第十四界:さびれた商店街だこと。
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さて、ノリで賛成してしまったわけだがこの作戦、指名手配中の僕たちにとってはかなりリスキーなバカ作戦だ。
勘のいいやつならもう「ヒッチハイク強奪大作戦」というゴミみたいな作戦名で察したと思うが、つまりいまからやることは、こういうことである。
まず普通にヒッチハイク。
指名手配ばれる。
通報されそうになる。
その前にコロス。
車乗っ取る。
快適ドライブだひゃっほい!
…………。
まさにど畜生の考えそうな作戦であり、そもそもこれを作戦と呼べるかはびみょうなところだ。しかしこれなら、ヒッチハイク先の運転手さんが僕たちに気づかなかった場合、さらに罪を重ねることもなくその上個人の車だから絶対安全だ。
今僕たちは、さっきまでいた一晩の宿から離れ、大きな道路を目指している。
守屋が言うには、その道路は交通量はそれなりにあるものの店などはほぼないため人通りは少なく、まさに指名手配犯がヒッチハイクをするためにつくられたかのような道路らしい。
そんな道路、どうかと思う。
僕がそれを聞いたとき、守屋に「つまり、どうろぼうにとって都合がいい道路なんだな」と言ったものの守屋はそのダジャレに気づかなかったようで、「あ……はい」とぶんぶんうなずいていた。
全く、修業がたりないな。
え? 僕? いやなにも悪いことはしてないが。
まあともかく、その道路に向かうのもちょっと長い旅路になりそうだ。
なんでか、って、そんな疑問は僕たちの恰好を見ればそれだけでわかると思う。
なんたって、一人はボロボロの白ティーが返り血アンド撃たれた傷からの血で真っ赤にそまった格好のスタイリッシュ野郎、もう一人に至っては黒こげだ。
こんなん目立ちすぎるだろうが。通報されるぞこんなん。
でも守屋曰く、この街では一瞬ちらっと見られるくらいならどんな服装をしていても通報なんてされないそうだ。
それほどまでにここの人々は無関心の極みで、基本的に自分に関係ないことなら何にも興味を持たないし、それに変な格好の奴なんてうじゃうじゃいすぎてそれの耐性がついているとか。
……ひでえな。
でも流石に悠長にはしてられない。
人目をはばかってささーっと道を早歩きで進んでいく。
守屋はなんだかイキイキとしている。こういうことが楽しいのかもしれない。
「げ、なんだここは」
僕たちが立ち止まった先には、商店街のアーケードらしきみちがあった。
しかしなにやら様子がおかしい。しーんとしていて、僕が石を蹴ったらその音が、アーケードに鳴り響いた。
店もひらいてるはずなのに、まったくと言っていいほど、人通りがないのだ。
「ここは、もともと活気があった商店街だ。今はそっちの方にある、先日できたらしい大手ショッピングモールに客を取られてさびれているらしい」
なるほどな。そういう感じか。
二界では商店街なんて、しかもこんなアーケードがあるとこなんて僕がいたかなりの都会くらいだったのに。やはり文明は、こっちの方が進んでるといっていいんじゃないか?
「まあそんなことはどうでもいい。さっさと通り抜けるとするか」
……いや、まてよ。
「ここって、服屋とかあるか?」
「えー、もう騒動は起こしたくないんだけど」
たったこれだけで言いたいことが伝わるとは。
「でも、こんな格好じゃどっちみちヒッチハイクなんてまず成功しないだろ」
「確かに!盲点だったあ!!」
守屋はそういって、頭を抱えるそぶりを見せた。本気でその可能性を考えていなかったようだ。
うん、バカじゃねえの?
「じゃあ、善は急げだ! レッツゴーだぜ!」
やれやれ、なんだこのテンションは。浮かれてんのか?
守屋と僕は、商店街に入っていった。
「うわ、外からだとわかりにくいけどシャッターが多いな……。服屋なんてほんとにあるか?」
さすがにあるだろ……。
でも、確かにこうしてみてると服屋らしきものはないな……。
畳屋、布団屋、から揚げ屋……。微妙なのばっかだ。
商店街、意外と暗い。
「お! この店この店! 服屋だよ! これ!!」
前をすたすたと歩いていた守屋が、大きな声でそう伝えてくる。
「おーい、ここ! ここ!!」
うるさいな……。聞こえてるっていうの。
守屋は遠くでぶんぶんと手を振っている。その風圧で首がもげそうだ。
そんなことしてたら、店に入る前に通報されるぞ、お前……。
僕は走って守屋の方に行く。なんかこの地面走りにくいな。整備されてないってことか。
「結構、古臭い店だな」
僕たちの前にある店は、さっきまで僕たちが見てきた建物群とは全く違うつくりだった。
そのうえ看板にはホコリがかかっており、いかにも閑古鳥が鳴いているという感じの店だ。
看板には「なんちゃら呉服店」と筆のようなもので書かれてて、服屋だということだけはギリギリ理解できた。なんちゃらの部分は、なにやら黒く汚れていて文字が読めない。
看板の横のガラス窓にはくっきりひびが入っており、入るのがはばかられる。
うん、いいね。
守屋と僕は、無言でうなずきあう。
そして、「せーの」という守屋の合図とともに、そこのとびらを開ける。
「……ん? これ、どうやって……? んしょ、んしょ、あれ、開かないぞ守屋!?」
僕は扉の取っ手らしきところに手をかけて思いっきり押すが、まったく開く気配がない。
すると守屋は「はあ?」とでもいいたげな表情で僕のことを見てきた。
「はあ?」
というか言った。言いたげじゃなくて言った。
なんだよ、ほんとに開かないんだって。
「おおかた、閉まってるんだろ。なかに電気はついてるけど、きっとまだやってないんだ」
「貸してみ?」
こいつ、疑わしそうに近寄ってきやがった。
守屋はよほど僕のことを信じていないのか、僕とおなじようにその扉に手をかけ、そして。
引いた。
え。
すると扉は、さっきまでの固さが嘘のように、すんなりと開いた。
「これさあ、引くんだよ」
「うるさい。わかったからもう言うな」
いやー、憎たらしい。
そんなことを言い合い、わちゃわちゃしたまま僕たちは店のひとににこんにちはをした。
なかは意外と広く、それに小綺麗な感じだ。
外装もこんな風にすればいいのに、とちょっともどかしく思う。
レジ、というかカウンターらしきところに、若い女の店員がぼけーっと座っていた。目を閉じてるし、もしかして寝てんのかな?
どうやら僕たちが入ったことにも気づいてない様子だ。
仕方ないので僕がもういちど、「こんにちはー」とあいさつしてみる。
「あ、いらっしゃ……っ!?」
ん?
なんかびっくりしてる、っていうか怯えてる?
座ってる椅子から落ちる勢いで、のけぞってるんだけど。
あ、僕たちのこの格好に驚いてんのかな、っておいい!?
ふと隣をみると守屋が、血がかわいた包丁を持ってわっるい顔をしていた。
「お、おい! そんなにすぐやることないだろ! まずは、無料でもらえたりしないか話し合って……!」
「はあ? いや、無料でなんて無理っしょ。そんな無駄なことすんだったら先手必勝でしょ」
確かに。とっても正論だ。
店員さんは手を挙げて降参の意を表明してる。
僕は自分が持ってる包丁を……取り出そうと思ったけどポケットを探ってもなにもない。
「守屋、茄子ちょうだい」
「茄子? 銃のことだよな。ほら」
「あざーす」
ふう。
「オラオラ、僕たちにピッタリ合う服をさっさと選びやがれ! さもなくばこれで撃っちゃうぞ!」




