表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秋桜  作者: 七地
236/258

晴れのち、  (5) side:コジ

梨桜さんて運動できたんだ…


率直で正直な感想。


普段、葵さんに『走るな』と言われているから何となく運動ができないイメージがあったんだよな。


ウィッグで長くなった髪をポニーテールに結い上げている梨桜さんは楽しそうに踊っていた。ちょっとスカート丈が短いような気がするけど、これ位の衣装なら隣が怒り狂う事も無いよな。


安心して見ていられる。


「あのネクタイは梨桜が言い出したのか?」


視線をステージに向けたままの葵さんに聞かれた。


「ハイ。いつまでもいがみ合うのは良くないって言われました」


正直に答えると、葵さんの横顔が笑っているように見えた。


「アイツらしいな」


オレもそう思います。

優しい梨桜さんらしい。あのネクタイはオレ達にきっかけをつくってくれたのかもしれない。



「「「うぉーっ」」」


雄叫びのような歓声が響いて、驚いて顔を上げると…


「げっ!!…マジ?」


少しだけ感動していた気持ちがいきなりぶっ飛んだ。


梨桜さん!!!

それは…かなり、嬉しい。でも、マズイですよ!?


ネクタイを外し、ジャケットとシャツ脱ぎ捨てた梨桜さん達は、スカートに手を掛けてチェック柄の布をはぎとった。スカートの下から出てきたのは、黒のフリルがたくさんついているミニスカート。


さっきより、短いっすね…


「「チッ」」


2人分の大きな舌打ちが聞こえた。

隣を見れば眉間に皺を寄せているウチのツートップ。


梨桜さん、絶対マズイ!


ヤバイって!!

さっきの服の下になんでそんなもん着こんでんですか!!


歓声を湧き起こした衣装は…


黒いスパンコールがちりばめられた半袖のブルゾン。

ショート丈で綺麗なラインを描いているウエストが見えている。


梨桜さんが華奢な体をしてるのは知ってるけど、布で覆われていないウエストを見て改めて驚いた。

あの中にちゃんと内蔵入ってんのか?


会場は相変わらず、すげー歓声。

ついでに言うと、モロに男の腹を出している生徒は笑いを誘っていた。化粧で顔は誤魔化せても、その腹は作れないもんな。


個人的にはすっげーいいもん見た!って思う。胸元がきっちりと隠れているのは少し残念だ。

…なんて思っているなんて、隣が恐ろしくて顔にも口にも出せないけど…


藤島…あんたはこの会場にいる男達を敵に回したな。


そう思って生徒会席を見ると…

こっちもスゲーもん見たって感じだな。珍しく顔を強張らせている大橋が藤島の腕を掴んで何やら話しかけている。


葵さんと藤島の考えている事が分かる。

今すぐにステージに行ってデカイ布で梨桜さんを包んで連れ帰りたい。そんな気分だろうな…


梨桜さん、どうなっても知りませんからね…




ステージを見たっていうよりも梨桜さんを見ていたら終わってしまった。

曲もダンスも記憶に残ってない。


今、梨桜さんはステージの上で笠原さんらしきツインテールの女の子と抱き合ってはしゃいでいる。


「バカが…」


オレの隣から地を這うような低い声でダメ出しが聞こえた。


「可愛かったけど、問題が多いな」


オレ的には歓迎だけど、愁さんにも駄目だったらしい。

朱雀の反応が気になって、生徒会役員の席を見ると、不機嫌丸出しの生徒会長と苦笑いを浮かべている副会長がいた。



オレ達はステージ裏に繋がる通路に移動すると、藤島と大橋も通路に移動して来た。



後ろはステージ、前はオレ達。


梨桜さん、逃げ場は無いですよ?



.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ