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秋桜  作者: 七地
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プロローグ

「愁、このデータは極秘だ。漏らすなよ、絶対に梨桜の素性を知られるな」



「もう対策済み。葵、それより早く行ってやれよ。待ってるぜ」



「悪いな」



「何言ってんだよ、梨桜ちゃんはオレ達にとってはお姫様みたいなもんだろ?梨桜ちゃんを守るのは当然のことだ」



「・・手ぇ出すなよ?出したらコロス。チームの奴らにも言っておけよ」



「誰もおまえに逆らわねぇよ・・・オレだってまだ死にたくないし・・いいから早く行けよ」



「ああ、行ってくる」




-----

  -----


大好きなパパのお見送り、涙が出てしまいそうだけれど我慢した。

日本に残るって決めたのは私だから。


「パパ、ちゃんとご飯食べてね?」


パパは笑いながら頷き、私と葵の頭を撫でた。

急な辞令でパパはイギリスへ赴任することになった。パパは私に一緒にイギリスへ行くか日本に残るか選ぶように話し、私は日本に残ることを選んだ。


「大丈夫、わかってるよ。葵、梨桜の事頼んだぞ?」


そう言ってパパは私と葵の頭を撫でた。


「ああ・・任せといて、オヤジも体に気をつけろよな」


「お前もヤンチャは程々にな。学校から呼び出されてもイギリスからは行けないんだからな」


「そんなヘマはしないから大丈夫だよ」


パパは遠いロンドンへ旅立った。



「行っちゃったね」


パパが乗った飛行機を見送ると急に寂しさがこみ上げて来た。


「寂しい?」


葵に聞かれて眩しさに少し目を細めながら見ると、葵が私の顔を覗き込んだ。

サラサラの髪が風になびいている。


「葵がいるから平気だよ?葵は寂しい?」


フッと優しく笑った。その表情に少しだけ見とれてしまった。

いつの間にこんなに素敵な男の子になってしまったんだろう?身長も昔は変わらなかったのに今では見上げなければいけない程だ。


「梨桜がいるから平気」


二人でもう一度空を見上げた。


「帰ろう、梨桜」


葵が差し出した手を握った。


「うん、帰ろ」


温かい葵の手。この手は昔から変わらない、私の大切な分身。


5年ぶりに帰ってきたこの街で新しい生活が始まる。

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