものを自身の精神に同調させる為、合成魔法よりも術者をアビス側に引きこませる危険性が非常に高い。
しかし、成功すればアビスの住民とほぼ同等の存在となり、一時的に後述で述べる『現人神』と同義の状態となる。
◆現人神
インカネーターが化身を介し、その本神と完全に同調する事によって、その住民とほぼ同じ存在となった状態。
人の世界ではその歴史上でも、数える程しかその状態に至った存在はいない。
現人神となった者は一時的に完全に人の世界の定義から外れたアビスの住民となる為、アビスの力を持つ者以外からは完全に存在を忘れさせられる。
だが、アビスの住民そのものとなる為、その精神力は莫大に跳ね上がり、完全にその力を発揮出来る。