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第五殺

大学の受験のあれこれでしばらく投稿できませんでしたが、久しぶりの投稿です!

『エリアボス《ブラッドウルフ》を倒しました』


『プレイヤーネームシャロードのレベルが上がりました』


『短剣熟練度が3に上がりました』


『《首狩り》のレベルが上がりました』


『【称号】《完全勝利》を獲得しました』


『【スキル】《無傷(フルゲージ)》を獲得しました』


『[血狼の爪]を入手しました』


『[血狼の毛皮]を入手しました』




 狼が消えて目の前にボスを倒したというウィンドウが出てくる。なになに……新しく取得した称号とスキルはいい感じだ。




完全勝利:自分よりもレベルが高いボスを相手に一切ダメージを受けることなく倒す




無傷:自分のHPが満タン時、STRが+5%


習得条件:称号《完全勝利》の獲得




 俺がウィンドウを眺めているとトゥルムが手を振っているのが見えた。




「お疲れ様ー。人間の動きじゃなかったよー」




 ボス戦を終えた俺にトゥルムが声をかけてくる。まあ、人間の動きでなかったというのは誉め言葉として受け取っておこう。




「次はお前だぞ。作戦は立てれたか?」


「もちろん!負ける要素なんてないね」




 それはもう自信満々という表情で言ってきた。ならば期待してみているとしよう。


 俺は狼がいたエリアから離れていき、狼がリポップするのを待つ。狼は俺が一定距離を離れたところですぐにリポップした。ここからでは少しトゥルムの戦いを見づらいが《鷹の目》のレベル上げもできるのでいいだろう。




「始めるよー!ちゃんと見えてるー?」




 狼が湧いたのを確認してわざわざ俺に開始することを言ってきた。




「おう。しっかり見えてるから大丈夫だぞ」




 俺が返事をすればトゥルムは狼が敵対してくるエリアに入った。入ったと同時に足元に何か魔法を発動した。魔法を発動したのは分かったが何を発動させたかはわからない。なぜならまだその効果は出ていないから。


 そう思ったところで狼にも動きがあった。俺と戦った時にもしてきた突っ込み噛みつき攻撃。それに対してトゥルムはその場を動くことなく魔法を発動させた。自分に向かって(・・・・・・・)




「【ウィンドショット】」




発動したのは風の弾で当たった対象を大きくノックバックさせる魔法のようだ。俺が見たときは風を使う《緑魔法》はとっていなかったはずだが、まあ俺と別れた後にでも取ったのだろう。それよりもだ。ノックバックが強い攻撃が自分に当たった、そうなれば当然飛ばされるのはトゥルム自身だ。トゥルムは発動させた魔法の角度を調整して狼よりも高い位置を吹っ飛んで狼と交差するような形となった。トゥルムは空中で体勢を崩すことなく杖を狼に向けてまた魔法を発動させる。




「【ファイアボール】」




 当然、狼は噛みつき攻撃をするために若干とはいえ浮いている状態だ。そんな狼は何の抵抗もできないまま火の玉に当たる。そしてダメージをくらった狼はわずかに体勢を崩しながら着地することになる。もともとトゥルムが立っていた場所に。その瞬間、狼の足元に赤い魔法陣が出現し、爆ぜた。最初に発動させた魔法は地雷のような魔法だったのだろう。その魔法で狼は上に吹き飛ばされた。ダメージはさぞ大きかっただろう。レベルが上がってトゥルムのステータスはより凶悪な物となっているのだから。




「【ウィンドショット】」




 宙に打ち上げられた狼の真下にすぐに入ったトゥルムは自分を吹き飛ばした魔法をもう一度発動した。今度はしっかり真上にいる狼に向かって。まあ、つまりこれで何が起こるのかと言いますと……狼がまた真上に飛ばされるんですね。はい。分かります。ということは、だ。これは戦闘なんてものではなく、ただの作業となる。つまりは……ハメ状態になった。




◇ ◇ ◇




 あの後はただ可哀そうな狼が宙に舞っていただけだった。狼はトゥルムに触れるどころか地面につくことすらできなかった哀れな狼君だった。途中からトゥルムよりも狼を応援したくなったぞ。しかもトゥルムの誓いのスキルは結局使わなかったし。




「お疲れ様?さすがに嵌めるとは思わなかったが」




 作業を終えたトゥルムが俺のいるところ前来たので言った。さすがに俺の一戦を見ただけであの嵌めを思いつくとは思わなかった。




「最初の噛みつきが確定モーションっぽかったから行けるかと思ったら、本当にいけちゃった」




 かわいらしく舌を出して悪びれなく言うトゥルム。まあ、早くに突破できたので良しとするか。




「ほんとは最初の地雷の着地点に新しい地雷を設置しまくって最後に誓いのスキルを使うつもりだったんだけど、思いのほかさっきの嵌めがうまく行っちゃってさ」




 まあいい。それよりも今は次の街についたから早くクエストを受けたいところだ。


 二つ目の街[セカンダル]は見た目自体は、[ファーストリクス]とほとんど変わらない。しかし、一つだけ大きな違いがある。広場に大きな掲示板があるのだ。そこでクエストを受けられるのだろう。まあそれよりも先にこの掲示板の奥にある転移門をアクティブ状態にしないといけない。まあ、何か特別なことをするのではなく触るだけでいいみたいだが。




「ねえねえ、二人でさ同じクエスト別々で受けてどっちが先に達成するか勝負しようよ」




 掲示板の前に立って突拍子もなくトゥルムがそんな提案をしてきた。




「いいな。クエストを終わらせてこの広場に先に来た方の勝ちでどうだ?」


「いいね!それで行こ」




 パーティーを抜けてそれぞれ同じクエストを受けた。そして二人同時にフィールドに駆け出そうとして――




――全身の力が抜けて、走れなかった。




 何事かと思い、視界の端に見えるHPバーを見れば[空腹]と書かれている。




「確かに、ゲームを初めて何も食べてなかったな。先に腹ごしらえだな」


「そ、そうだね……。今は料理できるとは思えないからどこかお店に入ろ」




 近くにあった店に入って食事をとって、満腹度は満タンとなった。ちなみに味は現実の食べ物の味から四割ほど抜きとられたような味だった。




◇ ◇ ◇




 俺とトゥルムが受けたクエストはこのフィールドにいるレアモンスターである、[ステルスバニー]を三体討伐することだ。最初の一体は難なく見つけることができた。かなり苦労したが何とか二体目も討伐することができた。しかし問題は最後の一体だ。《鷹の目》を駆使しても全然見つからない。トゥルムはもう終わっているだろうか?いやあいつはこういう時の運はあまりないから多分終わっていないだろう。




「ったく、物欲センサー絶好調だな……」




 夜も近いので早く見つけてクエストを終わらせたい。夜になればフィールドのレベルが大幅に上がり、危険度が一気に増すらしい。このゲームは昼間六時間の夜が二時間というのを四回で二十四時間回っている。この二時間のうちにフィールドに出ればレベルが高くないとかなりきついものになる。なんといっても各フィールドにいるランダムエンカウントのボスモンスターは異常なまでに強い。出会う=死ともいわれるレベルだ。いまだにこのゲームで一体も倒されていないらしい。だから早くクエストを終わらせてしまいたい。すでに周りは暗くなりつつある。




「……ッ。やっと見つけた」




 このモンスターは見つけるのは難しいが強さ自体は非常に弱い。その割には経験値が多い。これをわざわざ探してレベリングしようとは思わないが。出会えたらラッキーくらいのモンスターだ。


 サクッと倒してしまい。クエストの達成を確認した。これで街に戻るだけだ。しかしまあこれは負けただろうな。さすがに俺もここまで時間がかかるとは思わなかった。




「ッ!?なんでこんなに今日はついてないんだろうな……!」




 街に戻るために走っている俺に横から奇襲してきたモンスターの攻撃を躱して少し距離を取った。俺の視線の先には[月下の人狼セイクヴォルグ]と表示されたランダムエンカのボスモンスター。そのレベルは――




――196だ。




 えっと……?勝てるわけなくね?

読んでくれてありがとう

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