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秋桜  作者: 七地
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生徒会のツトメ (1)


「暑い!」


うちわでパタパタと仰ぎながら廊下を歩いていると悠君が天井を仰ぎながら言った。

確かに、暑い。

東京の夏はどうしてこんなに暑いの!?学校に来ただけでバテてしまいそう…


「おまえは毎日学校に来てんだから変わんねーだろーが」


文句を言う悠君を拓弥君がからかった。

期末試験で赤点をとってしまった悠君は追試対策の勉強を頑張ったけれど、基準点に満たない教科があった為に夏休みも補習に来ている。


「うるせーな!」


暑いんだから言い争わないで欲しい。余計に暑くなる!!


私達はオープンキャンパスに参加している中学生に学校の紹介をする為に講堂に向かっていた。




「うわ…」


講堂の扉を開いて中を覗くと、ズラリと並べられた椅子に座っている生徒達。

さまざまな制服を着た男子生徒が前を向いて座っていた。


「これ、全員が受験希望なのか?」


私の横で一緒に覗いている悠君が呟いた。

集まっている人数は1学年の生徒よりもはるかに多い人数のような気がする。


「女子生徒は?」


私の後ろから覗いている拓弥君を振り返ってみると真剣な顔をして女子生徒を探していた。

私も見回して女子生徒を探してみたら…


「拓弥君、いたよ。ほら、前の方に固まってる」


女子生徒はステージから2列目までに集まって座っていて、私が言うと拓弥君が「おぉ~」と感動していた。

拓弥君とは違う動機で女子生徒が増えて欲しいな。


「うざ…」


後ろから聞こえた本気で嫌そうなその声に笑ってしまった。



生徒会役員は何故かステージ上に用意された椅子に座らされて、嫌でも中学生達の注目を浴びてしまった。


校長先生や学年主任達の退屈な話を聞き流しながら、中学生達の観察をしていると、女の子のほとんどは寛貴達を見て目をキラキラさせていて、男の子達は憧れの眼差しを向ける子、真剣に話を聞いている子反応は様々だった。


私が高校受験をするときはこんなに真剣に考えなかったな…将来の事を真剣に考えている彼等は凄いな。



生徒会長の挨拶。

不機嫌そうな顔のまま壇上で挨拶をしている寛貴を見ながら、スポットライトで照らされているこのステージの異様な暑さに参っていた。


あとどれ位ここに座っていなければいけないんだろう?

ハンカチで滲んでくる汗を拭きとりながら必死に暑さに耐えた。



「梨桜、大丈夫か?」


挨拶を終えて席に戻る寛貴に聞かれて、大丈夫。と頷いたけれど、もうすぐ限界が来そうな気がする。


ステージの袖にいる安達先生に『早く終わらせて』と視線を送ると、先生は手を振ってニコニコ笑いながら口パクで『頑張れ!』と言っていた。


そうじゃない!暑くてもうダメ!!耐えられないっ!!

キッと先生を睨むと、やっと私の言いたいことが伝わったのか顔を引き攣らせて頷いていた。


「生徒会役員退場」


待ちわびたアナウンスが流れて立ち上がるとライトの眩しさに目が眩みそうになった。


この後に校舎を案内してクラブ活動を案内する担当に引き継いだら今日の役割は終わり!


「余所見すると危ないよ」


拓弥君に声をかけられて前を見ようとしたら、脇から腕が伸びてきて体が真横に引き寄せられた。


「バカ…中学生の前で恥をかきたいのか?」


頭の上から焦った声が聞こえてきた。


「え?」


私を自分に引き寄せている寛貴の顔を見ると、顎で“自分の前を見ろ”と示されて、改めて自分の前を見ると目の前に黒い壁があった。


壁!?違う、暗幕だ…。


考え事をしながら歩いていたから、暗幕に向かって歩いていたみたい…。このまま突き進んでいたら躓いて転んでいたかも。


それって、かなり恥ずかしい。

両手で頬を覆って恥ずかしさに耐えていると、ククッと笑う声が聞こえた。


「手遅れかも。中学生達からは梨桜ちゃんが暗幕に向かって突き進もうとしていたところは見られてるよ」


悠君が苦笑いを浮かべながら私を見て、親指でステージの下を指していた。


「ついでに言うと、朱雀総長との絡みもバッチリ見られてるよ」


拓弥君が私に向かって指をピタリと当ててニヤリと笑い、自分の置かれている状況を見返してその場にしゃがみ込みそうになった。


「もうダメ」


恥ずかしすぎる!!

穴があったら入りたい!


「行くぞ」


ウエストに回されていた腕に力が入れられ、引きずられるようにその場を後にした。


「え?寛貴、ちょっと待って」


「オレには中学生の前でその行動をとるお前の方が恥ずかしいぞ…」


そう思ってるなら止めてくれればいいのに!

私は講堂を出るまで中学生の注目を浴びたままだった。


.


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