第八殺
一応クリアしたクエストを報告してから、錬金スキルを試そうと、生産スキルの道具が置いてある部屋をレンタルすることができる、生産ギルドに来た。受け付けは生産スキルごとに分かれていて、錬金のほかにも鍛冶や調薬、裁縫、料理などの受付がある。
「1部屋借りたい」
「いらっしゃいませ。お時間はどれくらいでしょうか?」
「1時間ほど」
「かしこまりました。では部屋番号39番の部屋に行ってください。お値段は500Gとなります」
カラオケの受付みたいだな。なんて思いつつ、500Gを支払う。受け付けの人から部屋の鍵を受け取って、案内看板を見た。
「えっと……39番は……ここか」
39番の部屋の鍵を開けて、中に入った。中には錬金で使うであろう道具がたくさん並んでいた。入って真っ先に目に入ったのは少し大きい天秤だろうか?どれどれ……
変換の天秤:素材を上位、または下位の素材に変換できる。左の皿に一定数素材を置くと右の皿に上位変換した素材ができる。逆に右の皿に素材を置くと下位変換した素材ができる。
なるほど。とりあえずこれだな。今の俺の錬金スキルはLv1なので使えるのは変換のみだからな。とりあえず、インベントリ内で大量に余っている、[スライムジェル]を上位変換してみるか。[スライムジェル]を取り出して、左の天秤に入れていく。天秤は傾き、10個入れたところで右の皿には何もないのに天秤が釣り合った。なるほど、釣り合えば変換可能なのか。
「《変換》」
スキルを口にすると天秤が光った。正確に言えば天秤ではなく天秤の右の皿が光った。
上質なスライムジェル:通常種のスライムに比べ、魔力純度の高いスライムのスライムジェル。味付けをするとゼリーのようになっておいしい
とりあえず成功ということだろう。というかこれ食材なのか。では次に行こう。次は、またまた余っている[スライムの核]。今度は5個で天秤が釣り合った。レア度によって変わるのだろうか?
「《変換》」
スライムの大核:でかいスライムの核
まんまだ。ただのでかいスライムの核。しかも使い道がわからない。まだ上位変換できそうだし、スライムの核はまだいっぱいあるから試してみるか。
というわけでスライムの大核を5個用意しました。レッツサイエンス。
『《錬金》のレベルが上がりました』
『《粉塵化》を習得しました』
スライムの大核を5個作ったらレベルが上がった。レベル2
「《変換》」
スライムの核結晶:スライムの核が長い年月をかけて結晶化したもの。《粉塵化》することで、調薬の素材になる。金属と《合成》することで、微弱な水属性が付く
これまたタイミングが良かったな。しかし、《合成》……次のレベルで習得できるかな。《粉塵化》を使うには……これか。
粉塵化のすり鉢:素材を入れ、スキルを発動させて混ぜれば粉になる。粉になった素材は基本的に調薬に使われる
うーん。俺はあんまり使うことなさそうだな。調薬はしないし。ポーションは必要ないし。とりあえずやってみるけど、変換でスキルレベルを上げたい。
「《粉塵化》」
入れた核結晶をすり鉢で慎重に混ぜていった。特に何事もなく普通に粉になった。
スライムの核結晶(粉塵):粉になったスライムの結晶核。薬に混ぜることで大幅に効果を上げることができる。
やっぱり俺には必要のないものだ。まあいつ必要になるかもわからないので一応持っておこう。
そのまま変換を色々試して、スキルレベルが3になった。スキルレベル3で手に入ったのは予想通り《合成》だった。そして合成の道具は……このでかい壺だな。
合成の大壺:先に入れた素材にあとから入れた素材の性質や属性を組み合わせることができる。
これはなかなか面白そうなスキルだと思う。早速試していこう。素材はエリアボスだった狼の爪を先に入れて、次はスライムジェルを下位変換することで入手した[腐敗したスライムジェル]を入れる。
腐敗したスライムジェル:消費期限が切れて腐ったスライムジェル。食べれば軽い毒状態になる
まさかの毒持ちの素材である。これを狼の爪と合成すれば爪が毒持ちになるのではないだろうか?合成はかなり汎用性が高そうで面白い。
「《合成》」
水が入った壺に素材を入れると水が紫のいかにも毒々しい色になって、近くにあった大きなヘラで混ぜていくと水が透明になった。これで完了だろう。できた素材はこれ。
血狼の毒爪:血狼の爪に毒が合成されてできた爪。この爪で作った武器には毒属性が付く
これは使えそうだ。状態異常系の属性を好きにつけられるのはすごく強い。ただこの仮面の強化に関しては別なのだろう。少し試してみよう。仮面を外して壺の中に入れる。そして何を入れようかと素材のページを見ると、素材の横にその素材が持っているEXPが表示されていた。最初は100必要だが、スライム関係はどれも1。血狼の素材も5とかだ。かなりレア度の高い素材でないとレベルアップできないかもしれない。それかスライム素材を100個集めてぶち込むか。意外といいかもしれない。ちなみに、一番EXPが多かったのはステルスバニーの毛皮の20だった。さすがレアモンスター。経験値もそこそこ多かったが、素材面でも経験値が優秀だとは。他にもいろいろ試したいがそろそろ1時間だからここから出ないとな。さすがにトゥルムと合流しないといけないから延長もできないし。仕方ないが今日はこのくらいにしておこう。もうデスペナも解けたし、早くスキルを試したい。あ、そういえばステータス振ってなかったな。
Name: シャロード
Lv : 23
HP: 100
MP: 20
STR: 650(+32.5)
VIT: 0
INT: 0
DEF: 0(+50)
DEX: 50
AGI: 1000
LUK: 100
【スキル】(所持スキルポイント:44)
《潜伏Lv:7》《鷹の目Lv:7》《呪いLv:5》《首狩りLv:5》《奇襲Lv:4》《錬金Lv:3》《月狼流:溜光貫手Lv:1》《月狼流:朧月Lv:1》《回避職人Lv:1》《月下の輝きLv:-》《格上上等Lv:-》《無傷Lv:-》《弱点感知Lv:-》
【武器熟練度】
《片手剣熟練度:5》《短剣熟練度:5》《弓熟練度:3》
【称号】
《首狩る者》《完全勝利》《月下狼の宿敵》《月下の祝福》《無謀な挑戦》《紙一重の回避職人》
今回からAGIをメインに上げていこうと思う。STRはかなり十分な数値があるし、スキルや武器でもどうにでもなる。だからほとんどのポイントをAGIに振った。
さて、生産ギルドから出て、トゥルムに連絡しようとウィンドウを開いた瞬間、目の前にでかでかと『フレンドSOS:発信者トゥルム』と表示された。
SOS?一体何があったのだろうか?
読んでくれてありがとう