ギンは ただ困惑していた
「コン!! 凄く綺麗だよ!!
今までに見た君の中で、1番美しい!!
ウルシ君も、いつもより男前になってる気がする!!」
「よかったね、ウルシ君!」
「・・・うんっ!」
さすが兵士長、貴族や王族の娘とよく関わっている事もあって、『褒め方』を完全に分かってらっしゃる。
まだ王都に来る前は、よく里で妹が頑張る度に褒めていた筈なのに、1年で褒めるのが難しくなってしまった。
素直に「綺麗だよ!!」と言ってあげたい気持ちがあるのに、何故か言葉にして伝えられない。別に嫉妬しているわけでもなければ、意地悪をしたいわけでもないのに・・・
「ギン、『本格的な女性』になったコンを見て、寂しくなったか?」
・・・・・あぁ、そうか。
今の俺は、まさにその心境なんだ。殿下は何故俺の心境が分かってしまったのか、その心境の複雑さにも、殿下は気づいていた。
自覚がないのに他者から諭されるなんて、若干だけど悔しい気もする。ただ、殿下が答えをキッパリ出してくれたおかげで、ようやくスッキリした。
ウルシはまだ顔に幼さが残っているけど、15歳になったコンは、不思議と『母さん』に似ている気が・・・
・・・それもそうか、俺ももう18。もっと言えば、今年で19。
もうコンが、大人の階段を上り始めてもおかしくない。小さい頃と違って、年の経過が鈍くなっているのが一因だな。
そう思うと、もう俺の後ろをテコテコ歩いていたコンは、もういなんだな。その上、殿下の王妃になって、子供を産んで、『母親』になって・・・
「・・・兄さんさっきから何で切ない目をして私を見てるの?」
「・・・いや、『兄』として寂しいな・・・ってさ。」
「それを言うなら「『親』として」ね。しかもそのセリフは兄さんが言うべきではないよ。
・・・さっきから本当に大丈夫なの?」
コンや殿下、陛下まで俺を笑っているけど、本心ちょっと辛いものがある。
決意を胸にして王都まで来たにも関わらず、何故か今頃損をした気分になってしまった。
俺が知らない間に、こうしてコンが、『大人の女性』へとどんどん変わっていくのを考えると、月日の流れがどれほど恐ろしいのかを、目前に晒された。
大人になりつつあるコンを
『妹』として見ればいいのか
それとも・・・




