表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

06話

 教室の様子を見ていた感じ、ここ数日の間で彼、織部はクラスメイトたちにとても好かれたようだった。

 まぁ、あの人あたりの良さなら基本誰とでもうまく話すことができるんだろう。俺のような奴にも話しかけてくる奴だからな、大人しそうな見た目に反して意外と行動力がある。多分うちのクラスで彼と話していない人はいないんじゃなかと思うくらいには、みんな彼に話しかけていたし彼自身も色々話しかけに行ってた。


 しばらく見てるうちに彼について色々と分かったことがある。彼は基本何でも器用にこなすようで、勉強も運動もそれなりにできるらしい。授業で当てられてたときも、考える素振りもなく即答しているし、突発で行われた難問小テストもクラスで唯一満点を取っていた。


 昼休みにはバスケに誘われ、バスケ部がいる相手のチームに対して結構いい勝負をしてたらしく、クラスでも話題になっていた。何かやっていたのかと聞かれれば、学校以外ではとくに何もないらしい。終わった後、さっそくバスケ部に誘われていた。どこからその話を聞きつけたのか、運動部がこの間以上に躍起になって彼のことを探しているのを見かけた。


 まぁ結局彼はどの部活にも入らなかったらしいけど。代わりに助っ人や練習相手として顔を出すくらいならという約束をしてた。毎日放課後になると違うやつが彼のことを呼びに来るなんて光景は、今まで学生生活の中で初めて見た。


 なんで入らなかったかは知らないけど、彼の性格からして興味がなかったわけじゃないと思う。多分やるなら特定のものだけじゃなくて、色々とやってみたかったんだろう。


 そしてなぜ俺が彼についてこんなに詳しく知ってるかというと、その部活勧誘騒動が起きたころから、なぜか彼とよく話すようになっていたから。


 気づいたら近くにいる。いやまあ席が近いからそれは普通だけど、それ以上になんというか、普段の距離感が明らかに近い気がする。


 授業の話とか最近の話題とか、意味のありそうな話からくだらない話まで。向こうから一方的に話しかけてくるようになってた。俺は基本、合槌打ってるだけだけど、彼はそれに満足してるらしい。面倒な気持ちもありつつ、なんだかんだ彼と一緒にいることが増えた。


 何より彼と話すようになった一番の理由は、普通に話が合うというところ。きっかけは、俺が自分の席で一人でゲームをやってたとき、それを彼に気づかれてそのまま彼とゲームの話をしたこと。意外と話が盛り上がって、気づいたら一緒にゲームをやるくらいの仲になってた。

 彼はゲームについても詳しく、あと普通にキャラコンが上手い。できないことなんてないんじゃないかと思うぐらいには何やらせても上手いのすごいと思う。


 そんで彼と関わるようになってから数日経ったころ。いつものように昼休みに屋上へ向かうと、なぜか織部もその場所にいた。これに関しては本当に俺は何も知らないし何もしてない。むしろバレないように注意していたはずなのになぜ、という疑問しか浮かばない。

 別に彼が嫌いとかそういうわけじゃないけど、彼の周りは誰かしら人が来ることが多いから、正直あんまりこういうタイミングで会いたくないというか。この穴場に人が来ないように、目につかないよう細心の注意を払っていたはずだったんだけれども…


 今日、というか今いつも通り屋上に向かうと、二人と楽しそうに話している彼の姿があった。

 二人が彼に話したのか?でもこんな早く、ピンポイントに二人と接点を持つ機会なんてそうないと思うけど。


「おーい、そんなとこ突っ立ってないで早く来いよ」

「なんかすごい顔してない〜?めずらしい~」

「えー、そうなのか?あいつ俺に会うときいつももあんな顔してくるけど」

「へぇ、確かに藍は自分から人と話すことはあんまりないけど、単に他人に興味ないだけだから。そこまで特定の誰かを嫌ってるのは珍しいな。しかも知り合ってからそんなに経ってないだろうし」

「逆に興味があるってことなんじゃない~?感情を出すのが下手すぎて、一時期すごい冷たい人だと思われてたくらいだからねぇ~」

「じゃあ俺は逆にすごい珍しいところ見てるってことか。そう考えたら特別感あるのかもしれねぇな」

 なぜかイタズラげにニヤニヤ(本当にうれしそうな表情を)している彼に何となくムカつき、殴り飛ばしたい思いを拳を握ったところで抑えつつ、普通に彼らの元へ近づいていった。


「お前ら仲良くなるの早すぎだろ」

「いやぁ、ちょっと話が盛り上がっちゃったんだよねぇ~」

 いやぁじゃねぇよ。多分今日初めて会ったんだよな?どいつもこいつもコミュ力が高すぎる。まずなんでこいつはここにいる?

「なんか聞きたいことがありそうな顔してるが、まあ揃ったところで一応もう一回自己紹介するか。

 改めて、今月からこの学校に転校してきた織部海翔です。趣味はいろいろと情報とか集めること、好きなことは身体を動かすこと、嫌いなことは理不尽。織部とか海翔とか気軽に呼び捨てで呼んでくれていいぜ」

「ほい、じゃあ次私ねぇ。私の名前は桜木芽彩で〜す。植物の”芽”に”彩”で”めい“。呼び方は桜木でも芽彩でもどっちでもいいよぉ~改めてよろしくねぇ」

「俺は柴田咲弥。花が咲くの”咲く”に弥生の弥で咲弥です。漢字だけで見たら”さくや”と間違えられることが多いけど”しょうや”です。

 俺は基本柴田か咲弥、あとは”シバ”って呼ばれることもある。名前に”ショウ”が入ってる奴は結構いるから、”柴ショウ“って呼んでる奴もいるな。好きなように呼んでくれ。よろしく」


「じゃあ最後藍」

「おれの名前は天希藍、苗字は天に希望の希で”あまき”、名前は藍色の藍で”らん”。”らん”は同じ名前のやつがいるから芽彩と咲弥以外に学校で呼ばれることは少ないかな。基本苗字か、似てる読みで”あお”って呼ばれることもある」

「藍の名前はねぇ、文字通り藍色って意味でつけたらしいよぉ~」

「青系の名前を付けたくて画数とかも含めて決めたって、昔藍のお母さんが言ってたよな」


「ちなみに、藍のお父さんとお姉さんの名前も同じ感じだよねぇ〜」

「へぇー」

 ほんとよく知ってるしよく覚えてるな。俺は全然普通に知らなかった。

「おれのことはもういいだろ、同じクラスだから話す機会なんていくらでもあるんだし。それよりも、何で織部はここにいるんだよ。おれは別に二人のこと話してないよな?」

「え、普通にクラスの奴に聞いたけど」

「…」

 そりゃそうだ。いくら屋上が穴場以上に辺境だと言えど、一年以上毎日同じ場所に行ってれば、それを知ってる奴も一人くらいはいると思う。でもわざわざ聞くとは思わなかった。


「はぁー」

「あんまりため息ばっかりついてると幸福逃げるぞー」

「藍は昔からよくくだらないことで悩むな」

「誰のせいだよ…てかくだらないってなんだよ別にくだらなくねぇよ」

「そんなことどうでもいいからさぁ、もっと楽しい話しようよぉ~」


 そんな話は置いといて、その後俺らはなんだかんだ色々話しながら織部と一緒にお昼を食べた。この日をきっかけに、俺らは昼休みに四人で屋上へ集まるようになった。


 合槌に喜んでる理由


 適当に返事してるだけと本人は言っているけれど、実際はちゃんと話を聞いて状況に合うと言う方の適当な返事をしている。しっかり会話の内容を聞いて考えて話しているから、ちゃんと会話になっている。話のきっかけが織部からが多いってだけ。


 彼が話をしっかり聞いていることを織部は理解してるし、普通に深めの会話をいてくれるから楽しい。あとは普通に久々に話して楽しかったから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ