第二十六章 一旦落ち着いて・・・
結局 トゥーソが落ち着きを取り戻したのは
コンが店に入ってから 十数分後
トゥーソは 気付けば自分が汗だらけになっている事に気付き
ようやく自分が何をしていたのかを理解した
「・・・落ち着いた?」
「・・・はい・・・すんません・・・」
トゥーソさんがようやく落ち着き始めた頃、ドアを開けて来たのは、太っている可愛らしいおじさん。
どうやら彼は、近くでレストランを経営しているシェフで、トゥーソさんとは古くからの知り合いだそう。
突然華道に来た馬車に、叫び声をあげるトゥーソさんに、思わず店から飛び出して来たんだそう。
・・・そして私が事情を説明すると、笑いを堪えながら一旦トゥーソさんの店を出て、また戻って来た頃には、バケットに入った美味しそうなクッキーを持っていた。
騒ぎを聞きつけたトゥーソさんのご両親が、店の奥からこっちを覗いていたから、失礼だとは思いつつ、私は店の奥に進み、二人にも挨拶した。
「・・・お嬢ちゃん、昨日の・・・?」
「はい。昨日トゥーソさんからローブを貰ったので、そのお礼を・・・
昨日、ちょっと私も色々と慌てていたので、馬車から降りた拍子に服がほつれてしまって、そ
れを見かねたトゥーソさんが・・・」
「あら・・・娘がそんな事を・・・」
「あのローブは、私にとって大切な宝物として、大切に保管したいと思います!
それで、そのお礼として・・・」
私はすかさず、手に持っていた小箱を二人に渡す。
トゥーソさんの父親は、怪しみながらも「明けてもよろしいかな?」と聞いてきたから、「どうぞどうぞ」と返す。
リボンを丁寧に解き、包み紙を丁寧に開き、ゆっくりと小箱を開けると、中にはクッション材に包まれている『懐中時計』が入っていた。
アンの話によると、この世界はまだ『小型の時計』がそこまで流通しておらず、今トゥーソさんの家にあるのも、私が泊まった部屋にある物と同じ、大きな振り子時計。
だから、小さくて持ち歩ける懐中時計は、貴族・王族・資産家・商人くらいしか持ち歩けない、貴重な品。




