詩 そうして猫は旅立った
「うちの猫がいなくなった」
「飼っていた猫が帰ってこない」
そうして猫は旅立った
さよならの気配も残さず旅立った
一人で勝手に旅立った
さよならも言わせずに旅立った
ずるいんだとつぶやいたけれど
聞くものは誰もいない
死期を悟らせたくないからと
それは本当に優しさなの?
弱った姿を見せたくないと
それは本当にこちらのためなの?
全部の全部が 憶測で
推測ばかりの こちらの気持ち
(本当はどう思っているのかなんて)
(きっと全部が外れているのに)
「ストーリー」
なんで?
最後まで傍にいたかったよ……。