表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秋桜  作者: 七地
26/258

生徒会 (5) side:悠

小さな弁当にびっくりした。あれだけで十分だという。

この前、階段で抱えた時に感じた彼女の軽さに納得した。


しかも、昼を食べた後には昼寝がしたいと言い出した。

昼寝をしないと夕方眠くなるからとか言っていたが、おまえはいくつだ?と聞きたくなった


それは寛貴さんも拓弥さんも同感だったらしい。



「そのパーカー、大きすぎじゃない?」


オレがつっこむと


「お昼寝にはちょうどいいんです」


納得できるようなできないような回答が返ってきた。


「それ、男物だよね」


拓弥さんが聞いていた。

聞かなくても間違いなく男物だろう?

しかも少し着古した感じがある。わざわざ昼寝用に買ったものではないことが見ただけでわかる。


「はい。もらったんです」


「え?」


何かを思い出したのか、ふふっと笑い、携帯でタイマーをセットして机におくとフードをかぶり机につっぷした。


眠りの邪魔になると悪いからオレ達は隣の部屋に移動した。





「なんだよあの男物のパーカー‥メガネちゃんに彼氏いるのか?」


「いないって言ってたと思うけど?家族の服とか」


寛貴さんもソファに座って腕を組んで目を閉じていた。




「午後の授業、かったるいな」


「副会長がそんなこと言ったらだめなんじゃねーの?」


隣の部屋から着信メロディが流れた


「梨桜ちゃんも起きたか?」


オレは扉を開けて梨桜ちゃんを呼んだ


「梨桜ちゃーん、授業始まるぞ~」


彼女は誰かと携帯で話していた。


「うん、そうだよ。だいじょうぶだよ。――ねぇ?」


机に頬杖をついてボソボソと話をしている。砕けた話し方は親しい人と話をしているんだろうな、と思えた。


「トマトとコンソメ。どっち?」


何の話だ?料理か?


「あのさ、そんなに悩むことじゃないと思うけど。――――1つしか作らないからね」


電話の相手に忠告しているようだ。


「授業始まるから。決まったらメールして?‥わかった。材料買って帰るから。じゃあね?」




梨桜ちゃんと廊下を歩きながら彼女を盗み見た。


メガネと長い前髪でどういう顔をしているのかいまいちわからないけれど、この外見は、お世辞でも可愛いとは言えない。とオレは思う。


この外見から、性格は暗くて真面目なのかと思ったが、話してみるとさっぱりとしていて明るい。

可愛い声をしていて、たまに女の子らしく“ふふっ”と笑いながら電話をしているときがあり、“女の子がいるな~”なんて思ったりする。


彼女からノートを借りて思うけれど、頭もいいんだと思う。

綺麗にわかりやすくまとめられたノート。

ノートを差し出す時に見た手が綺麗だった。爪は短く切りそろえられていて、ネイルをしているわけでもなさそうなのに綺麗なピンク色をした爪でつやつやとしていた。

何気なくネイルとかしないの?と聞いたら“料理するときにじゃまだからしない”と笑いながら言っていた。



彼女は不思議な子だと思う。

いつかあのおさげ髪を解いてメガネを外してみたい‥‥




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ