我儘の代償。
…………想定外の伏兵、キッド三人衆の登場に動揺する兵士。
自軍戦闘ヒューマノイド達へのコマンドを
「キッド三人衆壊滅」
に即時変更!
各自一斉に掃射射撃に入る!!
が………しかし!
彼らの装備は通常の戦場向け火器であった為、予想の付かないゲリラ式戦闘ヒューマノイドの防御能力・装甲に対応出来るかどうかまでは結果オーライという…………
極めて刹那的な使命の元に居た。
そして…………その結果は凶と出てしまう。
所持していた火器は、この三人衆には通用しなかった。
その装甲は、ことごとく銃弾を弾き飛ばしてしまう!
言わずもがな…………後は三人衆の独壇場となった!!
「HYPER SCREW!!」
マーフィの内蔵兵器。
発射された拳が猛回転し、出現する多数のスパイクで標的をえぐり砕く!!
「FIRE SWORD!!」
ケビンの内蔵兵器。
手首から高破壊電流エネルギーの剣を送出し、標的を断裂する!!
「LEG MISSILE!!」
カイトの内蔵兵器。
膝下の脚をロケット化し、光電子エネルギーを伴い標的に命中・貫通させる!!
10体のイスロ戦場型戦闘ヒューマノイドは………
三人衆によって、ものの数十秒で全機破壊!!
イスロ来迎寺家急襲部隊は、一名の人間歩兵を残し壊滅した!
驚愕する、たった一人の生き残りイスロ兵士。
「H……help me!」
(た……助けてくれ!)
怯える兵士の耳元へ、顔を近づけ囁くカイト。
「おう、テメェは生かしてやる。
ただし選択肢は二つに一つだ。
大人しく日本のポリ公に捕まるか……
"廃品回収車”を運転して毒蛇に届けるか……」
カイトの台詞をマーフィが英訳するが。
マーフィの英語はドスの効いたニューヨーク・サウスブロンクス訛りの為、なおさら兵士は震え上がる。
イスロの部隊が深夜の住宅街で派手に火器をぶっ放した為、住民の通報で警察車のサイレンの束が近付いて来る。
かなりの台数だ。
「………とまあ、言っては見たが。
残念ながら間に合わなかったようだな。
大人しく御縄頂戴でゲロして来な」
カイトとマーフィは、腰の抜けた兵士の両手首を軍用トラックの荷台にロープでくくり付け。
自分達は人間形態へと戻り、一先ず来迎寺宅に戻り華裏那と共に待機を決めた。
間もなく到着した、警視庁本部特殊部隊SATが兵士の身柄を拘束。
軍用トラックや現場に散乱する戦闘ヒューマノイドの残骸の押収、他の二人の兵士の遺体収容作業を行い始めた。
一先ず、聞き取りは華裏那が立ち会った。
戦闘ヒューマノイドに理解有る諸原警視の指令で出動したSATメンバーは。
詳しい聴取は翌日以降と告げた。
最終電車に何とか乗り込み、最寄り駅に降りた麻衣は。
多数のパトカーのサイレンを聞き、ただならぬ雰囲気を感じ。
悪い予感を覚えた。
(まさか!?)
麻衣は足早に向かう。
自宅へと近付くにつれ、悪い予感は的中し始めた。
明らかに戦闘ヒューマノイドのものと見られる機械片が路上に散らばるのを見た。
自宅に到着し、破壊された玄関を目の当たりにして愕然とする麻衣!
慌てて階段を駆け上がり居間に入ると、華裏那とキッド三人衆の姿が目に入った。
そして…………
「…………お母さん…………」
「…………麻衣」
そこには。
全身をタオルで覆った母、美枝が。
怯えきった様子で座っていた。
厳しい表情の華裏那が、麻衣の前へ歩み出る。
バシッ!!
渾身の力で華裏那に頬を張られ、麻衣は床へ吹き飛ぶ!
その時、麻衣の首にかけていたネックレスが千切れて落ちた。
それは…………栄太から貰ったばかりの、初めてのクリスマス・プレゼントだった。
鬼の形相で叱りつける、華裏那。
「何やってんのアンタはッ!!
奴らが攻めてくるってわかってるのに、どこほっつき歩いてたのよッ!?
自分の親ほったらかしにして!!
どんな目に遭ってたのか、わかってるのッ!?」
怒りに震える華裏那を、カイトがなだめる。
「………カリネキ。
勘弁してやってくれねぇか。
どっちみち麻衣さん一人じゃあ、無理っぽかったぜ」
しかし、華裏那の怒りは収まらない。
「いつまでワガママやってる気!?
どこまでガキなの!?
アンタは!!
いつまでも甘ったれてんじゃないよッ!!」
母を守ってやれなかった…………
自分のワガママのせいで。
ただ、ただ、麻衣は気が動転していた。
〈我儘の代償・完〉




