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16.5話。拠点の話

俺、10万字書くまで頑張るんだ

おう。俺だ。ベシータ様だ。


方針が決定したところで拠点についてさらっと説明しておこうと思う。


まず場所は俺が三回目に潰した豚野郎の巣だな。


場所的には深い意味はねぇ。単純に一回目の集落は更地にしちまったし、二回目の場所も力加減を間違えちまって使い辛くなっちまったのが原因だ。


反省して建物を破壊しないように手加減したうえで制圧できたのが三回目の巣ってことだな。


建物は豚野郎が全体的に大きくて力が強い種族だからか、総じて石造りで頑丈にできていやがる。間取りは、大体4LDKって感じのところが多い。


真ん中にリビングっぽいのがあって、それぞれの部屋と食料の保管庫がある感じだ。


村長っぽいのが住んでいた建物はもっと広いと思うんだが、元々俺一人で使う予定だったし、中にいる連中を一匹一匹探して倒していくのが面倒だったんで、中に住んでいた村長っぽいのごと破壊してしまった。


とにかく、俺が住んでいる家の間取りは4LDKっぽい感じってことだ。


向こうの豚が綺麗好きで知られているように豚野郎もそれなりに綺麗好きだったらしく、それぞれの集落にはちゃんとした水場が存在している。


感じとしてはいくつかの家が共同で使う井戸って感じのと、でかい家の奴が専用で使う泉って感じだな。


給水と排水がどうなっているのかは不明だが、地下水路でもあるんじゃねぇかと思っている。尤も、ここが俺が推測したようにダンジョンだとしたらそんなこと考えても意味はねぇんだがな。


さすがに風呂はなかったが、水に気を混ぜて温めることは可能だったから、今では簡易的な風呂にも入れるようになった。


無いのは調理場だろうか。豚野郎が料理するわけねぇから調理場なんて無いのが普通だし、俺も特に気にしてなかったんで今までは放置してたんだよな。


だがメイドと令嬢の事を考えればあった方が良いのも事実だ。


「その辺の廃材を纏めて窯っぽくしておけばいいか? あの二人も豚野郎の巣にそんなの期待してねぇだろうし、それで十分だろう」


元々逃亡生活だったんだし、欲しいなら自分で作ればいいだけの話だ。


久しぶりにまともな料理を食いたい気持ちもあるから、向こうから手伝えって言われたら手伝うのもやぶさかではねぇけどな。


寝台はなかったが藁は大量にあったんで、その辺の木を切り倒して真四角にして、中に凹みを作り、凹んだところに藁をぶち込んで、それなりに綺麗にした布をシーツ代わりにしているし、掛け布団もねぇから気で滅菌消毒っぽい処理をした熊の皮や狼の皮で代用している。


あの二人にも同じものを用意するつもりだが、日本人的な価値観を意識して考えてみるとワイルドすぎると思わなくもない。


「まぁ不満がありそうなら羽毛や狼の毛を集めてやってもいいが……今のところはそこまではしなくてもいいだろ」


何でもかんでも『こんなこともあろうかと、全部用意しておきました!』なんて言ってたらなんか俺が貢いでいるみたいだし、なにより気持ち悪いからな。


「こんなこともあろうかと。は言ってみたいセリフの上位にあるんだが、さすがに今回は自重するぜ」


空気は大事。古事記にもそう書いてある。


住環境はこんなところだな。


食事は今のところ生肉か果物か生野菜しか食っていないんだが、メイドがきた以上簡単な調理をしてもらうのもいいかもしれない。


つまり食材は俺が出し、調味料は向こうが出し、調理も向こうにさせるって感じだ。


向こうに負担をかけすぎているかもしれんが、その辺は交渉で何とかしようと思う。


で、最後は衣類。これに関しては俺にはどうしようもない。せめて馬車の中に着替えくらい用意してあると思いたいところだ。


「ない場合は……布があるからそれを適当に加工させればいい、か?」


メイドならできそうな気がするが、あいつってメイドというよりは護衛騎士とか侍女って感じがするんだよな。俺が彼女をメイドって呼んでいるのは、あくまで彼女がメイド服を着ていたからだし。


「もしあの恰好が暗器を隠すための擬態だとしたらって考えれば、彼女がメイドであるとは限らんのよな」


実際武器は短剣だったし、服の中に暗器も仕込んでいたみたいだからな。


そうなると彼女は侍女、もしくは護衛の騎士ってところか?


騎士の場合はどうしようもないな。家事は諦めるしかないかもしれん。


侍女だった場合は……微妙だな。作品にもよるが、侍女とメイドは違うパターンが多い。


侍女が偉い人の付き人としてスケジュールやら雇い主の周囲の環境を整備する人で、メイドの上司。というか取り纏め役。メイドは雇い主の屋敷の中の作業、つまりは家事やらなにやらをやる人ってパターンが多いな。


一応全部それなりにできるのが侍女の嗜みってパターンもあるが、あれだけ戦闘ができるやつが家事にまで精通している可能性は低いと思うんだよ。


「この世界の常識はわからんが、侍女だった場合でも裁縫ができない可能性は高いかもしれん。……だからなんだって話だけどな」


不満があれば自分でやればいいのだ。


俺? 俺は自前のタイツとシャツが青と黒でそれぞれ2着づつあるから、洗濯している間の着替えもちゃんとあるので、私服がないってこと以外は特に問題はない。と、さっきまでは思っていたんだよなぁ。


「いや、私服が無いのに問題がねぇわけねぇだろ」


世の中には私服を持たない人もいるかもしれんが、少なくとも現代日本に生きる社会人、それも俺の周りにいた奴らの中に『私服を持ってないっす』なんて言うやつはいなかったぞ。


「カトタはおしゃれだし、高本の野郎だって家は汚ねぇが服はあった。フルーザの野郎だって普段は全く別の格好してエアコン修理しているしな」


ビッコロ? あいつは緑だし、ふんどし一丁でも大丈夫だからノーカン。


「とにかく大事なのはメリハリだ。森にいる今でこそずっと戦闘服を着ていても文句は言われねぇだろうが、町中で常時この格好をしているのがまずいってことくらいはわかるぞ」


もしかしたら騎士とか兵士であれば鎧とか槍を完全装備をしてうろつき回っていても問題ない世界なのかもしれんが、そうでもない奴が鎧とかを完全装備してうろいてる世界ってのが想像できん。


「かといってこの鎧を脱いだら……ただの青いおっさんになっちまうからな」


あの日、あの時、あの場所で。そう。深夜に放送されているお笑い十種競技で野郎に受けた屈辱は今も覚えているぞ。


「渡邊の野郎がぁ」


相方と一緒に最年長で有名な賞レースに勝っただけならまだ祝福もできたかもしれんが、俺たちの戦いに乱入した挙句、俺様の鎧まで奪いやがって。

あの野郎。苦労してきたのはてめぇだけじゃねぇんだぞ。

コンビで売れてる奴がピンの戦場に来るんじゃねぇよ。

椅子に座るときに鎧を着るな。何気に似合っていたのもむかつく。


羨ましい。妬ましい。パルパルパル……はっ!


「危ねぇ危ねぇ。憎しみの波動に飲まれるところだったぜ」


あれもそれも、今となっては昔の話だ。今は関係ねぇ。


それに今の俺様は騎士どもが着ていた服をGETしているからな。

あれを洗って普段使い用の服にするなり、シャツの上から着るなりすれば問題あるまい。


尤も、あれだって一応騎士だった奴らが着ていた服だから、もしかしたら高級な素材ってことで目立っちまう可能性はあるんだが、それはそれで舐められないからヨシ!


その間、鎧はアイテムボックスだな。


というかそもそもの疑問なんだが……今の俺って鎧より固くないか? 実際後半戦だと鎧なんて誰も着ていないよな。


「だが、キニュー特戦隊の連中やグーラー機甲戦隊の連中も着ていたからな。もしかしたら20万くらいまでは着るべきなのかもしれん。うん。そうに違いない」


深く考えると不幸な目に遭いそうだからこれ以上はやめておこう。

必要なんだ、鎧は。

それにこれは白い部屋の野郎に貰った特注品だしな。

アイテムボックスの肥やしにしていたら、いきなり『それを着ないなんてとんでもない』とか言われそうだし。しばらくは着ることにするぜ。


で、衣食住の問題に一区切りがついたのはいいが、確認すれば確認するほど穴が多くて困るぜ。


特に自分のこととかな。


「はぁ。今まで着替えのことすら考えていなかったってなんだよ。肉は生肉だし。どんだけザイヤ人の思考に染まっていたのやら。まぁそれを捨てる気はないんだが、それでも距離感ってのは重要だからな。何事も近づき過ぎるのはよろしくない。グレーを心掛けるんだ……って。ふむ。どうやら起きたようだな」


自分自身の抱えた問題に自虐と反省をしつつ、先ほど作ったばかりの令嬢とメイド用の寝台を寝床に運んでいると、馬車の中から何やら話し合っている声が聞こえてきた。


「何を話しているかは知らんが、しばらくは付き合ってもらうぞ」


向こうは向こうのために動こうとするのだろうが、そうはいかん。

最低でもかけた労力の分くらいは俺のために役に立ってもらわねぇとな。



拠点の話といいつつ小ネタを差し挟みたいがためだけに書いたら3000文字を超えてしまった。


反省はしている。だが後悔はしていない。


―――


閲覧ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] メイド服が在るってことは19c末辺り? 魔法やらスキルやらステータスやら辺りのせいで科学文明はあまり発展せず鎧やら剣やらで武装してたんかね? いや、ただのナーロッパか(自己完結
[一言] そういえば私服ありませんでしたねw ビッコロは緑だからどうでもいい理論ヒドイww
[一言] 面白かったです。 金髪野郎にはいつなるのですか?
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