第十九章 2人の受難は まだまだ続く
「では、私はこれで。」
「ヴァル、もう行くのか?」
「はい、『ドラゴンの亡骸』の調査がまだ終わっておりませんので。」
そう言って、ヴァルは足早に食事の間から出て行ってしまう。
でも何故か、その後ろ姿を見た陛下と女王様、そしてアンは、クスクスと笑っていた。
「アン、貴女まだ分からないでしょうけど、『彼』も2人を気に入っているわよ。」
「・・・そうなんですか?」
「・・・・・」
疑う私とウルシ君。だってさっきから、全然言葉を交わしていない上に、私達と一緒にいても、何だか楽しくなさそうだった・・・
でも、家族である三人には、ヴァンの感情が既に分かっていた。アン曰く、ヴァルは表情や言動ではなく、『態度』を見れば心境が分かるんだとか。
なんか・・・『動物』みたいだな。そんな事言うと怒られちゃうけど。
「ヴァルはな、食事中いつもテーブルの上しか見ない。だがそんなヴァルが、時折君達の方を向いてい
た。」
「そうね、何度か貴女達に話しかけようとはしていたわ。」
「コンとウルシはやっぱり凄いな!!
あんな気難しい弟に興味を持たせるなんて・・・!!」
陛下も女王様もアンも、嬉しそうに語っている。
その光景を見て、私はちょっと安心した。ヴァルもしっかり、愛されてるんだな・・・って。
アンも言っていたけど、まずマナーとか礼儀作法を覚えるよりも先に、ヴァルとの信頼を得なくちゃ。
『良好』か『不調』かは
時間をかけないと分からない
今はただ 走り続けるしかない




