第三章 国を治める一族
アンの家族にも それぞれのドラマがある
コンはそのドラマの 『新たな登場人物』になろうとしていた
アンの話によると、彼の母も、元々貴族でも王族でもなく、私と同じく一般『人』だったそう。しかもアンの母である王妃も、私と同じく片田舎出身。その馴れ初めも、割と私に似ている箇所があった。
王妃様は王室に嫁ぐ前、国1番の薬屋の娘でもあったらしい。
元々アンの父は、幼い頃から大病を患っていた為、国中の医師や薬屋が王都に招集されたんだとか。そこで国王と王妃は出会ったのだ。
王妃は献身的に国王の看病に勤しみ、その努力の甲斐あって、国王の大病は完治する。そこから二人の関係は親密になり、結婚。
そして、アンと『双子の弟』が生まれたんだとか。
「へぇー・・・
アンさんにも兄弟がいたんだ。双子っていうのもまた・・・」
「まぁ姿形は似ているが、アイツは俺とは正反対だからな。
俺は本やら文献には興味がないんだが、弟は年中王室の図書室に入り浸っている。
何かと気難しい性格でな
「一族の代表として、厳かな振る舞いを」だとか
「帝王学に基づいた意見なのですが・・・」だとか」
確かに・・・アンとは正反対だな。私と兄は、割と似ている箇所があったけど、アンさんの場合はそうでもなさそう。
兄弟姉妹の性格が違うのは当たり前の事だとは思うけど、『双子』にもそういった違いが出るんだ。
姿形が似ている・・・という事は、『一卵性双生児』なのかな?
そもそもこの世界に『一卵性』とか『二卵性』の概念なんてあるのかな?
「・・・もしかしたらコンにも何だかんだ文句を言ってくるかもしれないが、あまり重く受け止
めないでくれ。
口煩い性格ではあるが、根はいい奴なんだ。君を知れば、きっと心を開いてくれる筈だ。」
アンは笑いながら、弟の事を語っていた。その顔から察すると、決して悪い人ではない事が明確に分かる。
私と兄は異性同士だから、ある程度は距離があるけど、同性の兄弟だと、やっぱり自然と距離が近くなるのかもしれない。
・・・でも私と兄も、そこまで距離があるわけでもない。
元々里には歳が近い子供がそれほど多いわけではなかったから、自然と一緒にいる事が多かった。
今里に住んでいる子供達は4人だけど、私達が子供だった時代は、私達2人を含めると3人しかいなかった。