生徒会 (4)
強制送還された青龍のチームハウスで、鬼となった二人に凄まれた。
「どうしておまえは言わないんだよ?」
「生徒会に誘われるなんて思ってもいなかったし、逃げ切れたからいいかな~なんて思ったりして‥」
「いい加減自分の立場をわかれよ!」
「昨日嫌っていうほどわかったから話したんじゃない!」
「口答えするな!」
とってもとってもオレ様ご立腹な葵にもう言葉が続かなかった。
「ごめんなさい」
私が涙目で謝ると愁君がため息をついた
「葵、もういいだろ?梨桜ちゃん泣くぞ」
「愁君もごめんなさい」
愁君は腕を組んで考え込みながら口を開いた
「偶然出会ってしまったものは仕方ないよ。逃げてくれて良かった‥‥それにしてもあの2人が追いかけてくるとは思わなかったな」
それは私も意外だった
「手遅れだったりして?」
「なにが?」
「こっちの話」
愁君がぼそっと言い、それに葵は目を剥いて怒っていた。
「葵、帰ろうよ。今日お昼寝してないから眠い‥」
‥――――
――――‥
「昼休みに生徒会室行かないの?」
「悠君‥」
午前中の授業が終わりお昼寝セットを持った私は悠君に呼び止められた
「お弁当食べた後にお昼寝したいから‥」
さり気なく断ったつもりだったけれど、
「寝る場所くらいあるよ。おいでよ」
今日も強制連行‥‥
「梨桜ちゃん、それだけで足りるのか?」
拓弥君が聞いてきたけれど、男の人の食べる量が多過ぎだと思う。
「足りますよ?」
いつもの習慣で、歯を磨いた後に、お昼寝セットが入ったバックから葵のパーカーを取り出して羽織った。
「そのパーカー、大き過ぎない?」
確かに大きい。
180センチを超す葵が着ていたパーカーだから大きいのは当たり前だ。
「お昼寝にはちょうどいいんです」
「それ、男物だよね」
「はい。もらったんです」
「え?」
この肌触りが好きで葵から強引に奪い取ったパーカーだ。
これを着てフードをかぶると葵と一緒にいるみたいで安眠できる。
トップ3人をソファのある部屋へ追い出し、会議用の大テーブルの端を陣取り眠った。
おやすみなさい‥
携帯でタイマーをかけてフードをすっぽりとかぶり机に顔を伏せた。
アラームと違うメロディが鳴る。
これは葵‥
「はい‥‥」
『今日は昼寝できたか?』
「ん‥今起きた」
あくびをすると電話の向こうで笑っていた
『寝れたならいい。今日も駅で待ってるからな』
「ん。ありがと」
『今晩のおかずなんだけどさ』
「なに?」
『ロールキャベツ食べたい』
葵は手のかかるものが好きだな‥学校から帰ってから作るの分かってる?
「梨桜ちゃーん、授業始まるぞ~」
扉が開いて3人が入ってきた
『今の声って海堂?』
「うん、そうだよ」
『寝起きでメガネかけてるだろうな』
顔に触れて確かめた。
「大丈夫だよ。――ねぇ?」
『ん?』
圧力鍋はどこにしまっただろうかと考えながら希望を聞いた。
「トマトとコンソメ。どっち?」
私はコンソメのスープで煮込んだのが好き。
『‥‥』
黙り込んだよ‥‥
「あのさ、そんなに悩むことじゃないと思うけど」
『どっちも捨てがたいんだよ』
「今日は一つしか作らないからね」
『‥‥』
「授業始まるから。決まったらメールして?」
『コンソメ』
「わかった。材料買って帰るから。じゃあね?」
『ああ。またな』
パーカーを脱ぎ、畳んでバックに入れた。
ロールキャベツか‥少し多めに作って冷凍しておこう
教室に戻り、教科書を取ろうと机の中に手を入れたら、手に紙が触れた。
取り出してみると1枚のルーズリーフだった。
とうとうきたか‥そう思い広げると想像通りの言葉が書いてあった。
“幹部に取り入って調子にのるな。朱雀とつりあわないんだよ。”
男が書いたような文字が走り書きされていた
その文章を見て笑いが込み上げた。‥皮肉だよね?なんとか彼等から離れようとしているのに。