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07話

 新学期が始まって数週間が経つころ、俺は今までとほとんど何も変わらないいつも通りの日常を送っていた。


 特別なこともおかしなことも何もない普通の生活。一つ変化があったと言えば、織部が俺の日常の一部に入ってきたということ。

 新学期が始まってから数週間経ち、織部は特にクラスの中心となることや特定のグループに入るということはなく、俺と話してるか誰かに話しかけられたときに話すという感じになっていた。何なら一年以上間同じクラス、同じ学校の俺よりも織部の方がやつらと話してる気がする。


 あとちょっと関係ないけど、織部は誰かと話すときに笑顔を浮かべる癖があって、明るい話し方の割に普段の様子は結構落ち着いているように見える。誰かと話していないときは意外とおとなしいということに気づいた。


 織部は人間観察と状況の理解が上手い。


 織部の知識量の多さは、単に自分が知りたいから、知識や情報を集めるのが好きだからという理由なのがまたすごいと思う。そうじゃなきゃあんな楽しそうに話なんてできないだろうし、何より話す相手側も彼との会話を楽しんでいる。

 何にでも興味を持てるというのも才能だろうな。


 でも意外にも彼は人と話すのが特別好きというわけでもないらしい。人と一緒にいるのは好きだけど、基本マイペースにやりたいことをやりたいときにするタイプ。そんなふうに感じた。


 まあこれはあくまでも俺の考えだから本当かどうかは分からないけど。


 そんな話を咲弥の前でしていたら、お前も対外だろうと言われた。別に俺はそんなに人と話してないし得意でもないと思うけど…

「いやお前普通に人と話すの上手いけど」

「え?別にそんなことねぇよ。おれはただ相手の話を聞いて適当に答えたり、勝手におれの意見を言ってるだけだし。むしろ誰とでも話せる咲弥の方がすごいと思ってるよ」

「その人に合わせられるってところが上手いって言ってるんだけど…ほんと何で自覚ないのかがよくわからない」

 そんなことないと思うんだけどなー。自分のこととなると良く分からねぇ。


 まぁそんなこんなで、結局のところ俺は今までと何も変わらない普通の日常を送っていた。

 彼が増えた日常は特に何か変わることもなく、毎日学校に行き、家に帰ればゲームをして寝るといういつも通りの生活。あとは放課後にどこか寄ってみたり、学生らしくゲームセンターやカラオケに行ったり、たまに昔みたいに自然の中で遊んでみたり。


 自然と言えば、学校から少し離れ俺らの家のある住宅街から出たところに、流れのゆるい浅い河川がある。この辺りの子供は夏になると昔からよくそこに集まって遊んでいる。俺らも例外じゃなく、それぞれ兄弟たちも連れてよく遊びに来ていた。


「うぉっ、結構冷たいなー」


「今の時期ぐらいがちょうど良い」


「今年も暑かったよねぇ~小学生のころはもっと涼しかった気がするんだけどなぁ~」


「35度とか普通に超えてたしな」


 ほんと暑い、最近秋とかほとんどない気がする。ちょうど良い感じの日がガチで3日しかない。こういう外出て少し暑いぐらいの日の水辺は意外と楽しい。たまにでいいけど。

 でも俺的には昔、川の中で転んで怪我をした苦い思い出もある。まあその時の俺はまだ小さかったから、正直あんまり覚えてないし、流れが速いとか深いとかそんなんじゃなかったから、大きな怪我とかはなかった。母さんたちもいたし大したことにはならなかったが、それ以来水辺に行くと何とも言えない気持ちになる。


 とにかく、時間があるときは川とかに行って小学生たちが遊んでるのを眺めたり、自分たちも荷物を置いて足だけ水につけて涼んだりした。


「しょうやー!こっち来ていっしょに遊ぼうよ!」


「えー、いいけどさ…」


「よっしゃぁ!みんなー、しょうやが来たぞー!」


「おぉ~!柴田の兄ちゃんだ」


「わーい!」


「俺がそっち行くから川で走るなよ、ってうわっ」


 ちなみに、咲弥はこのあたりの子供たちから人気が高くて、俺らといるときも見かけると声をかけられてることがよくある。多分、咲弥は”優しい人オーラ”がにじみ出てるんだろうな。この間川に行ったときも、近くで遊んでいた小学生たちに川中の方に連れて行かれて一緒に遊び、帰る頃に一人だけびしょびしょになってたときは三人で爆笑していた。


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