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第一話:穴

 ―何でこんな事になってしまったんだろうか?―

と、今更こんな事を考えても意味がなかった。

とりあえず、落ち着いてもう一度周りを見渡してみる。

……

………

―ダメだっ!!―

何度も見渡してからそう思った。


山、山、山。

ところにより、雪。

「あ゛〜っ!!一体ここはどこなんだよぉっ〜!!!!!」

ついにオレは叫んでしまった。いや、叫ぶだろう。普通。


っていうか!!

「寒い!!!!」


気温−30度(大袈裟)と思われる雪山に一人佇み叫ぶオレ。

 何でだ?ついさっきまでは夏だったじゃん!

半袖を着ている自分を呪いながらさっきまでの事を思い出してみる。


…10分前くらいの事だった。

オレこと水野架音(ミズノカイン)は…確か…。

確か学校にいたハズだ。




*******

桜咲く4月。

高校2年生に進級したてのオレは昼休みにクラスの友達と初々しい一年坊主達を眺めながらバカ話をほのぼのとしていた。


「あ〜…。一年生…っ。イイッ!!」

この学校でオレの唯一の親友・高原聖羅(タカハラセイラ)は三階の教室の窓からグランドを駆け回るまだ中学生っぽさが完全に消えない一年男子達に悦りだした。

「お前おっさんかよ。」

オレは彼女の悦り具合にあきれながらボソッと声を発した。

「何?!御主にはあのプリリとした尻の良さが解らぬか!!」

「いや、お前男のケツ見てたのかよ;」

って言うか、何故にそんな喋り方?お前誰だよ。

「男の尻は女のロマン!!」

なおもそう叫ぶ友人にある意味尊敬している今日この頃…。

 ふと、グランドを見下ろすと、グランドのはしっこに何やら奇妙な穴があいているのを発見した。

小さな黒紫色の穴。何だ…?

穴を見た一瞬何か妙な感覚が体全体にはしった。

「なぁ。せら。あれ何だ?」

「せら」というのはもちろんオレの隣で悦っている聖羅の事である。つまりあだ名だ。

オレが声をかけるとせらは男の尻を見るのをやめて聞いてきた。

「…あれってどれよ?」

「あれだよあれ。」

グランドのはしの方を指差すオレ。

「どれだよどれ?何もないよ。」

そんなバカな。あの目立つ黒紫の穴が見えないと?

テキトーにしか見ていないんじゃないか?と思ったがそうではないらしい。

「あの穴見えないか?」

「穴ぁ?見えねぇよ。そんなもん。」

そんな苛立たなくてもいいじゃないですか、せらさん。

とにかくせらにはあれは見えないらしい。


…謎。


気になるかも。

そう思ったが最後。

オレは教室の時計と相談し、いまだ男子生徒の尻を見ているせらをほっぽってグランドに向かった。

昼休みはあと30分。

穴を調べるのには十分な時間だ。

「あった……。」

かなり急いで走ってきたのでハァハァと息が苦しい。

息を整えながら穴の近くに向かう。

「へぇ…。近くで見たらただの穴だな。」

そう。期待して来たのに、近くで見るとただの落とし穴。

悪戯で誰かが作ったらしい。黒紫に見えたのは気のせいだろう。

「なんだよ。まったく。つまんねぇ。」

ちょっとガッカリしながら穴に文句を言って教室に帰ろうとした。

「水野?」

帰ろうとしたら声をかけられた。

振り向くと見覚えのある男子生徒が不思議そうにオレを見ていた。

「なんだ。海隆寺かよ。」

あきらかに失礼な返事をすると声をかけた男は顔を歪めた。

彼の名前は海隆寺秋良(カイリュウジアキラ)

同じクラスの金持ちお坊ちゃまだ。

これといって仲が良いワケではなかったが、奴はやたらとオレに話しかけてくる。

別に嫌いじゃないが好きでもない。

「心配してやってる相手にむかってその態度はないだろう?」

明かに心配などしていないこの男は怒っているらしい。

「……」

「何だよ?その『心配なんかしてないじゃん。お前。』みたいな顔は。」

思っていた事が顔に出ていたらしい。

「そんな顔してねぇよ。」

思いっきり嘘をつきながらその場を去ろうとした。

が、海隆寺に腕をつかまれ帰れない…。

「…?何だよ?放せって。」

なんだか、恐い顔をして見てくる海隆寺。オレ…何かした?

「ごめん…水野…。ごめん…。」

「は?」

海隆寺は恐い顔を苦しそうな顔に変え、あやまってきた。

かと思ったら…。


グイッ!!!


「へ…?…ってうわぁっ〜!!!」


つかまれていた腕を引っ張られオレはそのまま穴へ落とされてしまった…。

           ―――うそ〜ん…ッ?!―――

マジッすかぁ〜?と叫びながらまるで吸い込まれるようにどんどん下に落ちていく…。

―――海隆寺…許さねぇ。

そう思った瞬間オレは意識を手放した。


そして…。


今に至る。


この先オレはどうなるんだろううか…?

とりあえず、へぼ作品でごめんなさい・・。

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