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SmileAgain

作者: 黒川 月夜

 第一話 大学生兼社長


 小山田聡は大学2年生の20歳だった。

可愛い彼女一条緑19歳と仲が良いと噂される程だった。

聡は財閥の息子で自身でも会社を経営する程、優秀な学生だった。

緑の家は古くから有る由緒ある家柄で、緑は良く将来について聡に話をしていた。

「新婚旅行は世界一周が良いな」

「無理だよ、会社が有る、せめて海外でお願い」

そんな話をする様に成って居た。

しかし、聡はまだ結婚はしたくなかった。

大学を卒業したら会社をもう少し大きくしたい、暫くは仕事の事を考えたかった。

聡に告白する女性が居ると、呼び出し忠告をしていた事を聡は知らない。

家に帰ると父親が珍しく昼から家に居た。

「聡、大学はどうだ?」

「ちゃんと行っているよ、会社も順調だし」

父親はそうかと言った後、

「将来は緑さんと結婚をするのか?」

行き成り聞いて来た

「多分、どうしてそんな事聞くの?」

そう答えると、父親は3枚の写真を出した。

「緑さんの家は由緒ある家で申し分ないだろうが、この娘達はどうだ?」

テーブルの上の写真を座って見る。

可愛いと思うが、何かの考えが有るのだろうと聞いた

「この娘達は何処の会社のお嬢さんですか?」

「うちの会社と取引の有る会社のお嬢さん達だ、3人共、聡と年は同じだ」

政略結婚、今時と思いながら父親に反発も出来ず

「お相手が僕と会っても良いと言うなら、会うのも良いと思います」

そう言って自分の部屋に行く、聡はもうすぐ一人暮らしをする為部屋の荷物の整理をしていた。

次の日、大学は午前中で講義が終わる、そうした日には会社に行って仕事をしていた。

「社長、この書類に目を通して下さい」

「ああ、分かった、後、2日前の件はどうなった?」

「はい、無事に契約を取れました」

「ありがとう」

学生から社長に成る瞬間だった。

「社長、緑様がお越しです」

緑は平気で聡の会社に来る、聡はため息を付いた。

「部屋に緑が入って来て、おば様から聞いたわ、おじ様が見合い写真を持って来たって」

「緑、此処は会社だ、今、僕は仕事中」

注意すると緑は頬を膨らませ

「見合いするの?私と云う彼女が居るのに」

全く聡の話を聞かない

「向こうだって政略結婚の相手に会いたいとは思わないだろ?」

書類を見ながら聞かれた事に答えた。

「ねえ聡、指輪買って、婚約指輪」

「悪いけど、仕事中なんだ、今日は帰ってくれないか?」

緑はしぶしぶ帰って行った。

仕事が出来なかった日の仕事をこなさなければ成らない緑の我儘に付き合ってはいられなかった。


 第二話 新しい車、彼女の我儘


 聡は新しいスポーツカーを買った。今までは中古のセダンに乗っていたが、会社が上手くいき自分で大きな契約が取れた自分へのご褒美に乗りたかった車を買う事が出来た。

実家から引っ越し、タワーマンションの上の部屋を借り引っ越しも終わって、納車に成った。

緑は部屋の合鍵を欲しがったが断った、一人の時間が欲しかった、緑はまるで婚約者の様に振舞う、前はそんな我儘な緑も可愛いと思って居たが、最近は度が過ぎていると思って居た。

「聡、新しい車来たんでしょ?見せて」

「ああ、昨日納車に成ったんだ、僕もまだ運転してないから駄目」

そう言って断ると緑は怒りだしてしまった。

「聡、最近変だよ、見合いは断らない、部屋の合鍵はくれない、会社には来るな、車に乗せてくれない、婚約指輪も買ってくれない、私の事避けてるの?3人から良い子が見つかったの?」

「緑、大きな声出さないでくれ、他の女の子は居ないし、会社は仕事をして居る、一人の時間が欲しい時だって有る、付き合ってはいるが婚約した訳では無い、緑こそどうしたんだ?」

聡はため息交じりで緑に聞いた。

「だって心配なのよ、聡は知らないと思うけど、どれだけ人気が有るか分かって居る?財閥の御曹司、自分の会社を経営している、背の高くて優しそうな顔、どれだけ私が遠ざけて来たか」

そう言った時、緑は両手で口を押さえた。

「緑、何かしているの?」

聡は少し怒りながら聞いた。

「何もしていないわ」

緑はそれから何も言わなくなった。

「緑、家に送って行くよ」

聡が言うと、新しい車じゃ無ければ嫌だと駄々を捏ねる。

仕方なく、車で送る事にした。

家に着き駐車してある所まで行くと緑は嬉しそうに

「ねえ運転させて、良いでしょ?」

「だから僕もまだ運転していないんだ」

「嫌よ、運転させて、私を怒らせた罰よ」

そう言って聞かない、仕方なく鍵を渡す、免許を持っている事は知って居た。

「聡、ありがとう、大好き」

席に座り聡の頬にキスをした。

そして緑は上機嫌で運転を始めた、が、何か危ない気がして

「緑、車の運転はしているんだよね?」

「1年振り位、軽自動車しか運転した事無い」

聡はまずいと思い、運転を変わる様に言うが、聞いてくれない、スピードが出ているせいかフラフラしていた。

「緑、危ない運転変わって」

聡が言うと、大丈夫と言って変わろうとしなかった。


 第三話 事故


 横断歩道が青に成り、緑の運転する車は赤信号に成って居たが緑はスピードを落とさなかった。

そして最悪の結果が待って居た。

女子高生を撥ねてしまったのだ、しかし緑は逃げようとした、それをやっと止め女子高生の元に行き

警察、救急車を呼び保険会社にも連絡した。

緑は降りて来なかった。

「ごめんね、痛いよね、もうすぐ救急車来るからね」

聡はずっと話かけていた

警察が来て緑がそのまま運転席に居る事、ドライブレコーダーで運転していた事が分かりパトカーに乗せられそうになった時にやっと言った言葉が

「聡、聡、何とかしてよ、私警察に連れて行かれる、何とかして」

自分の事だけだった、聡は緑を見なかった。

救急車も来て女子高生は病院に運ばれた。

聡は警察の事情聴取を受けた、そして運ばれた病院を聞き急ぎ病院に向かった。

病院に着くと女子高生の母親が居た。

「この度は誠に申し訳ありませんでした」

聡は頭を下げ謝った、許されないと分かっているが謝るしかなかった。

保険には入っていた、保証も出来る、だが一番の心配は女子高生の様態だった。

その日は手術が終わるまで病院に居たが会わせて貰えなかった。

家に帰ると、緑から電話が入った。

「はい、小山田です。」

「聡?何で助けてくれなかったの?私警察に連れて行かれたじゃない」

どういう訳か緑はもう警察から出て来ていた。

「何を助けるんだ?君がスピードを出して赤信号を無視し人を撥ねた、だが君は車から降りずに警察、救急車すら電話しない、僕には君の行動が理解出来ない」

「聡、新しい車買うのでしょ?また乗せてね、それでね」

話の途中で聡は電話を切った、

自己中心的に成ってしまったのか、これが彼女の本性なのかスマホはずっと鳴っていたが緑からの電話は出なかった。

暫くは大学も休み、会社にも理由を言って休んでいた。

インターフォンが鳴るが映し出されていたのが緑だったので居留守を使い、病院に毎日通った。

しかし、母親が居て会わせて貰えない日々が続いた。

「貴方に言っても仕方ない事は分かって居ます、貴方の車ですが他の方が運転していた事は警察から聞いています、しかし、信号無視をして運転していた人は何もしなかったと聞き怒りを何処にぶつけて良いのか分かりません」

初めて母親が話てくれた

「本当に申し訳ございません。」

聡は謝る事しか出来ない、しかも緑は1度も来ていない事が分かった。

病院の帰りスマホが鳴る緑だった。

「緑、何で見舞いに行かない?」

出て言うと、緑は行き成り電話を切った。

それから緑からかけては来るが事故の話、見舞いの話になると電話を切ってしまう。

聡は大学と会社には行くようになり、その後病院に行く毎日だった。


 第四話 少女との出会い


 病院に通い1週間ちょっと経った時だった、部屋のドアをノックすると、いつもは母親が出て来るのに

「はいどうぞ」

と、聞いた事の無い声がして部屋の中に入った。

其処には黒く長い髪、頭に包帯をしていて左の手足を骨折している様だった。

ベッドを上げて普通に座って居る少女が居た。

「この度は本当に申し訳ございません、私、小山田聡と申します」

頭を下げると、少女は会釈して

「松永朋です」

名前を教えてくれた。

毎日違う手土産を持って来ていたが、今日はぬいぐるみだった。

「これを」

と言って渡すと、朋は

「これ、欲しかったぬいぐるみ、ありがとうございます、毎日来て頂いているみたいで母が何か言ってしまっていたらすいません」

そう言って朋は聡に謝った。

「いいえとんでもない、僕の車が起こした事故ですから当然です」

「でも、運転は別の方ですよね?警察から聞いています」

暫くして朋は、

「ずっと声を掛けてくれてましたね、ありがとうございます」

朋は聡を責めなかった。

「僕は20歳ですが、朋さんはお幾つですか?」

「私は18歳です、20歳だと大学生ですか?」

「はい、大学生です、後会社を経営しています」

と言うと朋は

「本当にいらっしゃるのですね、テレビとかで大学生が会社を経営している人を見ますが、こんなに近くにも居るなんて、凄いですね」

朋は女子高生とは思えない程、物静かな女の子だった。

「朋さんは大学進学希望ですか?」

朋は少し考えて

「家は母親1人子1人なので就職すると思います」

そうですか、と聡は言った。

其処へ母親が入って来たが、特別出て行けなどとは言わなかった。

「それでは僕はこの辺で、何か必要な物、欲しい物は有りませんか?」

と聞くと朋は少し考えて、ファッション誌が欲しいと言った。

病室を出ると、母親が出て来て電話に出ていた。

「そんな、困ります、何とかなりませんか?」

電話を切って項垂れていた、気に成って

「どうかしましたか?」

と聞くと、看病の為、パートを休んで居たらクビに成ってしまったと言った。

会社名を聞くと取引先の一つだった。

家に帰り早速その会社にスーツを来て行く

「お世話に成っております、Sカンパニーの小山田です、社長様はいらっしゃいますか?、後これ皆様で召し上がって下さい」

手土産を持って行った、パタパタと走る音がして社長がやって来た。

「お世話になっております。小山田様本日は?仕事のご依頼でしょうか?」

「ええ、それも有るのですが、社長さんにお願いがございまして参りました」

直ぐに応接室に通される、

「先ずは仕事のお話ですが、此方の工場でこの部品をお願いしたく」

そう言うと社長は計画書を見て目を輝かせて

「こんなにも大量の部品をこの会社に任せて貰えるのですか?」

喉から手が出る程欲しい仕事だろう

「はい、御社の技術は素晴らしいですから、大丈夫でしょうか?」

「はい、はい、やらせて下さい」

社長は大喜びだった。

「後、お願いとは?」

と聞かれ、

「給料は払わないで良いので松永さんをクビにしないで頂きたいのです、私の友人が起こした事故でして

看病が終わったら復帰させて欲しいのですがどうでしょう?」

社長は直ぐに電話を掛け看病後、また来てくれとその場で言ってくれた。

「ありがとうございます社長」

聡が言うと

「これ位たいした事ではありません、仕事を頂きありがとうございます」

「では、またご連絡致しますので宜しくお願いします」

聡はそう言って書店に寄って帰った。

 

 第五話 入院生活


 大学が終わった後、車に乗って病院に向かおうとすると緑が何か怒りながら聡の所に来た。

「ねえ、何でまた中古のセダンなんて乗ってるの?前みたいな車にしようよ」

事故を起こした車は売ってしまった、事故車だったが、距離や新車だった為、セダンを買っても沢山のおつりが来た。

「乗りたいなら自分で買ってくれ、後、何で見舞いに行かない?1度位謝りに行ったらどうだ」

そう言うと緑はより怒って

「車の前をのろのろ歩いてるのが悪いのよ」

「緑が信号無視とスピード出し過ぎで起きた事故だよ」

そう言うと緑は友達の方に行ってしまった。

聡はため息を付いた。

朋の病室に行きノックすると

「そうぞ」

と、また朋の声がした。

「こんにちわ、まだ痛いだろうけど、他の所は大丈夫?、後、これ何が良いのか分からなくて」

と、沢山の雑誌を渡した。

朋は笑いながら

「身体は大丈夫です、雑誌多過ぎです」

目に涙を貯めて言った。

「入院で必要な物や欲しい物は言ってね」

「ありがとうございます、後、母の会社の事、小山田さんでしょ?」

バレていた。

「どうして?」

「母が社長から聞いたみたいで、喜んでいました。小山田さんが悪い訳では無いのにどうして此処までして下さるのですか?」

朋に言われちょっと悩んだ。

「しかし僕の車が起こした事故ですから」

「何故、運転していた方は来られないのですか?」

聡は答える事が出来なかった。

その時だった、廊下から朋の母親の怒鳴る声が聞こえた。

「馬鹿にしているんですか?お金で解決ですか?本人は何で来ないのですか?」

廊下を見ると緑の家のお手伝いさんが大きな封筒を手渡していた。

「運転していたのは小山田さんの恋人ですか?」

朋に聞かれそうだとは言わなかった。

「友達なんだ」

何故か、朋に恋人と思われたくなかった。

朋はそうですかと言って微笑んだ。


 第六話 楽しいはずだった。


 緑との交際は楽しいはずだった。

何時から緑は変わったのだろう?会社を立ち上げた時はまだ楽しい交際だった。

最近は我儘で持て余す様に成った、緑とは終わりにしようと考え始めていた。

それよりも毎日病院に行き、朋と少し話す事が楽しいと思って居た。

大学、仕事、病院の毎日に成った。

仕事中、緑が会社に来た、行き成り会議室を開け聡の隣に座った。

「緑、申し訳無いが今仕事中だ、後、会社には来ないでくれ」

聡が言うと緑は

「何で?私達結婚して私はこの会社の専務位には成るんでしょ?」

聡は大きくため息を付き

「皆、申し訳無いが一時中断しよう」

そう言って緑を社長室に連れて行く

「何?何で中断したの?」

「緑、もう君との付き合いを終わりにしたい。結婚もしないし、会社にも入れない」

ハッキリと言った。

「何で?何で別れ話なの?」

「うるさい、もう十分だ、何故人の話を聞かない、僕にはもう無理だ、君の御守をするのは他の誰かに任せるよ、君とはもう会いたくも無い出て行け」

泣いてばかりで出て行かないのを聡はイラつき警備員を呼び表に出させた。

仕事に戻り皆に謝った、ビルの受付にも緑を入れない様に伝えた。

今日は果物を買って病院に向かった。

病院に着くと受付で騒いでいる女が居た、見ると緑だった。

「〇月〇日此処に救急で運ばれてきた女の病室は何処?」

緑の手を取って外に出した。

「君は何をしているんだ、此処は病院だ、帰ってくれ、これ以上僕に付きまとう又は僕の周りの人に迷惑を掛ける様なら裁判をする」

「私の何が悪かったの?私は聡と結婚して社長夫人に成って幸せな家庭生活を送りたかっただけなのに」

そう言ってまた泣いていた。

「泣いてもダメだ、君とはもう一緒に居られない、居たくない他に良い人を見つけて幸せに成ってくれ、悪いが弁護士を呼ぶよ」

強く言うと緑は分かったと言って項垂れてタクシーに乗った。

病院の受付の人にも入れない様に頼んだ。

病室のドアをノックすると

「どうぞ小山田さん」

と、朋の声がする。

病室に入って何故分かったのか聞くと

「ノックの仕方で何となく」

と、微笑みながら教えてくれた。

此処に緑が来なくて良かったと心から思った。


 第七話 もうすぐ


 「小山田さん、私もうすぐ退院出来るんですよ」

「そう、良かった、不自由な思いをさせて本当にごめん」

朋は笑いながら

「小山田さんはいつも謝ってますね」

と言った。

何か有ったら困るからと自分の携帯番号が書かれている名刺を渡した。

退院の日も聞いた、車が無いと不便だろうと思ったからだった。

退院の日まで毎日お見舞いに行った。

大学では緑が酷い振られ方をしたと言いふらし、可哀そうな女の子を演じ金持ちの息子と付き合う事に成ったらしいと友人から聞いた。

聡はその新しい彼氏が可哀そうになったが、それ以上の感情は無かった。

朋の退院の日が来た、大学も会社も休んだ。

病室のドアをノックすると、クスクス笑う声がした。

ドアが開き朋が出て来た。

「もう歩いて大丈夫なの?」

「リハビリ頑張ったので大丈夫です」

と答えてくれた。

「あれ?お母さんは?」

居ない事が気に成って聞くと支払いに行っていると聞いた。

下に行き支払窓口に行くと朋のお母さんは泣いていた、

最初は退院が嬉しくてだと思っていたが、様子を見ると違う様だった。

「何とか成りませんか?分割とか」

「カード払いが出来ますよ」

緑の家からの金は突き返したと朋から聞いていた。

聡は窓口に行き母親の隣に行き支払いをした。

「あの、小山田さんごめんなさい、必ず返しますので」

「いいえ友達が起こした事故なので気にしないで下さい、返済は結構です、さあ朋さんと家に帰りましょう、僕、車で来ているので送って行きます」

母親は聡に付いて行く

「もうすぐ車の保険が入金されると思うので」

そう言うと、母親は

「何から何まで本当にありがとうございます。小山田さんのせいでは無いのに」

聡は気にしないで下さいと言い病室に向かう、荷物は全部聡が持ち車のトランクに入れた。

「小山田さん車変えたのですか?」

朋に聞かれ、元々こういった車に乗っていたんですと答えた。

後部座席に母親と朋が乗り家まで送る。

到着した朋の家は古いアパートだった。

荷物を持ち部屋まで運ぶ、全部運び終わると、

「お茶でも飲んで行って下さい」

母親に言われお邪魔した。


 第八話 少女の思い

 

 「小山田さん、本当にありがとうございます、ご迷惑おかけして申し訳ありません」

朋に言われ

「朋さんに迷惑を掛けたのは此方の方で、決して朋さんのせいではありません」

朋は紙に書いた自分の携帯番号とメールアドレス、ラインを教えてくれた。

「ありがとうございます、何か有ったら本当に何でも良いので連絡して下さい」

そう言うと朋は、

「いいえ、小山田さんが名刺を下さったので、私だけ知っているのは違うかな?と思ったので」

聡はこの少女は何て大人なのだろうかと思った。

「朋さんは彼氏とか居ないのですか?お見舞いでお会いしなかったもので」

思い切って言って聞いてみた。

「いいえ、いません中々性格が合う人が居ないので」

微笑みながら答えてくれた。

「僕と同じですね」

2人して笑った。

「小山田さんなら直ぐにでも彼女出来そうですが?」

「朋さんも直ぐに出来そうですが、何か条件とかって有るのですか?」

聞き返すと朋は考えて

「そうですね、私に優しくて、他の人にも優しく、でもダメな事はダメと言ってくれ目標がある人でしょうか?小山田さんは?」

聡も少し考えて

「我儘過ぎず、一緒に居て落ち着く、優しい人でしょうか?」

2人で話し笑いながら聡は久しぶりに楽しい時間を過ごした。

「それでは、私はこれで、本当に何でも良いので連絡くださいね」

そう言って聡は帰って行った。

もしかしたらもう会えないかもしれないそう思った。

聡は車をセダンを止めてワゴンに変えた。

大学と会社に集中する事が出来る様に成った。

そんな時ラインが鳴った、メッセージが届いた様だ

見てみると朋からだった、開けてみると

「あの、毎日お見舞いに来て頂いたお礼に遊園地に行きませんか?」

「うん、行こう何時が良い?」

嬉しいお誘いで直ぐに返信した。

「今度の土曜日はお時間空いていますか?」

「空いてます、では土曜日に行きましょう、迎えに行きます」

「はい、お待ちしてますね」

久しぶりに心がドキドキした、何時からだろうこんなにも連絡が待ち遠しいと思ったのは。

緑の時も、高校で付き合った子の時もこんな気持ちに成った事は無かった。

久々に洋服を取りに実家に行くと父親が居てまた写真を見せられた。

「緑さんと別れたらしいが今度は会ってくれるんだろうな」

「お断りします、僕の結婚相手は自分で決めます、見合いの紹介なら兄さんに言って下さい」

聡には2歳年上の兄が居た、大学を卒業したら父の会社に就職予定だ。

「仕方ない、そうしよう」

父親は諦めてくれた様だ。

待ちに待った土曜日、聡は朋を迎えに行った。

朋は外で待って居た、色々と選んだのだろうちょっとおしゃれしていた。

「お待たせしました、今日の服装可愛いね、さあどうぞ」

助手席のドアを開けた、ありがとうございますと言って朋が乗った。

黒く長い髪、桜色のワンピース、白いサンダル、白いポーチ

聡は運転席に乗り飲み物を渡した

朋はありがとうございますと言って缶ジュースを受け取った。


 第九話 本当の気持ちを教えて


 「実は遊園地の入場無料券を貰ったので、小山田さんにお礼をしたくて」

少しモジモジした様に話す朋を初めて見た。

「聡で良いよ、小山田は言いずらいでしょ?」

笑いながら言うと朋は赤くなりながら

「聡さんは遊園地なんて子供ぽくて嫌かなって思ったんですが一緒に行きたくて」

其処まで言って朋は真っ赤に成った。

「朋ちゃんと僕は2歳しか変わらないよ?僕も遊園地は久しぶり楽しみだ」

そう言うとパッと花が咲いた様な笑顔を見せてくれた。

その可愛らしさに今度は聡が真っ赤に成った。

遊園地に着くと聡は助手席に行きドアを開け手を出した、その手に手を乗せ朋が下りた。

「聡さんは女の子をお姫様の様にすて下さるのですね」

「朋ちゃん、敬語やめようよ、ワゴンは降りずらいかと思っただけだよ」

二人で遊園地に入る、

「朋ちゃんは何に乗りたい?」

「ええっと」

ちょっと焦っている様だった。

きっと入場券で乗るのが別料金と考えていなかったのだろうと思って、

「ちょっと待ってて」

聡はそう言って1日乗り放題の券を買って来た。

「朋ちゃんこれ、券はこのケースに入れて首から下げる」

「あっこの絵柄」

「朋ちゃんの病室に有ったから好きなんだと思ってそれにしてんだ」

「聡さんごめんなさい私」

そう言った所で聡は人差し指で朋の唇を止めた。

「もう謝るのは無しね。せっかく来たのだから楽しまないとね」

朋はまた笑ってくれた。

色々な乗り物に乗り、昼には場内のレストランで軽く食事をする。

少し休んでまた乗り物に乗ったりした、お化け屋敷があり

「怖いけど、入りたい」

と、朋が言ったので入る事にしたが、本当に大丈夫だろうかと心配に成る。

「きゃ~」

おばけが出る度に悲鳴を上げ聡にしがみ付くやっと外に出た時には泣いていた。

朋の涙を拭き

「苦手なら辞めれば良かったのに、大丈夫?」

休みながら言うと朋は

「恥ずかしい話、こうでもしないと聡さんにくっつけないと」

段々と声が小さくなり、顔が真っ赤になって居た。

朋にばかり言わせるのは悪いと思い聡は

「朋ちゃんに嘘を付いていた、事故を起こしたのは彼女だった人だ、だけどあの後別れた。毎日見舞いに行ったのは事故を起こしてすいませんて気持ちと朋ちゃんに会いたい気持ちが有った。だから今日誘って貰った時は本当に嬉しくて、何を着て良い行こうか、何を買おうか考えるだけで楽しくて、こんな気持ちに成ったのは初めてだから上手く言えなくてごめんね」

それを聞いた朋は聡の手に自分の手を当て

「私、毎日聡さんに会えるのが楽しみでした、退院したくないと思ったりもした。」

「うん、朋ちゃん、僕にちゃんと言わせて」

朋は聡を見た、聡も朋を見て

「大好きだよ朋ちゃん、出来ればお付き合いして欲しい」

朋は目に涙をいっぱい貯めて頷き聡の腕にしがみ付いた。

「朋ちゃん?」

と聞くと丁度上目遣いの様に成って見つめる朋が

「朋って呼んでください」

そう言われ、聡は朋にキスをした。

「ごめんあまりにも可愛くて」

焦って謝った。

「初めてが、聡さんで良かった」

顔が真っ赤なまま朋はまた聡にしがみ付いたそして

「お付き合いお願いします」

と囁いた。


 第十話 未来は君と共に


 楽しかった遊園地のデート、聡は初めて好きと云う気持ちを知った気がした。

大学の勉強も、仕事も一生懸命に励んだ、勿論、朋と会う時間を作る為だった。

朋の親にちゃんと伝えないといけないと思い日曜日に会えるように頼んだ。

日曜日、スーツを来て手土産を持って朋の家に行った。

テーブルを挟んで母親と座る、手土産渡し

「本日はお時間いただきありがとうございます。私、小山田聡は朋さんとお付き合いを許して頂きたく参りました。娘さんとのお付き合いをお許しください」

そう言って頭を下げる、勿論隣で朋も一緒に頭を下げた。

「勿論、小山田さんはとても良い方だと思います、朋とお付き合いするのは賛成ですが、小山田さんのお家はどうでしょうか?小山田ホールディングスの社長の息子さんで自身でもSカンパニーと云う会社をなさっている、付き合うだけなら関係は無いのでしょうが、その先が心配です。家は母子家庭で貧乏です」

聡の兄は3人と見合いをして一番楽しかった人と結婚する事が決まって居た、兄はあんまり気にしない性格で自由恋愛は不便と考える変わった人だった。

「小山田ホールディングスは2歳年上の兄が社長に成る予定です、見合いをし、結婚相手も決まって居ます。私は自分の会社に専念出来ます。朋さんともお付き合いして終わりとは考えておりません、将来朋さんが私で良いと言ってくれるなら結婚も考えております」

聡はハッキリ言った、朋は驚き聡を見た。

「家は貧乏なんですよ?結婚となると余りにも、天地の差が有ります」

「朋さんの気持ちが一番ですが、お母様がそれを気にしていらっしゃるなら、高校を卒業したら就職ではなく、花嫁修業をして頂くのは如何でしょうか?勿論私の花嫁に成るのですから費用は考えないで頂きたい、朋さんが大学に行きたいと云うので有れば大学に行き、勉強をしてそれからでも良いのです。」

聡が言うと母親は考えて朋に聞く、朋も考えていた。

「学費の心配もしないで下さい、全て私が責任を持ちます」

それでも考えているのはこのアパートの事だろう

「私の会社は不動産もやっております、今度高層マンションを建設致します。最上階には2部屋しか作らない予定です。1つは私と朋さん、もう1つはお母様に住んで頂たい、お母様は経理をなさっていましたね?お母様に会社を作って頂きそのビルのオーナーに成って頂きたい」

聡の提案に2人は驚いて声も出なかった。

「これは直ぐでなくて良いので考えて頂けませんか?、朋、本当に大学に行きたいなら勉強の事だけを考えて良いね?」

朋も声が出ず頷くだけだった、本日はこれで失礼しますと言って帰った。

暫く母親と朋は無言だった。

聡は力強い味方が居た、母親だ、連絡をし今父親が居ない事を確認し実家に行く

「兄さんの見合い上手く行ったんだね。」

「そうね、お母さんはちょっと拓の考えが分からないわ、自由恋愛は不便なんて、お嫁さんは良い感じで拓を掌で転がしてくれそうだけどね。」

「母さん僕、今好きな人が居て、今日お付き合いの許可を貰ったんだ」

「まあどんな子?緑さんは尻に敷く感じだったけど、聡には合わなかったわね」

「まだ高校3年生なんだけど、緑の事故で被害に遇った女の子、母子家庭で苦労し大切に育てられた子、母親は家と天地の差が有ると言って交際は許して貰えたんだけど、結婚となるとって考えている様だった今度僕の会社で高層ビルを作るのだけど、最上階の部屋を2つだけにして1つは僕と、彼女、もう1つは母親に住んで貰って会社を作りそこのオーナに成って貰えないかってさっき言って来た」

母親は大笑いしていた。

「流石、聡、行動力はお父さん似ね。それでお母さんは何をすれば良いの?緑さんの時は結婚の話をしなかった聡が其処まで考えたのだから、お母さんに何かさせたいのでしょ?」

天真爛漫な母だが感が良い。

「もしも花嫁修業をしたいって言ったら母さんにお願いしたい」

「やだ~本当?お母さん嬉しい。早く会いたいわ」

「問題お父さんなんだよね」

聡がため息を付くと、母親は笑いながら

「お父さんの事らな大丈夫よ、本当にその子が聡の事が好きで結婚したい、聡も同じ気持ちならお母さんが何も言わせないわ」

「母さんありがとう」

そう言って実家を出た。


 第十一話 いつでも


 聡が実家を訪れてから次の日曜日、聡の母親は朋の家に行っていた。

着物を着て手土産を持って訪問して来た母親を朋の母親は驚き招き入れた。

「初めまして小山田聡の母の愛子と申します。この度はお嬢様との交際をお許し頂きありがとうございます。」

丁寧に頭を下げる。

「すいません狭くて汚い家に来て頂き、交際の解消でしょうか?」

朋の母親が聞くと、突然聡の母親は大笑いして

「いいえ朋さんを見たいと思ったのです、聡は交際した事は有りますが、結婚の話に成ると余り良い反応を今までしませんでした。先日帰って来て此処で話した事を聞いて私は大賛成致しました。聡に頼まれた事はもしも朋さんが花嫁修業をしたいと言ったら頼むと、もう私嬉しくて二つ返事致しました。朋さんが大学に行きたいと云ったら勉強をして貰ってそれでも聡との事を考えて下さるならこんなにも嬉しい事は無いと、朋さん余り深く考えないで良いですよ、大学に行きやっぱり聡じゃないと思ったら振ってやって下さい」

朋も母親も唖然としていた。

「あのお母様、言って良いのか分かりませんが、言います。聡さんが好きです。大学にも行けるのであれば行きたい、同時に花嫁修業をしたい、欲張りですが大学生でも結婚したい。聡さんがどんなに凄い方なのか分かりません、小山田ホールディングスが大企業なのは知っています。許されるのなら、許して貰えるのなら聡さんと共に生きて行きたい。」

そう言って朋は泣いていた。

「今の言葉録音しちゃった」

聡の母親はそう言って笑った。

「だってお母様聞いて下さいよ、家の長男自由恋愛は不便とか言って見合いで決めたんですよ?何だかつまらないと思いません?やっぱり恋愛結婚が良いわ、朋さん、後は任せてね」

そう言って母親は帰って行った。

聡は母親が行ったと聞いて驚いた、行動力は母親の方が有るのでは無いかと思ってしまった。

そして母親が録音した朋の言葉を聞かせてくれた。

「朋さんて高校生とは思えない程大人な子ね、でも素直で可愛いわ、お母さん大賛成」

「母さんありがとう」

そう言って電話を切った、そして朋に連絡をした。

「聡さんどうしたの?」

「ごめんね忙しかったかな?母さんから録音した朋の思いを聞いたよ、ありがとう僕も朋と共に生きて行きたい、大学に入ったら花嫁修業をしよう、そして結婚しよう」

朋の名ぎ声が聞こえる、

「朋?大丈夫?」

「はい、私、幸せで本当に幸せで初恋の人と結婚出来るのが嬉しくて、皆が応援してくれるのが嬉しくて聡さんに甘えて良いのか悩んだけど、お金の事甘えて良いの?」

「甘えてくれ、僕に出来る全ての事はする、塾にも行くと良い、そして朋、今度、婚約をして下さい、これは会った時にちゃんと言うからね」

そう言って電話を切った。

部屋がノックされ母親が入って来た。

「お母さんね考えたの、ちゃんと考えたのよ、朋の幸せをそれでねお母さんの劣等感を聡さんは無くしてくれ様としている。だから聡さんのお話受けようと思うの、そうする事で朋を守ろうとしていたのね彼は本当に頭の回転が速く優しい人ね」

朋は母親に抱き着き泣いた、勿論、うれし涙だった。

次の日曜日、デートの前に話がしたいと家に招き入れた。

「聡さん、この間のお話、まだ有効ならお受けしようと思って居ます」

朋の母親はそう言った。

「はい、ありがとうございます。弁護士には伝えて有りますのでその様に準備致します。お母様もその弁護士を使って下さい、信頼できる人物ですので」

それから朋とデートに行った。

「朋、高校を卒業して大学に入ったら婚約して下さい」

聡が言うと、朋は泣きながら

「はい、お願いします」

と言って聡の胸に飛び込んだ。

聡は朋を抱きしめキスをした、まだ恥じらう朋を愛おしく思う初めての事だった。


 第十二話 高校卒業、同じ大学


 朋は高校を卒業した。勿論聡も居た、最初聡と同じ大学に進むと聞いた時は驚いた、でも嬉しかった。

朋と付き合い始めてから聡の会社は順調で大きくなった、上場もした。

造っていたビルも完成し下3階までは商業施設が入り4階からは賃貸住宅になって居て、20階から30階までは分譲マンションに成って居た。30階に聡と朋の部屋、向かいの部屋は朋の母親の部屋だった。

大学に行くまでの間で引っ越しをした、勿論聡も同じ部屋に引っ越した同棲の始まりだった。

そして難関だと思っていた聡の父親と会う事に成った。

朋の母親も一緒に聡の実家に行く応接間に父親が腕組みをして待っていた。

お手伝いさんがお茶を入れてくれる、何故か、兄と婚約者も居た。

「この度は貴重なお時間を頂きありがとうございます。松永朋と申します、此方は母です」

お辞儀をすると父親はどうもと言った。

「朋さんとお母様がいらっしゃると聞いて聡の兄と婚約者の方にもいらしていただいたの」

聡の母親の仕業だった。

「先ずは父の小山田実、母で愛子、兄の拓、婚約者の三浦泉さん、此方は僕の婚約者に成る松永朋、お母さんで京子さんです」

聡が紹介をすると父親が朋に

「まだ大学生に成ったばかりと云うかこれから大学が始まるのですよね?聡は2男ですが小山田家の者です、出来ればどこかの会社のお嬢さんと結婚をさせたいと考えています」

「まあ考えが古い、拓、会社ちゃんとやってね、古いのが全部悪いとは言いませんが、新しい物を悪いと云う考えは駄目だわ、特に結婚、拓の様にお見合いで泉さんと云う素敵な方と婚約するのは古き良き事、恋愛で聡の様に朋さんと云う可愛いい人と結婚する新しい事、どちらも素敵な事では無いですか?」

このモードに入った愛子に実は勝てない。

少し間が空き実が

「そうだね、聡と朋さんが幸せに成れるなら時期などは関係ないのかもしれない、朋さん申し訳ありませんでした」

父親が頭を下げた。

「いいえ、本当はそうすべきだとは思いますが、どうしても私は聡さんが好きで我儘を言いました」

朋が言う、

「僕は朋意外とは考えて居ない、見合いが嫌なのではなく、朋が好きで一緒に居たいと、ずっと朋と生きて行きたいと思ったんだ」

「恥ずかしげもなく良く言えるな、僕も泉さんと見合いして恋をした、これが見合いでなくても泉さんと恋をする」

兄が初めて恋に関して自分の気持ちを言った。

「じゃあ私達も恋愛結婚ですね」

泉が赤くなりながら拓に寄り添った。

大学が始まった、学校ではもう聡と朋の事は噂に成って居た。

早速、緑が朋の元に行ったと聞き急いで朋を探した。

「ちょっと、松永さんいいかしら?貴女わざと車の前に出たの?聡を手に入れる為に、聡と私は結婚するはずだったのよ、貴女のせいで聡は私と別れて責任を取る為に貴女と付き合って居るって事分かる?」

見つけた。

「一条さん、悪いが君の考えが全く分からない、確かに君と付き合っていた、しかし僕は一条さんの事を好きだと思った事も無い、君にキスをした事も無い、それと君には新しい彼氏が居ると聞いたが?もう忘れてしまったのかい、僕の周りの人に何かしても弁護士を入れると言ったよね?」

今、緑と付き合って居る彼氏が緑を連れて行こうとすると

「だって貴方は会社経営して無いし、親に買って貰っているだけ私が付き合ってあげてるのよ?もっと大切にしてよ」

「朋、ごめんね大丈夫?」

朋は泣きそうな顔をしていたが

「大丈夫、私、聡さんが好きな気持ち誰にも負けないから」

大学内だったが可愛くて抱きしめてしまった。

周りからはきゃ~と声がしたが関係なかった。

そして朋の耳元で

「今度の土曜日僕に付き合って」

そう言うと朋は赤くなってはいと言った。


 第十三話 婚約


 一緒に住んでいるがまだ部屋は別にしてあった

「朋準備は出来た?」

そう聞くと朋は急いで部屋から出て来た。

薄いブルーのワンピースに黒髪を白いリボンで結んでいた。

「今日も可愛いよ」

そう言うと頬を赤く染めるそんな朋が愛おしくてたまらない。

一緒に行ったのは貴金属店だった。

入ると店員が

「いらっしゃいませ小山田様、ご用意出来ております」

そう言って箱を渡された。

夜、レストランで食事をした後、夜景を見ながら箱を出し開けて

「朋、将来僕と結婚して下さい」

と言って婚約指輪を出した。

「はい、宜しくお願いします」

朋はそう言った。

聡は朋の指に婚約指輪をはめた。

「奇麗、凄く嬉しいです、聡さん」

そう言って聡に抱き着いた。

「聡さん、私、幸せ過ぎて怖い位です」

「何が有っても守るから、僕の側に居て欲しい」

「はい、ずっと側に居ます」

「朋」

聡は朋の顔を上げキスをした。

「僕も初めてこんなに人を好きに成った、朋だからだろうね」

「嬉しい、聡さん大好き」

今度は朋が背伸びして聡にキスをした。

婚約をした朋は聡の母親に花嫁修業をお願いした。

兄の婚約者も一緒に花嫁修業をした。

3人は仲良くなり、朋の母親も居れ良く4人で出かけていた。

朋が家に居て、聡が大学に行っている時にインターフォンが鳴る

「はい大山田です」

朋が出ると、

「弁護士の早川です、聡は居るかな?」

「もうすぐ帰って来ると思うのでどうぞ」

オートロックを解除した。

「部屋に来た早川は名刺を出した。Sカンパニーの顧問弁護士と君のお母さんの会社の顧問弁護士をしています。」

お茶を入れ暫く話をする

「じつわ私君達の先輩なんだ、司法試験を受けて合格した後、何処の事務所にも入らないで個人事務所を作ったんだ」

「凄いですね」

「それがさ、全く仕事が無くて、事務所に所属しようとしたんだけど、そんな奴を雇ってくれる事務所が無くて夜に工事のバイトしてたんだ、そしたら聡が来て会社を作ったから暇なら顧問弁護士に成れって言ってさ、それからは聡の紹介とかで顧問弁護士の仕事を沢山抱えて事務所も大きくなった、聡のお陰なんだ、今の私が有るのは」

なんて優しい人なんだろうと朋は思った、いつも誰かの事を考え行動してくれる母親の時もそうだった。

「でもね、ただ優しいだけじゃないいんだ、駄目な人にはその人が出来そうな事を提案する頭の回転が速い上に決断力が有る、そんな男でも女の趣味はどうなの?って思って居たけど、良い婚約者と出会えて良かった」

そう言われ朋は赤くなる、聡が帰って来たのはそんな時だった。

「先輩、何で家に居るんですか?辞めて下さいよ、朋何もされてない?」

「俺は野獣か」

「緑の事だ、あいつとうとう親父怒らせて海外留学だってさ、これで安全だと言いに来ただけ」

そう言いながら立ち上がり

「朋さんお茶美味しかったですありがとう」

そう言って帰って行った。

「聡さん、先輩に聞きました、先輩が弁護士と名乗れる様に成った事を」

「全くおしゃべりな先輩だな」

朋は聡に抱き着き

「聡さんは本当に優しい人ですね、また好きに成りました」

「朋、僕は毎日好きに成っているよ」



 最終話 結婚


 婚約して1年が過ぎた、聡は大学を卒業して会社の社長業に専念していた。

朋は大学2年生に成って居た。

兄の結婚式が半年前にハワイで行われ朋の顔が羨ましいと思って居る様に見えた。

滞在中2人で夕方の海を散歩したりゆったりと時間が過ぎて行った。

日本に帰って来てから朋は学業、聡は仕事で忙しくなった。

その忙しさが落ち着いた時だった。

「朋、僕と結婚して下さい」

クルーザーの上でプロポーズした。

「本当に私で良いんですか?」

泣きながら嬉しいのかそう聞いて来た。

「僕はね朋、あの事故の時から朋の事を好きに成って居た。君の笑顔が見たくて毎日病院にいってたんだ」

「私もあの事故の時にずっと側に居て励ましてくれていた聡さんの事を好きに成って居ました」

「足と腕にうっすらと傷痕が残ってしまったね、でもよく見ないと分からない、僕以外は気が付かない」

「そうですね」

朋はフフッと笑った。

そんな朋を抱きしめ

「僕は朋じゃ無ければ駄目なんだ答えは?」

「はい、お願いします」

朋は聡を見て答えた、そんな朋の顔が可愛くて聡はキスをした。

「朋が良いと言っていたハワイの教会にしよう、ドレスも決めないとね」

「嬉しい、聡さんありがとう、私、本当に幸せです」

「僕も幸せだよ朋」

抱きしめたまま朋の神を撫でる。

色々あった、緑の事、朋に傷が出来てしまった事全てがこの時の為に会ったと思うと何でも無かった。

朋が居るから勉強も仕事も頑張れた。

あの日出会って無かったら絶対に会えるはずの無い人だった。

そして皆を呼んで結婚式の日に成った。

朋のウエディングドレス姿は美しく聡は見とれていた。

聡の元に来た朋に微笑んだ、朋も聡を見て微笑んだ。

式が終わり、お色直しをしてきた朋のカラードレス姿も美しかった。

「朋、ウエディングドレスも今のドレスもとても似合っていて奇麗だ」

朋は赤くなり

「聡さん、褒め過ぎです」

と、小さく言った。

2人の結婚を沢山の人が喜んでくれた。

朋の友達も呼んでいた、その友達に

「ねえ朋ちゃん、旦那さんの友達とかで社長さんとの合コンとか出来ない?」

「さあ、聡さんの知り合いで社長さんが居るのかどうか、弁護士さんならいたけど」

「良い弁護士でもいい、お願いしてみて、朋ちゃん見てたら私達も結婚したくなった」

その姿を見て微笑ましく思った。

聡の元に朋が走って来た。

「助けて、社長さんや弁護士さんを紹介してって」

聡は笑いながら

「見つけておくよ」

そう言って朋の腰を抱いた。

色々な写真を撮った、撮られた。

朋は嬉しそうに写真盾を増やして行った。

「じゃあ朋、仕事に行って来るよ」

「はい、いってらっしゃい」

頬を朋に突き出すと、恥ずかしそうにキスをしてくれた。







 







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