第二章 休息の合間に
王都へは 徒歩で1週間はかかる
合間に立ち寄った宿に立ち寄りながら 情報を提供してもらう
王都へ向かう途中、町で少し休憩を取る事にした私達一行。丁度お昼ご飯の時間でもあったから、宿のテラスで一旦休憩。
やっぱり王都に近ければ近い程、物資も資源も潤うものなんだなぁ。初めてこの町に来たけど、既に人の多さに酔いそうになる私。
アンはさすがに此処で顔を晒すわけにはいかないのか、フードを被って顔を隠す。
この町は貿易路に跨っているらしく、街にはいかにも金持ちな見た目をしている商人達も多い。確かに、この国を拠点にしている商人なら、アンの顔を知っている人が今町にいても不思議ではない。
こんな場所で大騒ぎになったら、それこそ私の心が折れる。アンはなるべくコソコソしながら、昼食のサンドイッチを口に運んでいる。
実は私、レストランなんて生まれて初めて見たから、メニューを見るだけで心が躍り狂ってしまいそうになった。
この宿は、宿泊所兼レストランとしても営業しているみたい。兄も王都に向かった際、此処で一夜を過ごしたそう。
兄とバカラさん、そしてアンは行きも此処に泊まったんだとか。宿屋の店主には『口止め料』もしっかり渡していた。
その時だけ、バカラさんの顔が少し怖く見えたのは・・・気のせいかしら??
「アンさん、フシミの里に到着するまで、どれくらいかかったんですか?」
「大体・・・一週間くらいかな?
そこまで大きなトラブルもなかったから、割とのんびりしていた気がするな。
久しぶりに『野宿』もできたから、俺としては楽しい旅路だったぞ。」
「・・・『野宿』・・・平気なんですね?」
「遠征でも基本野宿だぞ。」
・・・あぁ、そうか。
国王になる為には、歴史や経済学、帝王学を勉強するだけではなく、兵士の『指揮官』としての実力も必要なんだ・・・
でも話を聞く限りだと、アンは割と遠征を楽しんでいる様子。
私は野宿を経験した事がないから、翌日か明後日辺りが、私の初野宿になるのか。
兄も『兵士』としての資格を取得する為に遠征を実践しているみたいだから、経験者が3人もいるのはすごく心強い。
ただ、問題なのはウルシ君。彼も一応、何日も山を彷徨った経験があるけど、その経験は彼にとって、『忌まわしむべき記憶』でもある。
私達が側にいるけれど、ウルシ君には目を離さないようにしないと。
彼は決して自分から「辛い」「悲しい」とは口にしない。いつも「自分が我慢する側に回ればいい」と思っている。
・・・まるで前世の私だな。