第九章 入門手続き終了
「・・・それで、まだ入門の手続きって終わらないんですか?」
「ごめんな、ウルシ。俺もこの王都に入るまで、相当時間を食ってたんだ。
手続き途中でも入れたのがラッキーなくらいだ。」
兄は、疲れの色を隠せないウルシ君を、一旦馬車の中に入れた。
私はそこまで疲れてはいないけど、ウルシ君は多くの人々からの猛攻を受けて、さすがに参っている。
やっぱり、私や兄、そしてウルシ君が、国の目に入らない、山の奥深くで生活していた事が、手続きを難航させている原因でもあるんだとか。
ただ、兄の時よりもスムーズであると、本人が話していた。
ただ、ウルシ君と私たちの関係性がちょっと複雑な事もあって、ちょっと手間取っているんだとか。
確かに、私と兄は血が繋がっているけど、ウルシ君は繋がっていなくとも、家族の一員だ。
ウジミヤの一件もまだはっきりとした解決にはなっていないらしく、それもまた、私達の入門手続きを難航させている要因の一つだった。
・・・ある意味最悪のタイミングできてしまったのかもしれない。でも、ウジミヤの一件については、時間が解決してくれるとも考えづらい。
だって、兄ならともかく、数多のモンスターと対峙してきたバカラさんですらも首をかしげるレベルだもん。
「・・・お待たせしました、手続きが無事終了しましたので・・・」
「よし、じゃあ早速城に向かおう。」
アンは私を馬車の中へ入れるように促したけど、私は歩きながらお城へ向かう事に。
それにしても、道って舗装されているだけで、こんなにも歩きやすくなるものなんだ。
前世のコンクリートとも少し違う、レンガが敷き詰められている道は、歩いているだけでも面白い。
何故ならどのレンガも多種多様だから、まるでパズルの上を歩いている感覚だった。でも油断していると、細い溝にはまって転んでしまいそう。
舗装された道を歩む毎に、私の足音がペチペチと音を立てる。楽しげに歩き回る私を見た三人は、笑みを浮かべていた。
初めて見る石造の家々と、窓枠に嵌め込まれた窓ガラスは、エキゾチックな雰囲気を醸し出している。
前世の世界でも、煉瓦造りの家を目にした事は多かったけど、この・・・何というか、『しっかり作られていない感』が、また味わい深い。
まるで、中世に作られた住宅街を眺めている気分だった。行ったことはないし、テレビで見ただけだから、詳しくは知らないけど。
散っていった野次馬達は、家の中から私を眺め、手を振ってくれる人もいた。私は全員に手を振りながら、馬車の横を歩いていた。
そして、いつの間にか兄が姿を消していた。バカラさんの話によると、ドラゴンの残骸を兵舎へ押し込めに行ったんだとか。
いつか兄とバカラさんが寝泊まりしている兵舎も覗いて見たいな。
やっぱり、2人だけではなく沢山の兵士が寝泊まりしているから、『マンション』とか『アパート』みたいな構造なのかな・・・?
城までの道のりですら
コンにとっては大冒険
弾む心と足取りは 躊躇する様子を見せない




