以心伝心‥? side:梨桜
生徒会室から図書室が丸見えだったなんて知らなかった。だから顔をあげて愁君が見えたときは本当に驚いた。
隣でコジ君が手を振っていて思わず振り返した後にしまったと思った。隣に海堂悠が立っていたから‥・明日からは背中を向けて座ろう。
携帯が震えて画面を見ると愁君からで『コジと駅で待ってて』と書いてあった
帰り支度をして学校を出て校門を出るとコジ君こと小嶋将之君がいた
「暗い道は危ないですよ?」
「ありがとう」
駅までたわいない話をして帰り駅のトイレで着替えた
梨桜バージョンⅡだ
駅から出ると車が近づいてきた白いBMW、葵の車だ
後部座席のドアが開いて愁君が降りてきた
「ありがとう、愁君」
「姫、お待たせしました」
おどけて言い私を車に乗せた。中には葵が乗っていて私が乗り、愁君も乗ると車が走り出した
「梨桜ちゃん待たせてごめんね」
愁君が笑った。王子様スマイルだ
青龍のチームハウスに行き私は私服に着替えてやっと梨桜に戻った
「お腹すいたな‥」
ポツリと言うと
「お好み焼き食いたい」
と葵が言うから
「それ、私もそれがいい!」
「コジも行く?」
「オレもいいんすか?」
葵が聞くとコジ君が遠慮がちに言うからコジ君を誘った。
「コジ君、一緒に食べよう?」
そう言って4人でお好み焼きを食べに行くことにした。
お店について、私の右隣に愁君、向が葵、その隣がコジ君だった
「一枚は多いかも」
「残したらオレが食うからいいよ」
葵が言ってくれたので私は豚玉を注文して、葵が私の分も焼いてくれて美味しく食べていると
「ちょうだい」
葵が言い、私は七味を渡した。
「とって」
また葵が言うので、マヨネーズを渡すと愁君とコジ君が笑っていた。
「どうしたの?」
私が聞くと
「梨桜ちゃん、今ので通じるの?」
愁君が聞いてきたから
「わかるよ…なんで?」
コジ君が笑いながら聞いた
「“ちょうだい”が七味で、“とって”がマヨネーズなんですか?」
今度は私が笑った
「決まってるわけじゃないよ?葵の行動パターンはわかりやすいもん」
葵はコテにお好み焼きを乗せてそのまま食べた。通っぽい食べ方に興味が湧いて
「私も!」
と言うと
「お前は無理」
「なんで?出来るよ」
「火傷するからやめとけ」
また愁君が笑った
「今のだってそうだよ」
「コイツの行動パターンもわかりやすい」
葵が言うと2人は笑った
「やっぱり2人は繋がってるんだな」
そういうコトなのだろうか?私は首をひねりながら箸をおいて水を飲んだ
「もう少し食べろ」
そう言われてまた箸を持った
「葵の少しちょうだい」
皿を葵に出すと葵は焼きそばを盛りつけてくれた
「そういえばさ、梨桜ちゃんは葵が助けた朱雀の奴覚えてる?」
葵から皿を受け取り愁君を見た。
「隣のクラスの子でしょ?顔は忘れたけど学校に行ったら顔が腫れてる人がいた
からわかったよ」
焼きそばを一口食べて葵に手を伸ばすとソースを渡された
「お前には辛いから少しにしろよ」
少しのつもりが結構かかってしまった。口に入れて予想以上の辛さに
「からっ!」
眉を潜めると愁君が水のグラスを渡してくれた
「だから言っただろ」
葵は呆れ顔で言った。
「梨桜ちゃん、もう少し水飲んだら?」
「愁君優しい。お兄ちゃんみたい」
そう言うと葵はむっとしていた
「…梨桜、今まで以上に気をつけろよ」
「なんで?何に気を付けるの?」
唐突に葵に言われて聞き返すと愁君が笑った。
「純情不良少年の心に火をつけたから」
愁君‥ごめん、意味が分からない
「誰が純情不良少年?」
「わからない?」
にっこりと笑う愁君の笑顔をたまに怖いと思う。黒い笑みだ
「ハンカチだよ。ハンカチ!」
葵がイライラしながら言った
「?」
もしかして、あの時葵が助けた男の子?
「まさか、あれはどっちかと言えば助けてくれた葵に憧れるっていうのが王道でしょ?」
「バーカ、おまえ鈍すぎ」
「葵に言われたくないよ」
私たちはバチバチと睨みあった。