第七章 余韻が残る中で 後始末
その時私は、ハッと気がついた。自分の腕を確認すると、既に〈MP〉はMAXまで回復している。
〈ノリト〉を連発で発動した経験はないけど、この調子だと、今日の出発は厳しい。
だから今日丸々1日を、消費した〈MP〉回復に充てても何の問題もない筈。
せっかく〈MP〉をMAXまで回復させてもらってすぐに消費するのは気が引けるけど、宿屋の主人にとっても、ドラゴンの脅威が消えた後の稼ぎ時を、無駄にはしてほしくない。
私は一応、側に居るウルシ君とアンに話をしておく。「もし私が倒れたら、部屋に連れて行ってほしい」・・・と。
その言葉を聞いた2人は、首を縦に振ってくれた。私は自分の両手を握り締め、凝りをほぐしながら、宿屋の主人の腰付近に手をかざす。
宿屋の主人は骨折した腰部が痛むのか、私の行為を怪しむ様子を見せない。・・・早く直してあげなくちゃ。
「空の主(龍)にも劣らぬ 威厳を誇りし神々よ
その偉大な慈悲を持って この者の砕けた軸を元に戻したまえ
荒ぶる空の主(龍)を成敗せし我に どうか力を
荒ぶる空の主(龍)から解放されたしこの町に 祝福を与えたまえ
〈救いの灯火〉(レリーフライツ)!!!」
私の手が光り出したと同時に、宿屋の主人の腰付近も光り出す。そして、痛みに悶える主人の唸り声が、段々と小さくなっていく。
その光景を見ていたウルシ君とアンは、息を呑んで見守ってくれている。
自分の腕を改めて確認すると、一度目にこの〈救いの灯火〉(レリーフライツ)を発動した時よりも、〈MP〉の消費が格段に少なくなっている事に気づいた。
やっぱり、一度発言したノリトは、〈MP〉の消費が小さくなるんだ。
もっと数をこなせば、〈MP〉の消費をもっと抑えられるのかもしれないけど、今回は骨折のみを治療する〈ノリト〉だから、消費が少ないだけなのかもしれない。




