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09話

 「どっか行かねぇか?」

 ある日のある休み時間に突然、織部にそう言われた。

 いやまた何でそんな急に

「だっていつも同じ場所にしか行ってないだろ俺ら。たまには少し別のところに行きたくねぇか?」

 うーん、そうだなぁ

 別にそれはいいけど、そんなすぐ行ける場所なんてあるか?一旦二人にも聞いてみるか…


 そんでその日の昼休みの屋上。俺らはいつものように集まって昼を食べていた。

「いいと思うよぉ~」

「はや」

「だってさぁ、多分一番学生らしく遊んで楽しめるのは今年で最後でしょ~そしたらもうこうやって集まれることもないかもしれないしねぇ~せっかくなら今できること沢山やらないと損だよぉ~」

「それは確かに」

「うんうん、そうだそれが言いたかったんだ。ほんと青春だなー」


 何がだよ。そんな他人事みたいに

「で、どこに行きたいんだ?」

「誰かの家で集まるとかいいんじゃねぇか?」

「いいねぇ~じゃあ藍の家に行こうよぉ~」

「…え」

「いいんじゃないか?俺らは家が近いからすぐ行けるし。でも織部の家の場所は知らないから、遠いなら別の場所でもいいと思うけど」

「それは多分大丈夫。こないだ散歩してたら藍の姿を見たからなー、ちょっと寝ぼけた顔しながらコンビニ行ってたぜ」

 お前やっぱりあそこいたのかよ。それに織部が誘ってきたから乗ったのに、結局行くのは俺の家かよ。


「気づいてたなら声かけろよ…」

「いやーなんかいつもと違う藍のこと見てたら面白くなっちゃってさぁー」

 おい

「分かる~!藍って学校にいるときと私たちといるとき、家にいるときで全然雰囲気が違うんだよね~」

「あと藍はゲームやってるときが一番やばい」

「柴田がやばいって言うのは本当にヤバそうだな」

 何がやばい奴だって…

「ほんと人が変わったみたいになるよねぇ~いつもは何にも興味なさそうな顔して大人しいくせに、ゲームのことになると急に口悪くなるんだからさぁ~」

 いやそんなこと

「確かに。初めてゲーム一緒にやった頃は普通だったのに、時間経つと言動と表情が悪くなるのが見ていて本当に面白い。特に自分が負けてるときの顔が…藍は昔から負けず嫌いだから。すごく分かりやすい」


 ………

「…てめぇら、本当に俺の家に来たいと思ってんのか?それがうちに来たいって言う奴の態度か?」

「思ってるよ~、そんな怒らないでよぉ~ちょっと事実を言っただけじゃんねぇ」

「芽彩、その辺にしておいた方がいいと思う。こいつ不機嫌になると本当に面倒だから」

「そうだねぇ、藍の機嫌を戻すのは一苦労だからねぇ~。ごめんなさい、やりすぎました」

「…いいよ別に。そんなんで怒るほどガキじゃねぇし」

「いやまだ若干残ってるぞ。口調が悪いままだ」

「どうしたら藍の機嫌が直るのか…よし!俺の昼のおかずから一つ、好きなものをあげよう!」

「私も何かあげようかぁ~?」

「卵焼き一つなら…あげても…い…うーん」

 おいなんか一人ケチな奴いるが。しかも顔見たら結構本気で渋ってる。

 てか、二人は今まで俺が飯をあげたら機嫌が直る奴だと思ってたってことか?


「はぁーもうわかったから茶番はやめろって。おれも意地張ってたところがある?かもしれないからな。別に怒ってねぇよ。昼もいいから、咲弥もそんな顔して渡さなくていいから自分で食べな」

 ほんとこいつらノリ良いな。てかガチで今の会話で俺が謝る要素はないと思うんだけど…まぁいいや


「それでうちに来るのはまぁいいとして、いつにする?」

「今日」

「え?」

「今日でしょ~」

「ん?」

「今日だろ」

「あ?」

 …ふざけんなよマジで



 流石に学校終わりに家に行っても時間がないから、後日休みの日に俺の家で集まることにした。織部に関しては住所を伝えただけだけど、まあ彼なら分かるだろう。


 それよりも、いろいろ個人的な問題がある。うちの家族のこと、特に姉の存在。

 あの人がいると厄介だから、なにがなんでも追い払う…出て行ってもら…、外に行っていてほしい。最近はマシになったが、それでも絶対に何かしてくる予感しかしない。


 ちなみにまだ姉には教えてすらいない。うーん

「どうしようか…」

 そんな風に、俺がダイニングの食卓で椅子に座ってぼやいていたら、それを聞いていた人が俺に話しかけてきた。

「その日は私らが連れ出そうか?」

「そんなことできるの?父さん」

「連れ出すだけなら多分できるぞ」

「そうね、いつも休みの日は出かけるのに、ちょうどその日はあの子いるからね

 そうだ!せっかくだし、私と瑠璃(るい)とあの子の三人で久しぶりにお出かけします?

 お店とか行くのもいいし、ちょっと遠くに行くのもいいかもね」

「いいね、そうしようか

 まだあの子には言わないでおこうか。あの子、すごい勘が良いから、前日かその日に言わないと逆に怪しんでいろいろ探ってくるだろうし

 そうなったら面倒なことになるだろうからね」

「本当あの子は昔から活発だから」

「じゃあお願いします。ほんとにいつもありがとうございます」

「藍も友達との時間を大切にね」


 ”どこ行く?”

 ”私は動物園に行きたいなー” 

 ”いいんじゃない?君もあの子も動物好きだし、最近はあんまり行ってないからね”

 ”そう!一回行かなかったら中々行くタイミングがなくなってしまうのよね

 あとちょうど最近新しい動物が来たらしいの!それが見に行きたくてたまらないのよね~

 それで昨日はあの子とも盛り上がっちゃって”

 ”じゃあちょうどタイミングが良かったかもしれないな”

 両親の間ではこんな会話が続いていた。


 ほんとこの人たちは昔から仲いいな。そんで姉さんの奔放さは多分母さん譲りなんだよな。その時夢中なことに突っ走っていく性格が本当に似てる。あの二人は自分にとって本当に大好きな人たちであり、とても尊敬している。自慢の両親だ。


 とにかく問題は片付いたから、後は当日彼らが来るのを待つだけ。

 もう一つ気になってることがあるとしたら、うちにいる犬たちが彼らと相性がいいかどうかなんだよな。

 咲弥と芽彩はうちにいる黒いラブラドールのサンゴさんには会ったことがあるけど、ワサビには会ったことが無いからどうなるか。逆に織部はワサビだけ会ったことあるから逆にテンション高くなりそうだな。

 サンゴさんはおっとり系であんまり犬にも人にも特別興味はない感じがする。ワサビは暴れん坊犬だけど人懐っこいから多分大丈夫。


 今だって俺の方に突撃しようとソファーから隙を(うかが)ってる黒い影が見える。それに対して、サンゴさんは俺の足元で横になって寝ている。

 二匹とも性格は真逆で犬種も違うけど、結構相性は良くて姉妹のように仲が良い。二匹で一緒にいる姿もよく見かける。二匹とも優しい性格だから、めったに喧嘩もしない。サンゴさんはあんまり動かないから、一方的にワサビが絡みに行くことが多いけど、サンゴさんもそれを適当に払いつつなんだかんだ楽しそうにしている。

 まぁだから多分、その辺は大丈夫だと思う。


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