表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秋桜  作者: 七地
104/258

Confession (4) side:悠

「はぁ!?ウソだろ!!あの悪魔みたいな男と梨桜ちゃんが姉弟!?」


生徒会室に拓弥さんの声が響いた。

三浦の家から帰った次の日、生徒会室で拓弥さんに事情を話した。


「宮野が自分で言ってた」


寛貴さんは学校を早退したらしい。

もしかしたら梨桜ちゃんの所に行ったのかと思ったけれど、どんな顔をして彼女に会えばいいか分からなかったから特に詮索はしなかった。


「あの可愛い梨桜ちゃんが…宮野と双子」


拓弥さんはどこかへトリップしてしまった。

寛貴さんも言っていたけど、信じろって言う方が無理な話だ。


「嫌だ、オレは認めたくない。梨桜ちゃんが…よりによって…」


オレだって信じたくない!

でも、双子だと聞いて、梨桜ちゃんが宮野に向ける表情が「家族だから」その理由を知って安心している自分もいた。


「拓弥さん、あのさ」


「…」


いつまでもトリップしたまま戻ってこない拓弥さんの頭をゴンと殴った。


「拓弥さん、帰ってきた?」


「いってーな悠!本当に双子なのか?あの二人全然似てないだろ」


「宮野は双子って言ってた」


でも、梨桜ちゃんて宮野より学年が下なんだよな。去年、大怪我をして入院していたって言ってよな。留年したのか?

だとしたら、余計に宮野と梨桜ちゃんが繋がっているなんて考えつかなかった。自分より学年が上の弟なんて、誰だって思いつかないよな・


「悠、さっきオレに話しかけたろ。なんだ?」


そうだ、聞きたいことがあったんだ。オレに暴言を吐いたあの医者、否、5代目…


「拓弥さんは紫垣の5代目が三浦の兄貴だって知ってた?」


そう聞くと拓弥さんは真顔になった。


「知ってた。――年に一回、歴代の総長と副総長が集まる会があるだろ?その時に知った。伝説、なんて言われて大袈裟なだけだと思ったけど、器のデカイ人だと思ったな」


器がデカイ人…認めたくない。オレは幹部になって日が浅いから、紫垣の事とかもあまり知らないけど、5代目と初代は誰もが憧れる人だから、会えただけでもいいのか?


「悠、宮野が急に女の送り迎えを始めたのって…」


梨桜ちゃんの為って事か…

思い返せば、「ああ、だからか」そう思えることがある。

定例会で背中を痛めた時。梨桜ちゃんが朱雀のファンに嫌がらせを受けた時…


「悠、大丈夫か?」


「え?」


突然拓弥さんに聞かれて、どうしてそんなことを言われたのかが分からなかった。


「泣きそうな顔してるぞ?」


「別に、泣いてなんかない」


オレの顔を、ジッと見ていたけれどニヤッと笑った。

この人には嘘はつけないのは分かっているけど、たまには強がってもいいだろ?


「だからあの子は手がかかるって言っただろ…おまえ、寛貴の本気に勝てるか?」


拓弥さんは机に頬杖をつき、窓の外を眺めながら言った。

オレの顔を見ないでいてくれるのはこの人なりの優しさだと思う。


「長い付き合いだけど、アイツが女に対して本気になるのは初めて見たな…」


遠くを見ながら「見ものだ」とわざと茶化すように言っていた。

その時、携帯が鳴り、拓弥さんは画面を見て笑った。


「なんだよ、今お前の噂話してたんだぞ」


寛貴さんか…やっぱり梨桜ちゃんの所に行っていたのか?

会って何を話したんだろう?オレはこんなところから出遅れている。


「は?…これから?--仕方ねぇだろ、5代目の言う事には逆らえないからな。分かった、悠を連れて向かう。じゃぁな」


拓弥さんは電話を切って立ち上がった。


「倉庫に行くぞ」


「なんで?」


「話があるから5代目が来るんだと…」


口調は面倒そうにしていたけれど、その顔は楽しそうに笑っている。

どんな事も楽しみに変えてしまう拓弥さんはある意味スゴイと思う。




.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ