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秋桜  作者: 七地
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朱雀(1)

早く解放してくれないかなぁ‥と思いながら海堂悠を見ると


「今日も図書室にいたんだろ?いつも何してるの?」


海堂悠がにこりと笑いながら聞いた。さっきも私が図書室にいるって話してたけど、さりげなく誰がどこにいるかチェックしているんだ‥


「課題とか…かな。教科書が違うから戸惑っちゃって、学校なら先生にすぐ聞きにいけるし…ね?」


口から出任せを言ってみた。

私は本当なら高校2年生。去年この教科書を終わらせている‥人を待つための時間つぶしとは気づかれたくない。


「やっぱ真面目だなっ今度ノート写させて?」


私に笑いかける彼はどうみたって、かっこいい男子高校生だ。

彼に愛想笑いを返しながら心の中でため息をついた。


不良とか普通の生徒とか考えて接するのが面倒くさくなってきた。

朱雀に所属しているからなんだというんだ、ここの学校の生徒には違いない。愁君や葵が言うように接触しないで過ごすなんて無理だ。

要は私が葵の双子の姉っていうことがバレなければいいわけだし、2段階も変装しているんだからバレないんじゃない?


やーめた。と決めて海堂悠に『それじゃあ』と言おうとしたら、まるで私の考えを見透かしたかのように携帯が震えた。


サブディスプレイをチラリと見ると葵だ

今出られない。


「電話鳴ってるよ?出なよ」


大橋拓弥はにっこり笑った

放っておいてくれていいのに‥


「すみません。失礼します」


またぺこりと頭を下げて電話をとった。こうなったら話ながら彼らの前から消えよう


「はい」


『梨桜?』


双子だからだろうか?声のトーンで何を言いたいのか分かってしまう。


「うん‥今から帰るから」


『わかった』


「じゃあね」


『走るなよ』


「はいはい‥」


電話を切った。3人の視線が痛い。


「梨桜ちゃんの彼氏?」


大橋拓弥が聞いた。笑っているけどやはり目は笑っていない。


「いえ、違います」


何でだろ?さっきから藤島寛貴が私を見ている。目を逸らしてくれない

どんなに見られても私は葵とは似てないからばれないよね?


「途中まで一緒に帰ろうか」


お断りします。と心の中で言ってみた


「拓弥さん、オレナンパするなって言ったよね?」


ナイス!海堂悠


「すみません、夕飯の買い物があるので失礼します」


私は3人を置いて校舎をあとにした

また電話


「はい‥」


言われなくても帰るってば‥


『梨桜ちゃん?』


愁君だ。葵だと思って思いっきり無愛想に電話に出てしまった


「ごめんなさい、葵かと思った。どうしたの?」


『待ち合わせ場所変えようか‥梨桜ちゃんは振り返らないで欲しいけど、後ろから朱雀の総長達が歩いてくる』


「そう‥私駅前のスーパーに行くね」


『わかった。迎えに行くから、重いもの持ったらダメだよ』


けがをしてから重いものを持つのが苦手になった。葵は買い物に付き合ってくれて荷物を持ってくれる。

図書室での噂はきっとそれを紫苑学院の生徒に見かけられたのだろう


「うん、ありがとう愁君」

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