第十七章 コンは ただ困惑していた
陛下と話す兄さん、何だか私の時よりもぎこちない気がする。気持ちはわかるよ、兄にとっては殿下は『元締め』みたいな存在だし。
ただ、いつもは賑やかな兄が、こんなに小さく縮こまる姿は、意外ではあるけど、ちょっと複雑。
なんか、兄の『裏の顔』を見ているような気分。・・・でも、これは兄が、『大人』になっている証拠なのかもしれない。
目上の人に対しては、とことん姿勢を低くして、角を立てずに慎重な言い回しを使う。これこそまさに『世渡り』だよね。
兄がいつの間にそんな技術を習得したのか、誰から教わったのか気になるけど、きっと兄も兄なりに、色々頑張って勉強したんだな。
・・・でも、せめて私の前だけでは、いつもの朗らかで明るい兄を見せてほしいな。それって・・・『我儘』??
・・・それにしても、さっきから私・ウルシ君・バカラさん・兄・アン・陛下・女王陛下ばかり話しているけど、アンの弟さ、さっきから全然口を聞かない・・・というか。
さっきからずっとノートに何かをガリガリと書き込んでいる様子で、何を書いているのか見てみたいけど、座っている位置的に見えない。
・・・もしかして、私達の会話全てを記録しているのかな・・・?
・・・でも何の為に・・・??
「・・・それにしても、人里離れた場所に、君達人獣が住う集落があるなんて、全く知らなかった。
初めてその話を聞いた時は、少し不安だったけれど、君達を見ていたら、不安だった自分が小物に見え
てしまって、申し訳ない気持ちまで湧き上がるよ。」




