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秋桜  作者: 七地
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嫉妬 (4) side:悠

午後から学校に来たオレは放課後、生徒会室に入るなり聞かれた。


「梨桜ちゃん?休みだけど」


寛貴さんと拓弥さんが揃って聞くなんて珍しい。


「なんで?」


「昨日の帰りに転んだんだよ」


拓弥さんがタバコを銜えながら言った。


「え!?大丈夫だったの」


「手首を捻挫してた」


ドジだな梨桜ちゃん、しっかりしてるように見えるのに‥


扉が開いて東青の生徒会が来た。



表向きだけ穏やかな会合が開かれた。

最近、互いのシマに黒鬼という卑怯なチームが出没していることがわかり、話し合いが一段落すると三浦が言った。


「そういえば、生徒会に女子生徒が入ったんだって?」


「ああ、今日は休んでるけどな」


拓弥さんが答えると宮野がフッと笑った。

この男が笑うなんて珍しい。そう思い綺麗な顔を見ると、口角が上がっているが目は笑っていなかった。


鋭い目をしてこちらを睨んでいた。


「紫苑も物騒な学校だよな?」


「なに?」


寛貴さんがそれに答えた。寛貴さんも宮野を睨み返している。


「そのまんまだよ」


宮野が寛貴さんに丸められた紙を投げつけた。

片手でキャッチした寛貴さんが紙を広げて書かれていた文字を見ると舌打ちした。

それを拓弥さんに渡しオレも文字を見た“朱雀の隣を歩くな”


「これをどこで?」


拓弥さんが紙の裏と表を見ながら聞いた。


「さっき拾ったんだよ」


宮野はまだ寛貴さんを睨んでいた。

それを真正面から受け止めて睨み返す寛貴さん。幹部のオレでもゾクッとする睨みあいだ‥


「生徒会に入った彼女は怖い思いをしてるだろうな、可哀想に…」


三浦が言った



「拓弥さん。昨日、梨桜ちゃんは転んだって言ったよな?どこで転んだんだ?」


オレが聞くと拓弥さんが舌打ちした。


「中途半端にするならその女解放しろよ。お前らの誰かの女なのか?」


宮野が言い三浦も畳み掛けるように言った。


「そうだな、守らないのに傍に置いておくのはきっとその女子生徒も迷惑している」



東青が帰ったあと


「ふざけた真似しやがって」


拓弥さんが壁を蹴った。


「拓弥さん、昨日梨桜ちゃんは誰かに突き飛ばされたとか、そういう理由で転んだんじゃないのか?」


「そういう事かもな…悠、梨桜ちゃんの連絡先聞いてるか?」


「聞いてない」


オレ達は彼女の連絡先すら知らないんだよな。


「悠、これからは梨桜から目を離すな」


寛貴さんの言葉に頷いた。梨桜ちゃんを守らなくちゃいけない。



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