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秋桜  作者: 七地
226/258

昨日よりも… (6)

登校して初めて知った。今日は『校内清掃の日』


なんでこんな時に花壇の草むしり?

校内清掃なんて今日じゃなくてもいいじゃない!!


恥ずかしいから絶対に口に出せないけど、体がキツイの…


一年生が受け持つのは当然校舎の外の清掃

今の私にこれはバツゲームの域だよね。


苛立ちに任せてブチブチと草をむしっていると隣に居た麗香ちゃんが顔を覗き込んだ。


「梨桜ちゃん、怒ってる?」


「うん」


正直に答えると麗香ちゃんが私を見て目を丸くしている。


「え…私、何かした?」


ブンブンと首を横に振った。


「麗香ちゃんじゃないよ。今日の予定を知っていたのに意地悪な事をした人に怒ってるの」


今日が校内清掃だって知ってて!

あんなに…!!


思い出すと恥ずかしい!寛貴のバカ!!


「梨桜ちゃんに意地悪する人なんているの?」


「いるじゃない!すっごいオレ様なのが!!」


それを聞いて「そんな事言っちゃダメだよ」と焦っている麗香ちゃん。

いいんだよ!本当の事なんだから。


ふいに目の前に影が差したと思ったら、カワイイ顔が目の前に降りて来た。


「梨桜ちゃん、恨むからな」


恨めしそうな顔で私を睨む美少女は、ヤンキー座りがサマになっている。


「誰も悠君だって分からなかったよ?」


「そういう問題じゃねぇんだよ。あんなのを見せる事自体が嫌なんだよ!」


文句だけを言うと、プイッと顔を逸らして行ってしまった。


そういえば、私も登校してすぐに苛立ちを王子様にぶつけてきた。


学校に着くのを見越したかのような愁君からの電話。


『昨日、大丈夫だった?』


白々しい愁君に電話越しで叫びそうになって慌てて声を押さえた。


「大丈夫じゃないよ」


愁君の口止め料は物凄く大変だった!!

制服を着て見えるところは避けたらしいけれど、更衣室で体操着に着替えた時に麗香ちゃんに見られてしまった。


麗香ちゃんが驚く位に散らされた朱い痕。


『梨桜ちゃんのおかげでイイものが見れたよ。ありがとう』


どうしてそんなに楽しそうなの?


「愁君?」


『いつも余裕な顔をしてるから、崩してみたかったんだよね。梨桜ちゃんがあのセーラー服を着たらって思ったけど予想以上の反応だったよ』


あのセーラー服はそんな理由?あの後、どれだけ私が!!

愁君の腹黒王子!!!


『今度は可愛いのにしようか。梨桜ちゃんに似合うと思うよ』


「ぜっったいに着ないから!」


ブチッと通話を切り、教室に向かった。




腹黒王子との会話を思い出すと、また怒りがぶり返してくる。

今度愁君にコスプレさせてやる!


「ご機嫌斜めだな」


頭の上から声が降ってきて、見上げると安達先生だった。

ストン、と私の目の前に座ると私の顔をジッと見ていた。


先生もヤンキー座りがサマになってますね。

私、何故かヤンキー座りができないんだよね…後ろにゴロン!てひっくり返りそうになるの。葵に笑われたけど、どうしてもできない。


「なぁ、東堂。先生のお願い聞いてくれるか?」


何となく嫌な予感がするけれど、とりあえず聞いてみようと思い頷くと…


「…藤島の機嫌を損ねるようなことはするなよ?先生からのお願いだ」


真顔でそのお願いはおかしいと思う。

ムゥッと眉を顰めると先生も負けじと眉を顰めて私を見た。


「東堂、昨日何をやらかした?」


「…」


コスプレして寛貴を怒らせました。ついでに、葵も怒らせました。


「随分な剣幕だったらしいな…」


ニヤリと笑って私を見ている。


「先生、最近キャラが違う…」


「慧さんの姪っ子だからな。別に教師面しなくてもいいかな…なんて思い始めた。それより、お仕置きされただろ?」


どうしてそんな事知ってるんですか!?


「アイツ、今日オレの所に来て学祭の発表内容の詳細を提出させろって言って来たぞ」


「…話したんですか?ステージの内容」


言ってないですよね!?

焦って先生を見るとジロリと私を見て小さな溜息をついた。


「言う訳無いだろ。オレだって命が惜しい」


先生、それもおかしい…


「先生なんだから毅然として下さい。そういう時こそ担任の安達先生が私を庇って下さい!」


「やだ。アイツがキレるとオレも手こずる」


真顔で『やだ』って、そんな…

教師でしょ?先生も慧君の後輩でしょ?




.


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