第一章 道草
「うーん・・・
仕事・・・か。やっぱり、一族の血を引く『子供』を産む事も仕事には入るかもしれないが・・・
私もコレと言って決まった仕事があるわけではない。ただ、国の方針の最終決定をするのが、私の役目
だ。
だが母上は、毎日王都を回っては、住民達の意見や話を聞いていたな。」
・・・あっ
そうだ、すっかり聞き忘れていた。アンの『家族』について、私はまだ何にも聞いていなかったのだ。
さすがに世間知らずとはいえ、どんな人なのか知っておかないと、門前払いされそう・・・
・・・でもどうしよう、アンが『殿下』・・・という事は、彼の父親って『国王』っていう事でしょ?!
今更だけど、私国王様に何を言えばいいのかさっぱり分からない・・・!!
「突然押しかけて申し訳ありません」
「この度は本当に申し訳ありません」
「こんな私で申し訳ありません」
・・・って、さっきから何で謝罪文しか出てこないの?!
いや私は悪くないんだけど・・・
「これからよろしくお願いします!」・・・とか、
「色々と至らないところはありますが、その都度教えて下されたら幸いです!」・・・とか?
これじゃあ会社の面接じゃんか!!
「結婚の挨拶なんて
前世でも経験なかったのに どうしろと・・・」