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秋桜  作者: 七地
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残念なワタシ

紫苑学院 1年2組 これが私が編入するクラス‥


「転校生、自己紹介しなさい」


「東堂梨桜です。札幌から来ました。よろしくお願いします」


昨日、愁君は恐ろしい話しをした。


『紫苑学院は昔から東青学院のライバル校なんだ。去年まで男子校で今年から女子生徒を受け入れた。女子の人数が極端に少ない学校でもある。その学校に宮野葵の双子の姉がいる事を知られたら梨桜ちゃんの身が危険だ。絶対に素性を知られないように。いいね?』


時期外れの転入に加えて、体育の授業が受けられない私を快く受け入れてくれたこの学校。

なんていい学校なんだ!と思っていたらこんなところに落とし穴があったんだ‥



『梨桜、学校にいる間はこれをかけろ』


葵から渡されたのは銀縁メガネ‥


『学校の帰りはオレか愁が迎えに行く。絶対に紫苑学院の生徒とは深く関わるな。特に生徒会は駄目だ。いいな?』


おさげの銀縁メガネの地味な女子高生になっちゃった私。せっかく可愛いセーラー服なのに‥

葵のばか!弟のくせに生意気!しかも、極端に女子が少ないと聞いていた通り、私が編入した1年2組には2人だけ。

しかも!貴重な女子生徒は担任曰わく『登校拒否』らしい


クラスメイトはみんな男子。

しかも私が地味すぎるからか、周囲は声をかけてこない

遠巻きに私を眺めていてたまに溜め息が聞こえる。期待外れの転校生。そんなところだろうか?


私は地味な女子高生、友達になれそうな女の子はいない‥帰りは葵か愁君の強制お迎えで放課後の自由はほぼ皆無!


私の楽しい女子高生ライフはどこへ行ったんだ…私も周りに気付かれないように溜め息をついた。


放課後、私を迎えに来てくれた葵に不満をぶつけた。


「葵、メガネとりたい」


「いいよ」


あっさりと言い葵は私からメガネをとり、結んでいた髪の毛を解いて手櫛で整えてくれた。


「着替えろ」


葵に紙袋を手渡された。念には念をいれるんだそうだ。


私は公園のトイレで着替えた

どこの制服かは知らないが、どこにでもあるようなブレザータイプの制服

葵と愁君の力のいれようは相当なもので私は学校、放課後、プライベートと3段階の格好にならなければいけない羽目になった。


着替えを終えてトイレから出ると葵は私にメガネを渡した

銀縁メガネから替えてセルフレームのメガネをかける。髪はおろしたままでいいらしい


迎えの車に乗り込み、不満を爆発させた


「こんな面倒なのイヤ!葵の学校に転校したい」


こんな生活は不便で面倒くさい!私の楽しい女子高生ライフを返せ!


「無理言うなよ。男子校だ」


「だって、女子がクラスで私1人なんだよ!?しかもあんなに地味な女子高生今時いないよ!」


「梨桜の身を守るためだ。我慢しろ」


偉そうに上から目線で冷たく言い捨てた。

何よ生意気!


「‥・弟のくせに勝手に大きくなって偉そうに生意気!」


そう言うと、ゴン!と頭突きをされた


「いったぁ~い」


運転手とルームミラー越しに目が合うと彼は驚いていた。


「葵、横暴!」


「うるさい‥・買い物行くんだろ?」


私は頷いた。

買い物に連れて行けと昨日私が駄々をこねたのを思い出した。




車が繁華街で止まり、葵が先に車から降りた。


「行くぞ」


葵が差し出したの手をつかんで車を降りた


「夕飯の買い物もしたい」


「うん」



街中を歩いていると視線が痛い。女の子から視線を向けられ、目があうと睨まれる

“何であんな女が隣にいるの?”皆の目がそう言っている。


「葵って有名人なんだね」


「いちいち気にしていたらキリがない。変装して正解だったろ?」


頷いて葵を見上げた。葵も伊達メガネをかけているけどあまり意味がないような気がする。


葵と買い物をして最後にスーパーで夕飯の材料を買ったが葵はスーパーでも注目されていておば様達の熱い視線を浴びていた。


「学校帰りに梨桜と買い物するの久しぶりだな」


葵は買い物袋を持ってくれた。事故にあってから重い物を持たせないように気を使ってくれる。口は悪いけど優しい弟だ。


「そうだねぇ…前はほとんど毎日一緒に帰ってたもんね」


葵と2人の買い物も懐かしくて、またこうして生活できることが幸せだった

私達はいつも2人一緒だったもんね、これからも一緒だよね…


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