9話 ここから
最近、じわじわブクマ伸びてきて嬉しい!
贅沢言うと、ブクマしてくれてる人は、ついでに星五もぽちっとお願い! 片手間もかからないよ!!
「お、おう。それは勿論だけど、大丈夫なのか? ……その……目……」
「……うん。確かに手術受けた直後は痛かったけど、今はそーでもないよ」
ごまかそうとしてる。
俯いて話す、昔からのユーリの癖だ。
「そーじゃなくて。大丈夫、なの? その、心、的に」
言いにくくて、ちょっととぎれとぎれになってしまった。
「……うん。もちろん最初に目を覚ました時はちょっとびっくりしたし、悲しくて涙も出たけどさ。言っても悪いことばっかじゃないんだよ、これも」
悪いことばかりじゃない?
「ど、どういう意味?」
「涙が、片方からしか出ないんだ」
そう言ったユーリは自分の左目に付いた黒い眼帯を撫で、何でもないことみたく笑った。
何も言えない。
おれは、笑えなかった。
一番つらいのはユーリだってこと、みんな知ってる。
強くあらなくてもいいんだぞ。
泣いてもいいんだぞ。
だからそんなに、苦しそうな顔をするなよ。
「ユーリ……」
おれは気づいたら、ユーリを思い切り抱きしめていた。
「おぅ! く、苦しいって」
「……ハイハイ、友情おけ把握! よっしゃ、とりかかろうぜ」
レオさんが、抱き合おれらにまた抱きついてきた。
「うぎゃああ、苦しいよーレオさーん」
正直まんざらでもなかった。
「……ふう。じゃまず、こいつを使ってお前たちの適性を調べるぞー」
レオさんは、後ろから何かを取り出してきて見せてきた。
なんだこれ? 今まで見たことないものだ。
石、にしては綺麗すぎる。綺麗すぎるんだ。
「隊長、これは?」
「レオさんでいいよ、ユーリ。これは、『占望石』。本人が魔力を流し込めば、その体に合った魔法の色が出てくる」
せんぼうせき? 初めて聞く。
というか魔力を込める、って。
そんなことできないんだけど。
「ほい、じゃあまずユーリから」
「え……いや俺は、無理です。できないですけど」
「あ……そっか。じゃあね……どうしよっかな」
レオさんは、おれたちはそんくらいのことならできると思ってたみたいだ。
めちゃめちゃ、頭を抱えている。
「……うーん、じゃあまあ見ててよ。説明しながらやるから」
おれとユーリは正座し、レオさんに注目する。
「えー、まずおなかに力を入れます。ふん」
レオさんは、「触ってみ。固いでしょ」とおれたちにおなかを差し出してきたが、おれは恥ずかしかったので触れなかった。
そんなおれの気持ちも知らないでユーリは、「ホントだ、かたい!」などと言ってはしゃいでいる。
……ユーリい。
「そんで、次は、思いっきり息を吸い込んで……。あいや違う、順番が違った」
「え? え?」
「……えーっと。ああ、ごめんごめん。うん、まず最初に思いっきり息を吸い込もう。はいすうーっ、と」
大丈夫なのかな、本当に。
「……ほら、やって」
レオさんが、ちょっぴりジト目でこっちを見てきた。
はっとして、焦って息を吸う。
隣を見るとユーリも同じようにしていて、少しおかしくて笑ってしまった。
「ふぁい、ひゅぎは、どうひゅりゃいいの?」
「はは、そんなに吸い込まなくてもいいだろ。えー、じゃあ次は腹に力入れて。この時、吸った空気はできるだけ出さないようにして」
ふんぬらあ!!
く、苦しい。空気が抜けそうだけど、まあ気にしないようにしよう。
「そんでその空気を右手に集めるイメージで、思いっきり力を入れろ!!」
ぐ、ぐおおおお……!
……息が苦しい。
結構きつい。
でも、これ本当に魔力集められてんのかな?
あんまりそんな感じしないけど。
「そしてそれを、一気にここに放出う!!」
レオさんが、さっと占望石を差し出してきた。
「……まず、俺いくね」
ユーリがそう言ったので、まずおれは見てることにする。右手に入れた力はキープしとくことを意識してる。
ユーリが占望石に手をくっつけた。
さて、いったい何が起こるのか……。
「ん? 何も、なんない?」
「いや、起こるから。ユーリ、もっと思いっきり力を出して。ここに、放つ感じで」
「あ、そうか。すうー、ぅぷ。んんんんんがあ!!」
その時、ユーリの右手は発光しだした。
黄色い、ほのかな光だ。
「うええええ!?」
「驚くことない、普通の反応だ。えっと、ユーリは黄色だな。……奇遇だね、ボクの適性と一緒だ」
「ユーリの適性は、何の魔法なんですか?」
「黄色い光は、『支援魔法』だよ。いやー、しかしラッキーだな。僕が教えやすい魔法だった」
ユーリは、自分の右手を眺めて、信じられないという顔をしている。
自分にも、魔法の適性があるのか、と。
心なしかその顔は、かなり嬉しそうにも見えた。
「支援、魔法……」
「さて、次はカナデだな。同じようにしてな。いやあ、カナデはどんな魔法に適性があるのか楽しみだな」
正直、支援魔法はかなりうらやましい。
自分の適性と同じって言ってたレオさんに直接、きっと丁寧に教えてもらえるんだろう。
いいなあ……。
まあ、今は自分のことだ。
ここで、これからの人生が左右されるって言っても過言じゃない。なんか、変にドキドキしてきた。
「ふん! おらー!!」
ユーリと同じように、思いっきり力を入れて占望石を見る。
占望石は、血のように真っ赤に染まっていた。
「うわあああ!?」
まるで返り血を浴びた後みたいだ。
気持ち悪い。
でも、おれが微妙な反応なのに対して、レオさんは妙ににこにこしている。
「レオさん、どうしたんですか……この魔法は、一体何なんですか」
「す、すげえ……。こんなことある? ……カナデの適性があるのは、『火系統』。これまた、ボクの魔法の適性と全く同じなんだ」
え?
ど、どゆこと?
「実は、ボクの適性はちょっと特殊でさ。ちょいこれ見てよ」
レオさんは、おれが持ってた占望石を取り、ふんと鼻息を鳴らした。
「え? え、え? す、すげええ!!」
すると、レオさん自身あんまり強い力を込めていたようには見えなかったのに、占望石はおれのときの二倍くらいの明るさで光り始めた。
そしてその色は、一色ではなかった。
黄色と、緋色。
それらが綺麗に溶け合い、その明るさもあって占望石は太陽のようになっていた。
「レベルが違うじゃん……」
思わずそう漏らしてしまったが、レオさんはさもそれが当然みたいな顔をして占望石を眺めている。
「ほら、赤と黄。ボクは、お前たち二人の適性魔法、どっちも得意なんだ。はははほんと、運いいよ」
レオさんは、自分のことみたいに喜んでくれている。
それを見てると、今更だけど、自分が火魔法系統の適性者だったってことが嬉しくなってきた。
だって、おれが憧れたのはあの鮮やかですごい威力の、レオさんの火魔法。
そして、憧れていたのは、ファイアヒーローだ。
夢が広がる。
いつか、レオさんみたくかっこよく魔法を使える日が来るといいなあ……。
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