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秋桜  作者: 七地
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進路相談と大好きな人 (6)

「やっと帰って来たのに?そんなのヤダよ‥」


私は慧君の言葉を聞いて、首を横に振りながらその言葉を口にしていた。


『日本に帰国したのは京都にある大学の研究室に呼ばれたからなんだ。来週から京都に住むことになった』


ママのお墓参りから帰って来た夜、慧君は話がある。そう言って私達に京都に住むことを告げた。


「梨桜、慧兄だって仕事なんだ。仕方ないだろ?親父だって仕事でイギリスにいるだろ」


葵に諭されて、流れ落ちた涙を掌で拭った。


「梨桜、ごめんな。大学の時に世話になった教授が京都にいて、研究室に呼ばれたんだ」


「ごめんなさい」


慧君は私の顔を覗き込むと両手で私の頬を挟み、親指で涙を拭ってくれた。


「東京と京都なんて、アメリカに比べたら凄く近いだろ。これからはいつでも会いに行けるだろ?」


葵が言い、慧君も「そうだな」と頷いていた。


「梨桜と葵が京都に来るか?それでもいいぞ」


慧君が言うと、葵が「オレはここにいる」と即答した。


葵がここにいるなら私もいる。


「慧君、我儘言ってごめんなさい。‥京都で、お仕事頑張ってね?」


そう言うと、慧君にぎゅうっと抱きしめられた。


「葵が一緒にいるから寂しくないだろ?」


優しく背中を撫でながら言われて頷いた。


「うん。…でも、長いお休みには帰ってきてね?」


「分かってるよ、長期休暇には帰ってくるから。梨桜と葵もいつでも遊びにおいで」


「慧兄、梨桜に甘すぎ」


葵が呆れたような声で言うと、慧君がクスクスと笑っていた。


「焼きもちか?」


「そんなわけないだろ」


葵が言うと、慧君の携帯が着信を知らせた。

慧君は私から腕を解き、電話に出るとリビングを出て行った。


「いい加減、泣き止め。おまえは幾つになったんだよ」


「そんなこと言ったって」


勝手に涙が出てくるんだもの、仕方ないじゃない。


「明日、眼が腫れてるって騒いでも知らないからな」


もう少し違う言い方があってもいいんじゃない?


「葵、冷たい」


ジトっと葵を見ると、葵は“面倒臭ぇな”と言いながら立ち上がり、冷蔵庫から保冷剤を出してタオルで包むと私のところに戻って来た。


「ソファに寝ろ」


言われるままにソファに横になると、目に保冷剤を当ててくれた。


「葵、京都に遊びに行こうね」


「ああ」


この返事の仕方は本気じゃない。


「絶対だよ?」


念を押すと渋々といった感じで返事をした。


「わかったよ。京都に連れて行く」


約束破ったら、チョコレート食べさせるからね。



「梨桜、泣き止んだか?」


電話を終えた慧君が戻ってきた。


「泣き止んだよ。明日、眼が腫れたって騒ぐから冷やしてる」


私が答える代わりに葵が言った。


「葵、オレよりお前の方が甘いんじゃないか?」


慧君が楽しそうに笑っていた。



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