第二十一章 雇われる側の事情
「・・・あれ?」
草を毟り続けて、数分後。気づけば私は、庭園の中央まで足を運んでいた。そして後ろを振り返ると、そこには取られた雑草が散乱している。
何か・・・ビニール袋みたいな袋で雑草を集められないかな・・・?
というかそもそもこの世界に『ビニール』なんてないじゃん!!
「おや?
雑草が・・・」
向こうの方で声がした、そこへ駆け寄ってみると、年老いたおじいさんが、唖然とした顔で散らかった雑草を見ていた。
片手には草刈り用のナイフ、もう片方の手にはスコップ、そしてだいぶ汚れている帽子を被った人は、まさに『庭師』のテンプレだ。
そこまで想像がついた私は、ハッとなってすぐ謝りに行った。勢いでやってしまったけど、後始末の事まで考えていなかった。
「すっ、すいません!!!
こんなに散らかしてしまって・・・」
「・・・・・いや・・・わしが言いたいのはそうじゃなくて・・・
お前さんがこれ、全部やってくれたのか?!」
「はい・・・つい熱中して・・・」
「ありがとう!! 本当に助かった!!」
「・・・へ?」
どうやらその庭師さんは、最近腰を痛めてしまったらしく、しゃがんだり立ち上がったりする草むしり作業を、ついつい億劫にしていたそう。
ただでさえ庭の管理は重労働なのに、痛めた腰を壊してしまったら、元も子もない。だからあえて、雑草には手をつけなかったんだとか。
その庭師さんは長年この中庭の手入れをしているらしく、なんと今の国王と女王陛下の結婚式にも参列した事があるんだとか。
その話を踏まえると、庭師さんが腰を痛めてしまった要因の一つが『老化』でも、何となく頷けてしまう。
きっと、私の想像以上に高齢なんだろうな。多分肉体労働で体を年中鍛えているから、そんなに老いた様には見えないんだ。
でも、どんなに見た目が若くても、体の中は徐々に衰えていくもの。
最近は別の庭師さんも募集しているそうだけど、それまでは何とか頑張っていたんだとか。




