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秋桜  作者: 七地
225/258

昨日よりも… (5)

「梨桜」


いつもより数段低い声で呼ばれたけれど、プイッと顔を逸らした。


「…」


定例会を強制終了させた寛貴は葵の声を無視して私を連れて学校を出た。


いつもの迎えの車ではなく、タクシーに押し込まれた私は、前に一度だけ来たことがある寛貴の家に連れて来られた。


ずっと不機嫌なままの寛貴。

ちょっと改造してあるセーラー服を着ただけでこんなに怒られる理由が分からない。


「いい加減にしろ」


頬に手を掛けられて寛貴の方を向かされた。

私だって怒ってるんだから!


「あれは衣装か?」


寛貴の部屋で本物の不良に睨まれている私。

ちょっとだけ怖いけど、ここで白状したら愁君に口止めをした意味がなくなってしまう。


「だから、私には分からないよ」


「知っていても言わねぇつもりだろ」


「分かってるなら…ひゃあっ!」


両手首を括られてソファーに押し倒されてしまった。


「言ったろ?」


生徒会室での寛貴の言葉を思い出して顔と体がカッと熱くなってしまった。

恥ずかしくて視線を逸らしたかったけれど、私を見つめる寛貴の視線が甘くて逸らすことが出来なかった。


「やだ…」


熱い手が上着の下から入れられて下着ごと捲られた。

口角を上げて笑んでいる、その表情を見ているだけでゾクリと甘い疼きが走る。


「やっていい事と悪い事の区別は躰に教え込まないと分からないんだろ?」


鳩尾に触れる唇がチリチリとした痛みを植え付けて行く。

痕をつけちゃダメ!


「やぁっ!」


身体を捻って逃れようとすると押さえ込まれて動きを封じられた。



「梨桜は何も分かってない」


触れられるところから熱が籠っていく。


「んっ…」


腕を伸ばして強請ると抱き寄せてキスをくれた。


私、分かってるつもりだよ?


寛貴のことが大好き。他の人は見てないよ。


身体を起こされて、寛貴の膝の上に座ると抱きしめられた。


胸が熱くなるの。


こうして抱き締められてキスをしていると、体から想いが溢れて零れ落ちているんじゃないかと思うくらい…好き


「梨桜」


耳元で名前を呼ばれて、返事をする代わりに寛貴の目元にキスをした。


「スキ」


溢れる気持ちを言葉にしたかったけれど、口から出てきたのは二文字だけ。


「知ってる」


口角を上げて笑んだ寛貴は胸元に唇をつけて、また甘い痛みを植え付けた。


「それは、イヤッ」


「諦めろ」


ソファからベットに移されて深く抱かれた。





「っ……そんなに…」


「やぁっ…」


抱き抱えられて寛貴の膝の上に座らせられるとさっきよりもずっと奥で繋がった。


「んっ」


身体は気持ち良くて、心は心地良くて…


「寛貴」


キスを強請ると激しく突き上げられ、零れる甘い声は寛貴の唇に呑み込まれていく。



私、こんなに幸せでいいのかな…






「ナニこれ!?」


シャワーを浴びる時に見た自分の身体についていた朱い痕を見て卒倒しそうになった。

こんなに……何考えてるの!!


「だから着られないようにするって言っただろ。消えたらまたつけるからな」


諦めろ。と凄まれて、ガックリと項垂れた。


「ただの学校祭なのに…大袈裟だよ」



.


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