第6話 光と闇の戦い
戦いの火蓋が切られる日、ルミナは同盟軍の最前線に立ち、力強く号令を発した。
「進め! 闇を打ち破り、この地を守るのです!」
彼女の声に応えるように、聖騎士たちが軍馬を走らせ、兵士たちも槍と盾を構えて、敵と対峙する。
本格的な戦の前、ゴブリンは狡猾に動き回り、幾度も奇襲を仕掛けきたし、コボルドの開発した罠の数々に少なくない犠牲を払っている。しかし、聖軍は止まらずに戦場にまで前進を続けたのである。
オークたちは武器を鳴らし、人よりも遥かに大きな体を持つオーガやトロールは岩を砲弾として威嚇する。さらに巨大なサイクロプスは単眼に邪悪な魔力を宿して聖騎士たちを睨みつけ、悪魔の群れも翼を羽ばたかせながら上空からの強襲の機会をうかがっている。それらを率いるのは、闇の契約を立てに飽くなき野心を燃やす一人の人間である。
「下僕ども、命を賭して私に勝利をもたらせ」
おおよそ人間性に褒めるところはなく、カリスマ性も皆無の男であったが、他者に犠牲を強いて恥じ入ることのない精神性はたいしたものであったかもしれない。無論、誰一人として褒めることなかったが。
契約者に対する憎悪を敵にぶつけるべく、妖魔の群れは突撃を開始する。
王国軍とドワーフの連合軍も決戦の地に向かっており、合流される前に叩き潰そうという算段である。
「神よ、我が剣に力を与え、我らの敵を打ち砕かんことを!」
ルミナの聖剣が輝きを増し、光の加護を受けた聖騎士たちは闇の侵略者たちを次々に斬り倒していく。兵士たちの武具も輝きを増し、妖魔たちの振り下ろす武器の一撃を弾き返し、巨大な投石の衝撃にも耐える力を得る。不死身とはいかないが、それでも人間を遥かに超える攻撃力と防御力を得て、雲霞の如く押し寄せる敵に対抗する。
両者の力が拮抗したが、その均衡は外部からの力で崩されることになった。
王国軍とドワーフの援軍が到着したのである。
王国軍の騎兵が横腹を突き、その穴を埋めるようにドワーフの戦士たちが重厚な鎧を鳴らしながら前進して埋めていく。
援軍により敵軍が乱れた瞬間の好機をルミナは見逃さなかった。
「突撃!」
彼女は精鋭を率いて、この戦いに決着をつけるべく突き進む。
オークの群れを斬り捨て、オーガやトロールの囲みを突破し、邪視の力を持つサイクロプスを葬ると、ついにローレンスの本陣に迫った。




