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秋桜  作者: 七地
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強引な招待 (1)

土曜日、『病院が終わったら、一緒にママのお墓参りに行こうね』って約束していたのに、チームの事で急用が出来てしまった葵は出かけてしまった。


『一人で行くな』そう言われていたけど、そこまで子供じゃないし、どうしてもお墓参りに行きたかったから一人でお寺に来てしまった。




ママが眠っているお墓に、ママが好きだったお花とお菓子を供えて手を合わせた。

もう、ママがいないなんてまだ実感がわかない。


2年前に調子が悪いといって病院に行ったママはそのまま入院した。

その時は知らなかったけれど、後から教えてもらった病名は肺癌だった。


手術をしたけれど、転移して病状が進んでしまい、去年私が事故に遭って、意識を失くしている間にママは逝ってしまった。


私が知らされたときには、お葬式も、埋葬もすべて終わっていた。


だから、まだママがこの世にいないという実感がわかない。どこか遠くの病院に入院しているのではないか?そんなふうに思ってしまう事がある。



お墓参りを終えて、タクシーを拾おうと思っていると、遠くから声をかけられた。


「梨桜ちゃん!?」


「悠君?」


吃驚した反面、メガネをかけてきて良かった。と思った

前に愁君がこのお寺の近くに朱雀の溜り場があるって言っていたから、誰かに遭うかもしれないと思って、地味な梨桜にしてきた。


「こんなところに1人でどうしたの?」


「お墓参り‥」


「弟は?」


少し考えて「クラブ活動」と答えておいた。


「オレ達の拠点にしてる倉庫が近くにあるんだ。家まで送るから寄っていきなよ」


いや、それはまずいでしょ。


「でも‥」


どう考えてもそれはまずいよ。葵に知られたら本気で監禁されるから…


「急に行ったら悪いから」


「遊びにいくだけだから大丈夫。寛貴さんもいるし」


断るつもりで口を開いたら、すぐ目の前に車が停まった。

え!?手配が早すぎない!?


「ほら、乗って」


「ちょっと、悠君?困るよっ」


「‥オレのこと、嫌い?」


「え?」


どうしてその質問に結びつくの?


「嫌い?」


その、可愛い顔で首を傾げて「嫌い?」そう言われると、とっても困る。


「嫌いじゃないよ。でも、急には困るよ」


「嫌いじゃないなら、乗って?」


強引に乗せられてしまった。


‥どうしよう!?

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