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秋桜  作者: 七地
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お兄さんの言いつけ(2)

お墓参りを終えて、青龍のチームハウスにやってくると、愁君は葵と自分が通っている学校と私が通っている学校の関係について教えてくれた。


私が通っている学校は葵のチーム“青龍”とライバル関係にあるチーム“朱雀”に所属している生徒が多くて幹部もいるらしい。

そうは言っても私の通う学校も有名進学校。不良と言われても見かけは普通の真面目な高校生と変わらない。

普段学校にいる時もママのお墓参りに見かけたようなオレンジやピンクの頭をしたカラフルな人は見かけなかった。



週が明けて学校に来たけれどやっぱり、誰が朱雀に所属している生徒で誰が一般の生徒なのか私には見分けがつかない。


週末に愁君から教わったこと。



1.男子生徒と必要以上に会話をしてはいけません。

2.男子生徒と目を合わせてはいけません。

3.男子生徒を下から見上げてはいけません。



愁君から教わった事を実践して昼休みと放課後はなるべく図書室にいるようにした

放課後は葵か愁君から連絡が来るまで課題を済ませるのが日課になり、今日も図書室にいると男子生徒の声が聞こえた。


『なぁ、聞いたか?』


『青龍の頭の事か?』


『ああ、俺も聞いた』


『送り迎えしてる女がいるらしいじゃん、あの宮野がだぜ?』


宮野って葵の事?


『ウチの総長も顔いいけど、宮野もいい顔してるよな。あいつが送り迎えする女なんてどんだけ可愛いんだよって思わねーか?』


『宮野って本命彼女は作らないんだろ?』


『ウチのトップだって本命は作らねーだろ』


『見てみてーよな、宮野が入れ込んでる女』


そっと教科書をしまって図書室を出た。朱雀関連には関わらない方が身のためだ


廊下を歩いていると携帯が鳴った


「もしもし」


『梨桜、今どこ?』


周りに誰もいないのを確認して口にした


「学校‥ねぇ‥噂になっているみたいよ?大丈夫なの?」


『噂なんか関係ないだろ?1人で帰るのは許さないぞ。早く来い』


下駄箱まできて安心したのかつい、いつもの調子が出てしまった


「横暴だよ、いつからそうなったの?」


『梨桜のくせに』


「何よ弟のくせに」


『いいから早く来い!』


電話が切られた


「もう‥」


視線を感じて後ろを振り返ると男子生徒がこちらを見ていた


「東堂さんていつも図書室にいるよな‥」


クラスメイトの海堂悠がにこにこと笑いながら私に声をかけた


「課題を済ませていたの‥」


愁君が教えてくれた

『梨桜ちゃんのクラスメイトの海堂悠は朱雀の幹部だから気をつけて。彼は朱雀のナンバー3だよ』


「真面目だな、東堂さん」


彼の事を愁君から聞いていなければ彼が朱雀の幹部だとはわからなかっただろう。

外見は普通の明るい生徒でどちらかというと可愛い顔立ちをしていて女の子に人気がありそうだった。


「そんなことないよ‥」


早速、愁君の言いつけを破ってしまった。


「悠、学校でナンパは良くないよ」


後ろから聞こえた声に振り返ると男子生徒が2人いた


「あんたと一緒にされたくないよ、拓弥さん」


「悠、生意気」


拓弥と呼ばれた人とその隣に立つ人は2年生の襟章をつけていた

学年は一つ上だけど同い年か‥


「悠、この子誰?」


「オレのクラスに転入してきた東堂梨桜ちゃん。真面目なんだから拓弥さんちょっかいだすなよ」


「うるせ。梨桜ちゃん、て呼んでいい?オレは大橋拓弥こっちは知っているだろ?」


隣を差してにっこり笑うけど私は首を傾げた


「え!東堂さん、この人知らないの?」


女好きする顔だよね‥と思いながら大橋拓弥を見た。長めの前髪を無造作にかき上げる仕草に色気がある。少しだけ垂れた目が人懐こそうな雰囲気を出している。一見チャラそうな雰囲気をだしているけれどにこにこしながらも私を値踏みするように見ている。


「ごめんなさい‥」


実際に顔を見るのは初めてだけど、大橋拓弥の事も愁君から聞いていた。朱雀のナンバー2副総長


という事は残るこの人は朱雀のトップ?


「こいつは藤島寛貴、生徒会長」


私はぺこりと頭を下げた

藤島寛貴は私をじっと見ていた。そんなにメガネをかけたおさげ髪の女が珍しいのだろうか?

それにしてもこの男の顔も整っている。落ち着いた雰囲気を出していて、ああこの男がトップなんだろうな‥と納得してしまった

同じ不良のリーダーだけど、葵とは両極にいるように感じた。


―――それにしても、葵と愁君から言われていた。接触してはいけない人達に接触してしまった

きっと葵から怒られるんだろうな‥愁君からもお小言言われちゃうんだろうな‥


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