8話。アールおそるべし!!
許可? ハハッ。
おう。俺だ。ベシータ様だ。
スカウターで集落の動きを観察しつつ次の獲物が出てくるのを待っていたんだが、おあつらえ向きに3匹の豚野郎どもが巣から出てきやがったんで巣から離れたところを狙ってタコ殴りにしてやったぜ。
なんか一番弱いのを庇っていた節があったが、あれは連中の子供だったのか?
「はっ。子供を戦場に連れてくるなんざ碌な親じゃねぇな。いや、それを細切れにした俺が言うことでもねぇか」
ちょっぴりおセンチな気分ってやつになっちまったが、いかんいかん。いちいち豚野郎の事情を気にしていたらレベルアップなんざできねぇし飯も食えねぇからな。
あれだ、魚の気持ちを考えていたら刺身は食えんってやつだ。
自分で手にかけておきながら同情する? そんなのは偽善ですらねぇ。吐き気を催す類の自己満足だ
だからこそあいつらを倒して食料にしている俺は、あいつらのことを明日の朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのねって感じで、養豚場の豚でもみるかのように見て、そして食べるべきだ。
まぁ食うのはもう少しあとなんだがな。
というのも昨日は腹が減っていたからアレだったが、本来であれば食事ってのは静かで豊かな安全な場所で誰にも邪魔をされず、自由に喰らうことができる場所でするべきものだからな。
それで行けばここは連中の巣に近すぎる。
「食ってる最中に邪魔されたら切れるぞ、俺は。アームロックどころかアームをクラッシュするぞ」
壊すのはアームだけじゃねぇけどな。腕を失って逃げるやつの背中に向かってビックベンアタックを食らわせてやるぜ。
そんなわけで、飯は後。まずは勝利報酬の確認だ。
「最初に肉が一つ、これはBP150のやつか。全員から確定でドロップするわけじゃねぇのな」
少し残念だがしょうがない。これから数十万の豚野郎を倒すんだ。その都度キロ単位の肉を落とされても処理できねぇからな。あぁそうだ。
「……アイテムボックスの中身の時間が経過するかどうかの確認もする必要があったわ」
アイテムボックスは異世界三種の神器と言われるほどのものだが、そもそもこいつには時間が経過するタイプと時間が止まるタイプ。さらには容量が決まっているタイプと無限に入るタイプなど、いろんな種類がある。
ものがものだから最大容量の検証は無理でも、時間の経過は確認できるからな。これは最優先でやっておこうかね。
具体的にどうするかって? 簡単だ。肉を入れておく。終了。
本当は焼いた肉を入れて熱が残っているかどうかを確認するべきなんだろうが、下手に火を使うと煙が出るし、臭いも蔓延するからな。今のところ火を使うつもりはねぇぞ。
「それはそれとして。石が三つ、か。こいつはもう魔石でいいだろ」
実際に何て呼ばれているかは知らんが、俺は魔石と呼ぶ。俺以外誰もいないんだから文句は言わせん。
「魔石は確定ドロップっぽいな。異世界あるあるだと、魔石は魔道具を使うための燃料代わりにされていて一定の需要があるんだよな」
だからこそギルドで魔石を買い取ってくれるわけだ。もしかしたら回復道具として使用すれば25%回復するタイプなのかもしれねぇが、今の俺には使い方がわからんからどうしようもない。
「どちらにせよ金になると思うから、これは確保決定」
アイテムボックスに入れておけば嵩張らんしな。
「豚野郎が着ていた布は……汚ねぇが、布は使い道があるからな。これも確保だ」
残るは武器だが、棍棒だ。特筆するべきものはねぇ。あえて言えばBP150の豚野郎が持っていた棍棒が少し違う感じがするくらいだが……。
「最初の野郎が持っていた棍棒よりは上等なものなんだと思うが、そもそも俺は棍棒なんざ使わねぇからなぁ」
正直棍棒の良し悪しなんざわからん。
「まぁ武器として売れるかもしれねぇし、なんなら薪にでもすりゃあいいか」
アイテムボックスに空きがないならまだしも、余裕があるからな。とりあえず持っておこう。
アイテムは以上だな。最後はもちろんアレを確認するぜ
あれ。即ちステータス。
「ステータス野郎。オープンだ」
―――
名前 リョウ
レベル 3
BP 342
―――
「ほほう。なるほどな」
まず端数の42。こいつは元々あった端数の9に、三匹のBPの10%である15と10と8を合計した33を足した結果だろうな。
少なくとも今の段階ではレベルキャップ的な修正はないってことだ。次回以降に期待ができるぜ。
で、残りの300は、前回にプラス100だな。
「さて、こいつが問題だ」
レベルが上がるごとに100プラスの可能性が大きくなったな。この調子だとBP10000の豚野郎を倒すためには100レべルが必要ってことになっちまう。
いや、一匹倒すごとにBPがプラスされる仕様が永続するのであればその限りではないんだが、それに期待するのもな。
「まぁいい」
少なくともステータスは上がったんだ。今のままでも200前後の奴くらいなら倒せるし、一番数が多い100前後のやつなら瞬殺できるだろう。
「ふん。色とりどりの肉はなかったが胸わくわくの夢はGISSIRだったってことだな」
間違いなく強くなっている。だがこの森にはまだまだ俺なんかよりも強いやつらが一杯いるからな。
「まずはBP500……じゃねぇ。1000を目指すぜ!」
500だとすぐ達成しちまうからな。
理想はたかくはてしなく。わからんちんの豚野郎をとっちめて俺様の血肉にしてやるぜー!
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