第一章 道草
王都までの道のりを楽しむのは
殿下と 彼が先日プロポーズをした女の子 コン
そして コンの兄 ギン
コンに助けられた一人の人間 バカラ
コンに救われた一人の人獣 ウルシ
この4人の珍道中は まだまだ続きそうであった
「殿下・・・早く王都へ到着しなければ・・・」
「いいじゃないか、どうせまた城から出られるのがいつになるのか分からないんだ、だったら今遊んでお
いた方が得だろう。
・・・で、コン。この果実は食えるのか?」
「はい、食べられますよ。
それは〈スネークアイ〉という名前で、ちょっと酸っぱいけどほのかに甘みがあるんです。」
殿下を急かすわりに、バカラさんも麓の散策を楽しんでいる様子。
バカラさん、よほどスネークアイを気に入ったのか、いくつかポケットの中に入れている。
しっかり者のバカラさんの事だから忘れないとは思うけど、忘れたままポケットを潰したりなんてしたら・・・
アンはスネークアイの酸味が口内を刺激しているのか、何とも言えない表情をしている。その表情に、つい笑いが込み上げてしまう。
でも里に住んでいた私や兄にとって、このスネークアイは歴とした『おやつ』だ。砂糖も食品添加物も入っていないから、健康にも良い。
だからんおかもしれない、山の幸を色々と食べている私だけど、体重が劇的に増えた事は一度もない。
食べた分を山で駆け回って消費している事も一因かもしれないけど、やっぱり天然物の恵は、自然と体の中に消えて、真っ直ぐな栄養になる。
前世の世界では、ダイエットやトレーニングをするとなると、かなりお金と労力を必要とする上に、分からない薬剤やサプリメンを体に入れるダイエット法なんかもある。
でも、その効果が本当に現れるのかは、正直微妙なところ。
クラスメイトの中にもサプリダイエットをした生徒はいたけど、正直その効き目は分からなかった。
サプリダイエットを実行したクラスメイトの友達集団は「痩せてるー!!」とか「スッキリしたね!!」とか言って褒めちぎっていたけど、実際はそんな事全然思ってないのは、目を見ればすぐに分かる。