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秋桜  作者: 七地
23/258

生徒会 (2)

時計を見ると5時を過ぎていた。


「私、帰っていいですか?」


「ああ‥」


生徒会長の許可をもらい帰り支度をした。


「送る」


「申し訳ないです」


“朱雀”に送られるなんて、とんでもないことだ。葵が知ったら牙を剥いて怒るよ


「梨桜ちゃん気にしないで、寛貴がいいって言っているんだから送られなよ」


「でも」


「いいから乗れ」


逆らうことを許さないような雰囲気で言う藤島寛貴の迫力に押されて車に乗ってしまった‥


黒いベンツの助手席に悠、後部座席の運転席の後ろから藤島寛貴、私、大橋拓弥。

大男に挟まれて精神的には窮屈だけどシートはゆったりしていた。


「梨桜ちゃんて、声可愛いね」


「‥‥そうですか?」


声ですか、前にも言われたな‥‥


「オレ好みに変身させてみたいな」


こっちが変身なんです。と心の中で舌を出した。


「大橋先輩、顔が近いです」


大橋拓弥が私の顔を覗き込んだ


「名前、教えたよね?」


おさげにしている髪を弄びながら顔を近づける


「ほら、呼んでよ」


「―――」


「呼ばなきゃキスする」


じりじりと近づいてくるから体を下げるけど、隣には藤島寛貴がいてこれ以上逃げられない。


「梨桜ちゃん?」


「たくや‥くん」


そう呼んだとき


「止まれ!」


助手席の悠が声を荒げブレーキが踏まれた


「うわっ」「えっ!?」


バランスを崩した私は藤島寛貴が座っている方へ体が倒れ、大橋拓弥は私の上に被さるように倒れてきた


大男がぶつかってくる衝撃を想像してぎゅっと目を瞑ると、ドン!と音がした


「いってぇ‥‥」


驚いて目を開けると大橋拓弥は後部座席のドアに頭をぶつけたのか顔をしかめていた。


私は‥‥


「うわっすみません!」


藤島寛貴に体を預けていて、しかも落ちないように支えられていた


「拓弥、いい加減にしろ」


私が体制を戻そうとすると藤島寛貴が体を起こしてくれた。


「ありがとうございます」


彼は私に倒れてきた彼を押し退けてくれたらしい


「悠!お前なんなんだよ!?」


大橋拓哉はぶつけたところが痛かったのか苛立ちを助手席にぶつけていた


「あれ、黒鬼の奴らじゃないか?」


その一言で車内の空気が張りつめたものへと変わった。


「悠、行くぞ」


助手席と後部座席のドアが開いた。


「梨桜ちゃん、気をつけて帰れよ」


「悠君も気を付けてね‥」


後部座席に藤島寛貴と2人だけになってしまい緊張した


「家まで送る」


「駅、‥駅までお願いします!」


じっと私を見る。

その目で見られるのは苦手だ‥‥


「梨桜」


「はい」


病院で会ったよな?とか言わないよね‥‥


「敬語はやめろ」


予想と違う話でホッとした。


「‥‥上級生ですし」


「関係ない」


‥‥会話が続かない。


「わかったな?」


「はい」


そう言うと、車の窓の方を向いてしまった。



相変わらず彼は窓の外を見ていた。

会話はないけれど、――沈黙が苦痛じゃない感じ。

威圧的なオーラを醸し出しているのに不思議な人



「この時間で門限に間に合うのか?」


門限に遅れないように心配してくれているのだろうか?そうだとしたら嘘をついているのが心苦しい。


「多分間に合うと思うけど、夕飯の買い物をするときは少し遅れることもあるから‥」


車は駅について運転手の人がドアを開けてくれた


「先輩、ありがとうございま‥‥ありがと」


「‥‥名前で呼べ」


こだわるなぁ‥‥ここのチームの人


「次からにしますね。さようなら」


「ああ」


運転手さんにお礼を言った


「ありがとうございました」


「運転手の牧原です。お気をつけて」


明らかに年上と思われる運転手は丁寧に言い頭を下げてくれた。


「はい。さようなら」


車に手を振って駅に入った


メールで愁君に“これから電車に乗るね”と送ったら“駅で待ってる”と返事がきた。


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