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秋桜  作者: 七地
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進路相談と大好きな人Ⅱ (2)

寛貴に抱き締められてキスをして…二日酔いなんてどこかに飛んで行ってしまったような気がする。

私って、ゲンキン?


梨桜、と名前を呼ばれて顔を上げると、難しい顔をしていた。


「二度と外では酒を飲むな」


「それ、慧君と葵にも言われた。…飲まないよ」


そう言うと、クッと笑って頭をポンポンと叩いていた。



寛貴に凭れてぼーっと空を眺めていると、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

次の授業は受けなきゃいけない…サボったら今日の面談で安達先生から慧君に話されちゃう。


「今日ね、午後から慧君が来るの」


「…」


あ、今少しだけ『メンドくせぇ』って思ったでしょ。

一瞬だけ強張った寛貴の頬をツン、と突くと手を掴まれてじろりと睨まれた。


「私の3者面談をした後に特別授業をするように、って言われてたんだって」


「特別授業?」


「うん“2年の化学の授業“って言ってたと思う」


「梨桜の面談は何時からだ?」


「午後って言ってたけど時間は聞いてなかった」


凄く嫌そうな顔…もしかして?


「午後に化学の授業があった?」


大きな溜め息をついている寛貴。授業があるんだね…

慧君も凄く嫌がっていたけど、生徒も嫌みたい…逆らう事が許されない初代総長が講師の授業なんて、窮屈だよね。


本気で嫌そうな寛貴には悪いけれど、こんな彼も可愛いって思えたりして…


「何が可笑しいんだよ」


クスクス笑いながら寛貴を見ていたら、またジロリと睨まれてしまった。


きっと可愛い何て言ったら怒るよね?だから「何でもないよ」そう言って頬にチュッとキスをした。


「…」


「次の授業が始まるから行くね?」


寛貴に手を振って教室に戻った。





「梨桜ちゃんのお弁当、今日も美味しそうだね」


食堂で麗香ちゃんが感激している今日のお弁当は葵が作ってくれた。


「味見する?」


「いいの?」


どうぞ。とお弁当を差し出すと、野菜を豚肉で巻いた野菜ロールを食べていた。


「美味しい!梨桜ちゃんて本当に上手だね」


拓弥君も「美味そうだな」と言うからお弁当を差し出すと卵焼きを食べていた。


「葵の卵焼き美味しいでしょ?」


目を丸くして驚いている拓弥君。そんなに吃驚した?


「マジ?」


「本当だよ。寛貴も食べる?」


じっとお弁当を見ている寛貴に聞くと、首を横に振っていた。


「いや、いい。梨桜のおかずが無くなるだろ」


自分が食べていた定食のお皿から唐揚げを一つ、私のお弁当箱に置いて「食べろ」と言った。

寛貴って私にお肉を食べさせたがるよね…


「マジかよ、あの人が?」

「すげー」


食堂がザワついて、何だろうと思いそちらを見ると安達先生がいて、誰かと一緒に会話をしながらこちらに歩いてきていた。


「梨桜ちゃんの叔父さん、相変わらず素敵だね」


いつもカッコいいけど、スーツを着ている慧君は別格でカッコイイね。

姪でも見惚れちゃう。


「げ…」


拓弥君、聞こえたら怒られると思うよ…私、フォローしてあげられないかも…



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