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秋桜  作者: 七地
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物憂い (4)side:コジ

もう駄目だ。このままじゃオレの額が割れる…

数学の問題を解きながら、間違える度にどつかれている。

梨桜さん、何してるんですか?美容室ってそんなに時間がかかるんですかっ!?


「他のこと考えてんじゃねーよ」


「イデッ」


またどつかれた。葵さんの馬鹿力…

梨桜さんが勉強を聞いているときは優しく教えてやってるクセに、オレの時はスパルタすぎる。


力尽きて、床に倒れこみそうになっている時に、扉がノックされた。


「すみません、失礼します」


情報担当が部屋に入ってきた。




「何だ?」


ソイツはオレを見ていたけれど、葵さんに声をかけられてオレから葵さんへと視線を移した。

何か良くない事があったのだろうか?


「小嶋さん、葵さんに教わってるんすか?」


学校では上級生の情報担当は躊躇いがちにオレに聞いてきた。

オレはチームの幹部。青龍の幹部が勉強を教わっている姿なんて本当は見られたくない。


「ああ、コジはいつも梨桜ちゃんに教わっているんだけど、今日はいないから代わりに葵が教えてるんだ」


「姫に教わってるなんて凄いっすね」


愁さんにとっても上級生のソイツは、驚いた顔をしてオレを見た。


「コジ、ここ間違ってんぞ」


痛い。

梨桜さんに向ける優しさの欠片をオレに向けてくれないだろうか…


「なんの用だ?」


葵さんに聞かれて、情報担当は慌てて二人に携帯を見せながら、幹部室に来た理由を話し出した。


「チェンメです。姫の隣を歩いているのは藤島です」


葵さんが携帯を奪い画面を凝視した。オレも画面を覗き込むと、制服を着た梨桜さんと藤島が並んで歩いている画像が映し出されていた。


画像の下に表示されている文章に目を疑った。


☆制裁してくれる人募集☆


どんな方法でも構いません。

朱雀と青龍の周りをうろつく、身の程知らずの女に

自分の立場を思い知らせてくれる人募集!

勿論、謝礼します。


☆詳しくは**@****まで☆



「葵さんと一緒に写ってるチェンメもあります」


もう一枚の画像は梨桜さんと葵さんが並んで写っている。

葵さんと梨桜さんがプライベートで出かける時は、葵さんの腕に梨桜さんが手をかけながら歩く。

この写メは、梨桜さんと葵さんが二人で廊下を歩いているところで、いつもの仲の良い雰囲気は感じられない。

しかも、この背景に見覚えがある。これはウチの学校だよな?


「この写真は定例会で東青に来たときだよな」


愁さんが言うと、葵さんは携帯を取り出して操作し始めた。

東青の生徒が写メを撮ってチェーンメールを流したのか?…どういうことだよ。


「写メ撮った奴を捜して連れて来い。――コジ、桜庭に車を出させろ」


そう言うと、葵さんは携帯を耳に当てながら立ち上がった。

愁さんは携帯で下の奴等とやり取りをしていた。オレは桜庭に電話を掛けて車を出すように言った。


「梨桜、まだ終わらないのか?―――店の傍に何がある?――――そこで待ってろ。…いいからカフェで待ってろ、わかったな?」


そう言って電話を切ると、厳しい目をして愁さんを見た。


「葵、梨桜ちゃんの居場所はわかったのか?」


「ああ、後の事は頼んだぞ。コジ、お前も来い」


「はい」


オレは葵さんの後について幹部室を出て梨桜さんの元へと急いだ。


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