ぶっ飛ばすぞ
「 リリー・カサブランカ辺境伯令嬢!
今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!
そして今後は、このサリー・マクガレン男爵令嬢と婚約を結び直す!
貴様は俺がサリーと仲がいいのに嫉妬してサリーに様々な嫌がらせをしたそうだな!
お前のような悪女とは結婚できない!」
理想の王子様の廉価版のような金髪蒼眼の優男、マイケル・トーミウォーカー公爵令息は、隣にいる小柄なピンク・ブランドのサリーマクレガンの肩を抱いてリリーを指差した。
場所は学園の大ホール。
今日は卒業記念パーティー。
最終学年の生徒と、そのパートナーたちが固唾を飲んで見守っている。
「『貴様』だと!?
おのれ、ぶっ飛ばすぞ!」
と、リリーがファイティングポーズをとると、2人は慌てて土下座した。
「スミマセン……」
と、ピンク・ブロンド。
「ごめんなさい、殴らないでください」
と、土下座したのは元婚約者。
国の要を担う辺境伯領で生まれ育ったリリーは、武道派で大きい熊を素手で倒せる。
脳筋なので、何でも拳で解決できると思っている。
幼少期からの婚約者であったマイケルも、2度ほど骨折させられた。
マイケルは、婚約を解消したいと両親に何度も頼んだが、相手にされず仕方なく 今回の暴挙に出たのである。
ご愁傷様!!